心理職の役割の明確化と育成に関する研究

文献情報

文献番号
201405017A
報告書区分
総括
研究課題名
心理職の役割の明確化と育成に関する研究
課題番号
H26-特別-指定-011
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
村瀬 嘉代子(北翔大学 大学院 人間福祉学研究科)
研究分担者(所属機関)
  • 黒木 俊秀(九州大学大学院 人間環境学研究院)
  • 中嶋 義文(三井記念病院)
  • 下山 晴彦(東京大学大学院 教育学研究科)
  • 大野 博之(福岡女学院大学 人文科学研究科)
  • 馬場 禮子(中野臨床心理室)
  • 横山 知行(新潟大学大学院 教育学研究科)
  • 田崎 博一(弘前愛成会病院)
  • 増田 健太郎(九州大学大学院 人間環境学研究院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
9,838,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、(1)医療分野のみならず福祉、教育、司法、産業等、様々な領域における心理職の実態とニーズを明らかにし、(2)心理職育成のカリキュラム作成と体制整備のための行動計画を立案し、あわせて(3)わが国における心理職の職務と教育の在り方を提言することを目的として、研究課題「心理職の役割の明確化と育成に関する研究」を設定した。
研究方法
本研究の実施にあたっては、比較的少人数の研究者によって単年度内に完了することとし、そのために、研究組織をわが国有数の臨床心理学・教育心理学分野と保健福祉医療分野の指導者らにより構成し、さらに、日本精神科病院協会(分担研究者:田崎)、日本総合病院精神医学会(中嶋)、日本臨床心理士資格認定協会(馬場)などの団体とも恊働して実施することで、機動性に優れ、短期間に有意義な成果を挙げることを目指した。
結果と考察
わが国の高等教育における心理学教育の実態とともに、医療・保健、福祉、教育、司法、産業等、様々な領域で活躍する心理職の実態と問題点を、初めて明らかにした。本研究の成果から、心理職育成の基本となる教育カリキュラム作成と体制整備のための行動計画を提言することが可能となる。同時に、今日のわが国で求められる心理職の役割が明確となった。その職務は、従来の臨床心理学の教育・研修が目標としたものに加えて、それぞれの領域におけるチームアプローチや多職種連携を促進する役割が期待されており、広がりつつある心理職務に対応するために、より充実した研修教育体制の整備が喫緊の課題であると考えられた。
結論
わが国の医療・保健、福祉、教育、司法、産業等、様々な領域で活躍する心理職の実態を明らかにした研究は、本研究が恐らく初めてであろう。本研究の成果から、わが国に求められる心理職の役割が明確となった。また、わが国の高等教育における心理学教育の現状調査、および海外における心理技術職資格の調査から、心理職育成の基本となる教育カリキュラム作成と体制整備のための行動計画を提言することが可能となった。これらの成果は、広範な領域において従事する心理職の教育研修制度の改善に寄与し、もってわが国の心理職の資質の向上に大きく貢献すると考えられ、社会全体の心理職に対するニーズに応えるものであろう。それゆえ、精神保健福祉医療に関連した厚生労働行政をはじめ、教育、司法、産業等、関連諸領域行政の計画策定にも極めて有用な資料を本研究は提供しうるといえる。

公開日・更新日

公開日
2015-06-16
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-05-29
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201405017C

成果

専門的・学術的観点からの成果
わが国の医療・保健、福祉、教育、司法、産業等、様々な領域で活躍する心理職の実態を明らかにした研究は、本研究が恐らく初めてである。わが国の大学・大学院における心理学関連教育の現状と課題を明らかにしたことも意義深い。試論ながら、心理学関連諸団体が認定、もしくは提案する学部・大学院教育のカリキュラムをもとに、必修科目7領域と選択科目4領域を、心理職養成のための必要最小限の教育カリキュラムの骨子として提言した点も意義がある。
臨床的観点からの成果
心理職の職務実態調査から、今日、心理職の職務に求められるニーズとして、いずれの領域においても、従来の心理査定・検査、心理面接・治療、地域支援、研究などの知識や技術に加えて、被援助者の現実生活を視野にいれたチームアプローチや多職種連携を調整する役割が期待されており、教育や研修においても、関連専門領域と行政・司法の理解とともに、実習教育の充実が喫緊の課題であることが示唆された点は意義深く、今後のわが国の心理職の研修教育のあり方に指針を与えるものである。
ガイドライン等の開発
今後、心理職の国家資格化を前提に汎用的な心理職の養成教育の検討が進めば、そのガイドラインに本研究が提言した心理職養成のための必要最小限の教育カリキュラムの骨子も反映される可能性があるが、その妥当性と実効性についてはさらに検討を要する。また、資格取得後の心理職の研修体制の整備についても、より具体的な要件を明確にし、モデル事業として着手すべきであろう。今後の心理職の国家資格化の動向をみながら検討するに値する課題と考えられる。
その他行政的観点からの成果
本研究の成果から、心理職育成の基本となる教育カリキュラムの作成と体制整備のための行動計画を提言することが可能となると期待される。より具体的には、今後、心理職が国家資格化された際の資格要件の設定、国家試験受験資格となる教育カリキュラムの策定と教育環境の整備、さらに国家資格を有する心理職の研修制度の整備、および現行の心理職資格制度の取り扱い等、厚生労働行政をはじめ、教育、司法、産業等の関連諸領域の行政計画の推進に極めて有用な資料を提供するものと考えられる。
その他のインパクト
特記すべき事項はない。

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
0件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-08
更新日
2019-05-22

収支報告書

文献番号
201405017Z