難治性疾患実用化研究、腎疾患実用化研究、慢性の痛み解明研究に関連する研究開発管理の実施・評価に関する研究

文献情報

文献番号
201405027A
報告書区分
総括
研究課題名
難治性疾患実用化研究、腎疾患実用化研究、慢性の痛み解明研究に関連する研究開発管理の実施・評価に関する研究
課題番号
H26-特別-指定-019
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
福島 雅典(公益財団法人 先端医療振興財団 臨床研究情報センター)
研究分担者(所属機関)
  • 葛原 茂樹(鈴鹿医療科学大学 看護学部)
  • 宮坂 信之(東京医科歯科大学)
  • 渡邉 裕司(浜松医科大学 臨床薬理学)
  • 相川 厚(東邦大学 腎臓学講座)
  • 堺 秀人(医療法人仁泉会 腎臓病学)
  • 眞下 節(市立豊中病院 麻酔科学)
  • 牛田 享宏(愛知医科大学 医学部 / 学際的痛みセンター 運動療育センター)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
23,077,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1) 難治性疾患実用化研究・腎疾患対策実用化研究・慢性の痛み解明研究に関する研究開発の進捗管理の具体的な方策の開発・実施・評価
2) 「研究開発管理」を効果的に推進する仕組み(PDCAサイクル)の検討
研究方法
1) 研究班班会議(2014年10月30日開催)
2) サイトビジット*
3) ヒアリング*
4) 拠点報告(2015年1月30日・2月10日開催)
5) 戦略会議(2015年1月5日開催/難治性疾患実用化研究:(疾患群毎の集中的な遺伝子解析及び原因究明に関する研究)・(生体試料の収集と活用による病態解明を推進する研究)
6) 成果報告会(2015年3月13日開催)
*サイトビジットとヒアリングについては、各々複数回開催しており、詳細については、【平成26年度総括研究報告書(平成27年3月31日提出)】に記載している。
結果と考察
1) 課題調査票(全課題に対して設定目標と達成度を評価するための基礎資料)の開発
2) ヒアリング・サイトビジット等合理的な進捗管理実施方法の考案・実施
3) 報告書フォーマット案の作成
4) 成果報告会の開催(2015年3月13日)

研究計画に基づいてPDCAマネジメントの手法を周到に計画して実施した。
主任研究者は過去10年にわたってPDCAマネジメントに十分な経験と実績を有しており、本研究についても何ら滞ることなく実施することができた。これらPDCAマネジメントは相当の専門的知識(特許法・薬機法・ICH-GCP等)と熟練したスキルを要するので、PD/PO並びにそれを支える事務局機能においても、経営学の基礎とプロジェクトマネジメントに関して習得し、研究開発について十分な知識を持つことが必須である。
このようなPDCAマネジメントを事前に計画するには、まず予算を投入している研究課題全てを把握し、その年度における全体のスケジュールを予め俯瞰して、必須の作業を手順良く、時系列に基づいて洗い出さなければならない。
全研究課題に対して、設定目標と達成度を評価するための基礎資料を速やかに確保すべく、まず課題調査票を開発し、全研究者に配布・回収した。それらの情報を基にヒアリング・サイトビジットの合理的な方法を考案・決定し、PD/PO、厚労省疾病対策課と打ち合わせを行った。特に開発研究においては、R&D基本情報を、予め定めたフォーマットで収集し、ヒアリング・サイトビジットに活用した。
また、疾患別に研究・診療体制をオールジャパンとして一体化した合理的かつ効率的な仕組みを作るべく、遺伝子拠点・生体試料拠点の採択課題研究者全員での戦略会議、プリオン病に焦点を当てた集中的なワークショップを提案、主任研究者の所属施設で共催するなど、高度な統合戦略マネジメントを実施した。
更に、NIHのクリニカルイノベーション部門のディレクターを招いてミトコンドリア病についてのミーティングを開催し、日米の共同研究体制のネットワーク構築に着手した。
結論
本研究によって、PDCA、研究の進捗管理の方法は概ね確立した。
また、海外との連携の仕組みづくりについても見通しが得られた。
更に、難病の克服に向けたオールジャパンの研究開発並びに来たるべき遺伝子検査・診療体制の速やかな構築に向けて研究者の意思統一ができた。
次年度行うべきことは、本研究で得られた成果をもとに上記について発展させることである。PD/POのPDCAマネジメントに関する知識・経験も相当に蓄積されたので、より確実に成果の上がるように研究者を導くことが可能となった。
ただし、科研費の公募要項のデザインの抜本的な変革が必要である。すなわち、適切な目標設定とそれを達成するためのマイルストンの設定、並びにロードマップの策定はそれらを申請時に提出するように、公募要項の中に指示として、また申請書のフォーマットとして規定しておかなければならないし、レギュラトリ―サイエンスに即した研究開発を実施できるように、厳格にモニタリングできるツールであるR&D基本情報票への記入を義務付けなければならない。
加えて、結果の報告についてもレギュラトリ―サイエンス上、合理的な実績として進捗を報告させるようにフォーマット化しなければならない(一つの案として、報告書フォーマット(案)【平成26年度総括研究報告書(平成27年3月31日提出)に添付】を作成した)。
今後、AMEDは当研究班の実績をロールモデルとして、明確な研究評価体制を確立することが、AMEDを中心としたわが国の医学研究の発展に必要不可欠であると思料する。

