脳卒中研究の今後の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
201405035A
報告書区分
総括
研究課題名
脳卒中研究の今後の在り方に関する研究
課題番号
H26-特別-指定-034
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
小川 彰(岩手医科大学)
研究分担者(所属機関)
  • 岡村 智教(慶応義塾大学医学部)
  • 峰松 一夫(独立行政法人国立循環器病研究センター)
  • 松本 昌泰(広島大学大学院医歯薬保健学研究院)
  • 飯原 弘二(九州大学大学院医学研究院)
  • 齊藤 延人(東京大学医学部)
  • 園田 茂(藤田保健衛生大学医学部)
  • 小笠原 邦昭(岩手医科大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,465,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国において、がん、循環器疾患、糖尿病、慢性呼吸器疾患等の生活習慣病は、急速な高齢化を背景として、医療費の約3 割、死亡者数の約6 割を占めており、重要な課題である。特に、脳卒中は、日本人の死亡率の第4 位、介護が必要になる原因の第1 位であり、脳卒中や急性心筋梗塞等の循環器疾患の発症予防や重症化予防について早急な対応が求められている。また、脳卒中の医療整備に関する法律の制定に向けて研究の促進、並びにその成果が活用されるよう必要な施策を講じることが求められている。平成25 年度に開始した健康日本21(第二次)や平成26 年6 月24 日に閣議決定された「日本再興戦略」改訂2014 では、健康寿命の延伸を目指すことが掲げられているが、脳卒中対策に関しては予防、救急医療から介護まで多岐にわたり、これまでの脳卒中研究は必ずしもそれらを俯瞰したものとはいえなかった。また、「日本再興戦略」改訂2014 では、健康寿命延伸産業や医療関連産業の拡大を図ることが掲げられており、革新的な研究開発の推進の取組の中で、脳血管疾患、心臓病等の最先端医療技術の研究開発・実証を推進することとしている。今後は脳卒中の予防に加え、脳卒中に関する医療機器を含めた早期診断・低侵襲な治療法の開発、さらに診療体制の構築等を視野に入れた、切れ目のない研究を行うことが求められる。
 本研究では、国内外の脳卒中研究の推進状況を俯瞰し、わが国における脳卒中分野の課題を抽出することで、基礎研究、臨床研究、公衆衛生学的研究、政策研究等の脳卒中の研究分野に対して、戦略的かつ一体的に推進するべく、今後のあるべき方向性と具体的な研究事項等を明示し、脳卒中研究の次期戦略の策定に貢献することを目標とした。
研究方法
まず、主任研究者が内外の文献を渉猟し、重点研究のたたき台を作成する。各分担研究者および「脳卒中治療ガイドライン2015」の作成委員に対し意見をもとめ、これを含めて案を作成し、第一回の班会議を行う。ここで、話し合われた内容をまとめ、さらに第二回の班会議を行い、この結果を基に、「脳卒中研究の今後の在り方に関する研究」の最重点事項をとりまとめる。さらに、各分担研究者が各担当領域の過去の文献を検索し、重要文献を渉猟し、最重点事項を含めた「脳卒中研究の今後の在り方に関する研究」の原案を作成する。原案をすべての研究者で検討し修正し、最終報告書とする。
結果と考察
以下の項目を「脳卒中研究の今後の在り方に関する研究」の最重点研究とした。1. 脳卒中対策の効果的な推進と評価に関する研究:1)脳卒中登録を基盤とした、診療情報の集積と大規模データ解析を進めるための研究、2)脳卒中診療インディケーター確立のための研究、3)予防・診断・治療に関するエビデンス-プラクティスギャップを解消するための研究、4)医療資源の適正配置・医療均てん化と脳卒中対策の経済評価研究。2.患者に優しい新規医療技術開発に関する研究:1)幹細胞など再生医療による脳機能回復のための研究。3.脳卒中の本態解明に関する研究:1)iPS細胞、ゲノム生物学、幹細胞生物学をはじめとする先端的生命科学と、イメージング工学、計算科学、材料工学、物理学、工学、情報科学等の先端分野との異分野融合により脳卒中発症の本態を解明する研究。4.ICT連携および遠隔医療における脳卒中の予防・治療・リハビリテーション・介護:1) 脳卒中遠隔医療体制構築のための研究、2) ICTを用いた脳卒中予防を促進するための研究、3) テレメディシン(telemedicine)を用いた病院内脳卒中急性期診療に関わる時間短縮と脳卒中予後評価の研究、4) 脳卒中の地域病院連携におけるテレメディシン(telemedicine)の効用に関する研究、5) 中核病院や救急病院から、リハビリテーションへのICT連携をすることによる予後改善評価の研究、6) 脳卒中領域における介護領域のICT連携における介護運営の効率化における研究、7) ICTを用いた脳卒中領域のビックデータの収集及びその評価による脳卒中の予防・治療の改善影響の研究。
 上記のうち、「脳卒中研究の今後の在り方に関する研究」の最重点研究として13項目を挙げたが、特に「脳卒中登録を基盤とした、診療情報の集積と大規模データ解析を進めるための研究」、「脳卒中診療インディケーター確立のための研究」、「ICT連携および遠隔医療における脳卒中の予防・治療・リハビリテーション・介護の研究」は早期に開始すべき研究と思われる。
結論
わが国における脳卒中分野の課題を抽出し、脳卒中研究のあるべき方向性と具体的な研究事項等を明示した。

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201405035C

収支報告書

文献番号
201405035Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
4,504,000円
(2)補助金確定額
4,504,087円
差引額 [(1)-(2)]
-87円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,932,949円
人件費・謝金 0円
旅費 463,250円
その他 68,888円
間接経費 1,039,000円
合計 4,504,087円

備考

備考
預金利息

公開日・更新日

公開日
2015-07-30
更新日
-