文献情報
文献番号
201405023A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤服用歴管理指導において具備すべき「電子化お薬手帳」の要件策定に関する研究
課題番号
H26-特別-指定-015
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 信範(国立大学法人 千葉大学 大学院薬学研究院 臨床教育研究室)
研究分担者(所属機関)
- 山田 清文(名古屋大学 医学部附属病院 医療薬学)
- 佐々木 忠徳(医療法人鉄蕉会 亀田総合病院)
- 小林 江梨子(国立大学法人 千葉大学 大学院薬学研究院 臨床教育研究室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
2,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医薬分業による患者の自由意思に基づく医療機関・薬局の選択の確保と適切な投薬管理を可能にする一つの方法として、患者自らの投薬履歴・副作用履歴等の情報を経時的に管理できる「お薬手帳」の推進が図られ使用されてきている。この様な状況下で、近年急速に進むインターネット、スマートフォン等の情報集約型電子機器の発達により、紙媒体のお薬手帳の電子化が求められている。そこで、本件研究においては、単に投薬履歴等を電子的に記録するだけでなく、医療保険上不適切な特定薬局等への誘導にならない等、実運用において必要な要件も含めて、電子版お薬手帳に必要な要件を検討、標準化を図ることとした。
研究方法
分担研究者の小林は、医療保険で運用するのに適切な電子化お薬手帳の機能を検討するため、保険薬局を対象に、紙形式及び電子化形式のお薬手帳に含まれるデータの種類等を検討するとともに、患者を対象として、お薬手帳に対する患者意識を調査した。分担研究者の佐々木は、いくつかの電子化お薬手帳を用いて、情報管理上等の問題点の抽出を試みた。分担研究者の山田は、お薬手帳を電子化した際に発生する技術的なリスクについて、リスクの種類、内容、深刻度を調査・分析し、その解決法について検討した。
結果と考察
分担研究者の小林の研究結果では、”紙媒体のお薬手帳”とともに”電子化お薬手帳”を使用している薬局は、15.9%、”電子化お薬手帳”を利用している患者は、回答した患者の0.5%であった。"電子化お薬手帳”の形式は、薬局では、QRコードを利用する携帯格納型やクラウド型であり、患者が利用しているのは主にスマートフォンなどを利用した携帯格納型であることを明らかにした。また、”電子化お薬手帳”の各項目を記載している薬局の割合は、”紙媒体のお薬手帳”の各項目を記載している薬局の割合に比べて低く、ばらつきがあることも明らかにした。また、お薬手帳に対する患者の意識は、お薬手帳の情報を、”見せたい医療関係者だけに見せたい”とする患者と、”医療関係者ならだれでも見てもらってよい”と考え方が2分していることを明らかにした。
分担研究者の佐々木の研究において調査した電子化お薬手帳では、プライバシーポリシーは明確に記載されており、用いられるアプリケーションについても種類は違うものの情報ツールとしての機能は果たせるものであることを検証した。しかし、QRコードを用いて患者情報を薬局で読み取る場合等、携帯を患者から預かることが想定されることから、患者との間でのコミュニケーションが重要であり、何らかの工夫が必要である事を明らかにした。
分担研究者の山田の研究結果では、お薬手帳を電子化した際に発生する技術的なリスクとして、2次元バーコード、ICカード掲載携帯電話、ICカード、オンラインの4つの方法とそれぞれ個別リスクと(1)電子化されたお薬手帳を患者や医療機関あるいは薬局が参照できるか、(2)患者が所持する端末やICカードを紛失した場合やオンライン時の情報漏えい対策、(3)データの2次利用、(4)患者主体のデータとなっているか、(5)完全に電子化できるか、(6)薬剤服用歴管理指導料との関係(算定要件の機能を満たしているか)などの共通するリスクの存在を明らかにした。
分担研究者の佐々木の研究において調査した電子化お薬手帳では、プライバシーポリシーは明確に記載されており、用いられるアプリケーションについても種類は違うものの情報ツールとしての機能は果たせるものであることを検証した。しかし、QRコードを用いて患者情報を薬局で読み取る場合等、携帯を患者から預かることが想定されることから、患者との間でのコミュニケーションが重要であり、何らかの工夫が必要である事を明らかにした。
分担研究者の山田の研究結果では、お薬手帳を電子化した際に発生する技術的なリスクとして、2次元バーコード、ICカード掲載携帯電話、ICカード、オンラインの4つの方法とそれぞれ個別リスクと(1)電子化されたお薬手帳を患者や医療機関あるいは薬局が参照できるか、(2)患者が所持する端末やICカードを紛失した場合やオンライン時の情報漏えい対策、(3)データの2次利用、(4)患者主体のデータとなっているか、(5)完全に電子化できるか、(6)薬剤服用歴管理指導料との関係(算定要件の機能を満たしているか)などの共通するリスクの存在を明らかにした。
結論
“電子化お薬手帳”の運用にあたっては、“紙媒体のお薬手帳”の項目と同様の項目を網羅し、医療従事者(医療スタッフ)も閲覧等の活用が可能なこと、患者が医療スタッフに閲覧させる際に、電子化されているデータを格納している携帯電話及びお薬以外の格納データのセキュリティを確保すること、患者の意識に応じて閲覧の制限ができること、患者が記入したい情報を記入する機能を持つことなどが必要と考えられた。
公開日・更新日
公開日
2015-07-17
更新日
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