公開日・更新日

公開日
2015-06-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2016-05-13
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201405027C

成果

専門的・学術的観点からの成果
革新的医療技術創出拠点プロジェクト等で培ったPDCAマネジメントの手法開発の標準化、データベースを構築するためのITツールの開発(R&D基本情報票)が医薬品、医療機器、新規医療技術開発研究に対するマネジメントの決定的な成果であり、この適用によってレギュラトリーサイエンスに則して厳格に合理的な進捗管理ができるようになった。
このようなPDCAマネジメントのもと、薬機法に基づく開発によって企業への引き渡しが可能になり、早期にPMDAの戦略相談を受けられ、研究開発のみならずサイエンスの深耕に繋がる。
臨床的観点からの成果
ステップ1・2はレギュラトリーサイエンスの観点から公募要領をデザインし、実際に適用してきた。その結果、3年間で承認1件(LAMに対するラパマイシン)、難治性神経疾患の機能回復に対するロボットスーツHAL®も承認申請に入り、ステップ2での採択全11課題が治験に入り、うち6件は承認ないし企業への引渡しが完了している。
承認を取ってはじめて臨床的成果を論ずることを実証できる。レギュラトリーサイエンスに基づく開発は、臨床医学の進歩、そして治療成績の向上に必須の第一要件である。
ガイドライン等の開発
診療の質の向上研究(計18課題)の中で、ガイドライン等の策定・改定は、開発研究と異なり診療体制の整備が目標であり、対象疾患の悉皆レジストリーを構築し、ガイドラインの遵守状況の調査並びに治療成績、QOLの向上というアウトカムスタディを合体させない限りこのような事業は意味を持たないし実を結ばない。よってこのような事業に関しては今後開発研究とは別の形でマイルストン設定をして進捗管理をし、強力に指導する必要があることが明らかとなった。
その他行政的観点からの成果
難治性疾患について、薬事承認を目指すという明確な目標設定のもと、レギュラトリーサイエンス、薬機法に基づいて、厳格に、またPD/PO一丸となってPDCAマネジメントを系統的にドキュメントベースで行った。AMEDにその成果を全て引き継ぐとともに、マネジメントオフィスの業務に関してもスタートからフィニッシュまで報告書に全てをまとめて滞りなく引き継ぐことができた。
その他のインパクト
成果報告会(3/13)では、治験進行中、承認取得/申請済課題について疾患単位でシンポジウムを行うとともに、全課題について講演・ポスターにより発表した。特に遺伝子ゲノム診断・生体試料拠点課題については、今後の診療体制構築につき主任研究者の総意として戦略的提案をAMEDに提出した。また米国NIHよりMedical Innovation部長のKaufmann博士を招聘し、米国における難治性疾患へのアプローチの報告を受けて、米国NIHとの連携、さらにグローバル研究開発体制構築に取り組むベースができた。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
1件
平成26年度厚生労働科学特別研究事業 進捗管理班(難治性疾患疾患実用化研究・腎疾患実用化研究・慢性の痛み解明研究)成果報告会 「難病制圧に向けて-アカデミアにおけるイノベーション創出の現状と展望-」

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-11
更新日
2018-05-21

収支報告書

文献番号
201405027Z