文献情報
文献番号
201405018A
報告書区分
総括
研究課題名
免疫アレルギー疾患等実用化研究事業(移植医療分野)に関連する研究開発管理の実施・評価に関する研究
課題番号
H26-特別-指定-021
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
北村 惣一郎(独立行政法人 医薬基盤研究所 研究振興部)
研究分担者(所属機関)
- 深尾 立(千葉労災病院 / 筑波大学)
- 島崎 修次(国士舘大学大学院救急システム研究科)
- 小寺 良尚(愛知医科大学医学部)
- 山口 照英(国立医薬品食品衛生研究所)
- 森 毅彦(慶應義塾大学医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
研究の成果を最大化するためには、研究期間を通した一貫した進捗管理が重要である。しかし、現在そのような取り組みを実施する国内の組織は多くなく、また研究対象の特性に配慮した進捗管理法についての研究も進んでいないのが現状である。
そこで我々は免疫アレルギー疾患等実用化研究事業において採択された課題の進捗管理の実施を通して、研究開発を推進させ、成果を最大化するために必要な進捗管理の具体的な方策を開発・実施・評価し、「研究開発管理」を効果的に推進する仕組みを検討することとした。
そこで我々は免疫アレルギー疾患等実用化研究事業において採択された課題の進捗管理の実施を通して、研究開発を推進させ、成果を最大化するために必要な進捗管理の具体的な方策を開発・実施・評価し、「研究開発管理」を効果的に推進する仕組みを検討することとした。
研究方法
本研究では、免疫アレルギー疾患等実用化研究事業において採択された研究課題 (12課題)について、それらの研究分野から研究班を2グループに分け、各グループにプログラムディレクター(PD)およびプログラムオフィサー(PO)を配置し、PD主導のもと、研究者へのヒヤリング(随時)、サイトビジットの実施、本研究期間中に開催された班会議への出席等により進捗状況を確認した。加えて、POによる指導・助言を適宜実施することにより進捗管理を行った。
結果と考察
・進捗管理者(PD・PO)は、自らの立場が研究課題の支援者であるということについて、研究者の理解を深めるとともに、サイトビジットや班会議等での研究者との議論においても、「研究を支援する」という基本姿勢で臨むことが、進捗管理を円滑に実施する上で極めて重要である。一方、実用化に向けた進捗管理という観点では、進捗状況に応じて研究計画の修正を求める必要が生じる場合もあることから、進捗管理者の権限と責任について一定の整理が必要である。
・臨床研究・治験に関する最大の課題は、症例組み入れ遅延による研究全体の遅延及び研究費の不足である。適応症例が少ない場合等においては、日本医療研究開発機構(AMED)等の行政が主導して症例集積体制を構築することで、各研究の着実な実施につながると考える。
・進捗管理者自身の成果を示すためにも、達成状況については、何らかの数値目標(管理する研究課題の論文数・特許数・臨床試験への移行数等)を設定して、管理すべきである。
・実用化に向けた進捗管理については、採択後の研究実施についてのみ強化すべきものではなく、採択以前(公募テーマの設定、採択評価)の段階から一連のPDCAを意識し、関係者(研究者、事前評価者、進捗管理者、事後評価者等)が統一した意識をもって連携することで、一貫した体制が構築できる。
・採択に関する提案としては、公募要項において、少額では研究の完結が難しい研究については、個別の対応を行う旨、別項として記載する事や、ドナー不足等、研究者単独では改善し得ない因子に進捗や成果が左右される課題については、その問題を解決し得る方策を示さなければ採択しないように設定することが考えられる。ただし、共同研究実施機関の追加等の方策が取られる場合には研究費の増額を考慮する必要がある。
・レジストリ事業等については、短期的には成果が得られにくく、長期的な継続性(5年、10年)が重要となる。このような研究については、実用化を目指す研究とは別の枠組みで支援し、実用化研究に必要なガイドライン等の作成を行うべきである。
・実用化に向けた最終段階としては、企業へのライセンストランスファーである。しかしながら、アカデミア研究者が企業等と接する機会は必ずしも多くないことから、研究者と企業とのマッチングについては、AMED主導で実施すべきである。
・臨床研究・治験に関する最大の課題は、症例組み入れ遅延による研究全体の遅延及び研究費の不足である。適応症例が少ない場合等においては、日本医療研究開発機構(AMED)等の行政が主導して症例集積体制を構築することで、各研究の着実な実施につながると考える。
・進捗管理者自身の成果を示すためにも、達成状況については、何らかの数値目標(管理する研究課題の論文数・特許数・臨床試験への移行数等)を設定して、管理すべきである。
・実用化に向けた進捗管理については、採択後の研究実施についてのみ強化すべきものではなく、採択以前(公募テーマの設定、採択評価)の段階から一連のPDCAを意識し、関係者(研究者、事前評価者、進捗管理者、事後評価者等)が統一した意識をもって連携することで、一貫した体制が構築できる。
・採択に関する提案としては、公募要項において、少額では研究の完結が難しい研究については、個別の対応を行う旨、別項として記載する事や、ドナー不足等、研究者単独では改善し得ない因子に進捗や成果が左右される課題については、その問題を解決し得る方策を示さなければ採択しないように設定することが考えられる。ただし、共同研究実施機関の追加等の方策が取られる場合には研究費の増額を考慮する必要がある。
・レジストリ事業等については、短期的には成果が得られにくく、長期的な継続性(5年、10年)が重要となる。このような研究については、実用化を目指す研究とは別の枠組みで支援し、実用化研究に必要なガイドライン等の作成を行うべきである。
・実用化に向けた最終段階としては、企業へのライセンストランスファーである。しかしながら、アカデミア研究者が企業等と接する機会は必ずしも多くないことから、研究者と企業とのマッチングについては、AMED主導で実施すべきである。
結論
本研究においては、免疫アレルギー疾患等実用化研究事業(移植医療分野)に関連する研究開発の研究成果を最大化するために必要な進捗管理の方策を、様々な手法により検討・評価した。
本事業に限らずアカデミアの研究開発をより効果的かつ効率的に推進するためには、研究開発の方向性に従って採択された研究課題が円滑かつ迅速に遂行され、最大の研究成果を得られるようにする進捗管理(PDCAサイクル)が重要である。
本研究においては、研究課題の進捗管理を実施する上での手法の検討、問題点及びその解決策について見いだした。その成果については、AMEDにおいて今後実施される、重点的に推進すべき研究領域・テーマの設定及びPD等による医療分野の研究開発における基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進に寄与できるものと考える。
本事業に限らずアカデミアの研究開発をより効果的かつ効率的に推進するためには、研究開発の方向性に従って採択された研究課題が円滑かつ迅速に遂行され、最大の研究成果を得られるようにする進捗管理(PDCAサイクル)が重要である。
本研究においては、研究課題の進捗管理を実施する上での手法の検討、問題点及びその解決策について見いだした。その成果については、AMEDにおいて今後実施される、重点的に推進すべき研究領域・テーマの設定及びPD等による医療分野の研究開発における基礎から実用化までの一貫した研究開発の推進に寄与できるものと考える。
公開日・更新日
公開日
2016-07-12
更新日
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