大規模データベースに基づく、全国の地域包括ケアの可視化と向上・均てん化

文献情報

文献番号
201405042A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模データベースに基づく、全国の地域包括ケアの可視化と向上・均てん化
課題番号
H26-特別-指定-042
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
今中 雄一(京都大学 医学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 辻 一郎(東北大学 医学系研究科)
  • 辻 哲夫(東京大学 高齢社会総合研究機構)
  • 磯 博康(大阪大学 医学系研究科)
  • 荻野 景規(岡山大学 医歯薬学総合研究科)
  • 廣瀬 昌博(島根大学 医学部)
  • 馬場園 明(九州大学 医学研究院)
  • 猪飼 宏(京都大学 医学研究科)
  • 國澤 進(立命館大学 生命科学部)
  • 大坪 徹也(京都大学 医学研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
900,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 「地域包括ケアで実現すべき目標に係る指標(ケアの質・効率・アクセス等のターゲット指標)の地域等での実態やその格差はどうなっているのか。そして、その格差が、いかなる要因により、どのように説明されるか。」を明らかにすることを研究目的として、医療・保健・介護の大規模データを統合的に用いて、解析を行う。そのような研究計画書を作成するのが、当該研究の目的である。
研究方法
 広域地域の医療データ(レセプト、DPCデータ含む)、健診、介護レセプトに関する大規模データベースを拡充していき、解析を深化させていく。研究の対象となる疾患・状態は、脳や心臓の生活習慣病・急性期疾患や回復・療養期の疾患、がん、在宅ケア、終末期医療、保健指導を要す状態、要介護状態等、医療全体、介護全体、「医療+介護」全体などとする。以上を方針として、研究チームがこれまで築いてきた研究基盤・業績をベースに、学術検討、政策検討、文献レビュー、ディスカッションを通して、研究計画を構築する。
結果と考察
 下記(概要)のごとく、研究計画を構築した。
 先述の包括ケアの統合データベースからの個票レベル情報を集計した二次データや、全国参加施設DPCデータ、NDBレセプトデータに加え行政統計や既存データをも利用し、評価に関連する指標(下記参照)を算出して、関連要因を調べる。
【研究の対象となりうる疾患・状態】
○急性心筋梗塞、急性心不全、脳卒中、糖尿病など生活習慣病、五大がん等のがん
○発症・急性期、回復期から療養期、介護のプロセス
○要介護状態、介護予防、認知症のケア、在宅ケア、終末期医療
○保健指導が望まれる状態 (例:メタボリック・シンドローム等)、疾病予防
○保健医療全体、介護全体、「保健医療+介護」全体
【ケアに関するターゲット指標】
○アクセス(高度な治療や早期リハが受けられるか等)
○提供量(特定の手術や他の治療法の件数、)
○質 (リスク調整死亡率、エビデンスに基づいている割合、等)
○費用 、○効率 (費用と質の比、一件にかかる費用や日数等)
○最終ヘルス・アウトカム:健康や健康寿命等。
【ターゲット指標の要因・潜在的要因】
○資源量(専門医数など専門職の数、設備・施設数等)
○拠点化(資源の集中度、患者・利用者の集中度等)
○連携(連携の密度、ネットワークやITシステムの整備状況等)
○社会・経済・人口因子
○外的要因(介護予防、疾病予防、IT等のプログラム等. 災害等)
○その他(地域や施設の歴史・特性、鍵となる人材・組織の存在等)

 当研究計画により、以下が期待される。
<解析、価値ある情報創出としての成果>
1)地域包括ケアのターゲット指標の地域レベル等での実態が、定量的に計測され、可視化(マッピング含む)される。個票レベル解析を活用しながら(例:リスク調整死亡率の算出)、指標算出の単位は、地域レベル(二次医療圏や市町村)ならびに施設(医療機関、介護施設)とする。
2)ターゲット指標の多変量解析や構造モデル解析等を行い、要因構造を明らかにする。)変数間の定量的な関係が明らかになれば、説明変数の条件を変えたときのターゲット指標への影響が推計できる。

<施策への反映>
当研究の成果は、以下の如く、施策へ反映される。
○ 実態の可視化 ⇒ ベンチマーキング
地域包括ケアの実態の多軸的な可視化により、各地域は自らのパフォーマンスの位置づけがわかり、各々で対策を立てるなど、ケアおよびケアシステムの改善・均てん化に役立つ。
○ 要因の明確化 ⇒ 施策の向上
地域包括ケアのターゲット変数の要因(および要因構造)の明確化により、地域包括ケアの向上のための効果的な介入・施策を設計しやすくなる。
○ 施策の影響のシミュレーション ⇒ 意思決定への貢献
地域包括ケアのターゲット変数への施策・介入の効果を推計できることとなり、導入・実装の意思決定に役立つ。資源再配備等のシステム設計にも役立つ。
結論
 当研究計画が実施されることにより、期待される成果として、以下の如く施策へ反映される。
 地域包括ケアの実態の多軸的な可視化により、各地域は自らのパフォーマンスの位置づけがわかり、各々で対策を立てるなど、ケアおよびケアシステムの改善・均てん化やペストプラクティスクティスの普及に役立つ。さらに、地域包括ケアのターゲット変数の要因(および要因構造)の明確化により、地域包括ケアの向上のための効果的な介入・施策の設計が促進される。また、当研究成果により、地域包括ケアのターゲット変数への施策・介入の効果を推計できることとなり、導入・実装の意思決定に役立つ。資源再配備等のシステム設計にも役立つ。

公開日・更新日

公開日
2015-06-30
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201405042C

収支報告書

文献番号
201405042Z