文献情報
文献番号
201405016A
報告書区分
総括
研究課題名
障害児・者の地域生活支援推進のための機能強化の在り方に係る研究
課題番号
H26-特別-指定-010
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
肥後 祥治(鹿児島大学 教育学部)
研究分担者(所属機関)
- 末安 民生(天理医療大学 医療学部)
- 佐藤 克敏(京都教育大学 教育学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
6,635,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
第4期障害福祉計画作成において「地域生活支援拠点等」の整備について示された。この施策を効果的な展開のために、現在の地域生活支援の先進地域でのフィールド研究が必要である。このために本研究は、2つの調査を実施し、それらの地域においてどのような成果と実施上の問題が存在するのかについて明らかにし、各都道府県・市町村が策定する障害福祉計画作成に向けた資料を提供することを目的とした。
研究方法
1)調査1
(1) 調査対象:「多機能拠点整備型(GH併設型と単独型)」をそれぞれ3カ所、1カ所、「面的整備型」を1カ所の計5カ所。参考として精神障害者の事業所を1カ所。
(2) 調査手続き:訪問調査班を各事業所に派遣し、面接調査の実施。
2)調査2
(1) 調査対象:調査1において対象とされた事業所等で緊急的な支援を受けた利用者の保護者90名。
(2) 調査手続き:各事業所の担当者に対して質問紙を送付し、面接調査を依頼。回収された質問紙をもとに量的および質的分析を実施。
(倫理的配慮)質問紙の回収にあたっては、事業所においてコード化したものを郵送するなどして個人情報に関する配慮を徹底。
(1) 調査対象:「多機能拠点整備型(GH併設型と単独型)」をそれぞれ3カ所、1カ所、「面的整備型」を1カ所の計5カ所。参考として精神障害者の事業所を1カ所。
(2) 調査手続き:訪問調査班を各事業所に派遣し、面接調査の実施。
2)調査2
(1) 調査対象:調査1において対象とされた事業所等で緊急的な支援を受けた利用者の保護者90名。
(2) 調査手続き:各事業所の担当者に対して質問紙を送付し、面接調査を依頼。回収された質問紙をもとに量的および質的分析を実施。
(倫理的配慮)質問紙の回収にあたっては、事業所においてコード化したものを郵送するなどして個人情報に関する配慮を徹底。
結果と考察
1) 調査1の結果
(1) 事業の展開と評価
6つの事業所における事業展開と維持システムの実態が解明された。
(2) 事業展開上の課題
24項目の課題が挙げられ、それらは、「スタッフに関連する課題」、「地域の社会資源及びサービス内容の課題」等の四つの内容に整理された。
(3) 緊急対応ケースの状況
緊急対応の事例は、27ケースが収集。「介護者や家族の病気による入院」、「葬儀に関連した支援」、「本人の行動障害」などの内容が多かった。
2) 調査2の結果
「急を要する支援を必要とする経験」の分析から支援ニーズの高さに影響を及ぼす要因として、次の点に配慮すべきことが示された。
①行動障害を持っていること、②行動援護区分の得点が高いこと、③障害支援区分が高いこと、④介護力が低いこと、⑤介護者の年齢や本人の支援ニーズの関連、⑥行動上の問題
また、実際の対応に関する評価においては、9割近くの回答者が満足しているが地域性生活については、回答者ほぼ全員から不安があると回答があった。
3) セイフティーネット機能のポイント
高い評価が得られている理由次の5点を指摘しうる。①エリア内の充実した相談支援・サービス調整機能の存在、②サービスを機能的に運用するための財源の存在、③地域に短期入所を主とした危機介入サービスの存在、④緊急時の受け皿として短期入所以外のサービスが存在すること、⑤地域の緊急時の支援機能に関する周知。
4) ユーザーの面接調査からの示唆
(1) 要支援リスク者の状態像
行動上の問題を有し、行動援護区分が高い者、障害支援区分が高い者であることが挙げられた。一方障害支援区分は、行動上の問題に依存しないリスクが存在し、加齢も同様にリスクを高める。
急を要する支援では家庭の介護力に関わらずニーズがあり、年少の当事者の場合には、介護力が影響及ぼす。
(2) 「安心」に寄与するサービスメニュー
不安の内容によって異なることが明らかとなった。
(1) 事業の展開と評価
6つの事業所における事業展開と維持システムの実態が解明された。
(2) 事業展開上の課題
24項目の課題が挙げられ、それらは、「スタッフに関連する課題」、「地域の社会資源及びサービス内容の課題」等の四つの内容に整理された。
(3) 緊急対応ケースの状況
緊急対応の事例は、27ケースが収集。「介護者や家族の病気による入院」、「葬儀に関連した支援」、「本人の行動障害」などの内容が多かった。
2) 調査2の結果
「急を要する支援を必要とする経験」の分析から支援ニーズの高さに影響を及ぼす要因として、次の点に配慮すべきことが示された。
①行動障害を持っていること、②行動援護区分の得点が高いこと、③障害支援区分が高いこと、④介護力が低いこと、⑤介護者の年齢や本人の支援ニーズの関連、⑥行動上の問題
また、実際の対応に関する評価においては、9割近くの回答者が満足しているが地域性生活については、回答者ほぼ全員から不安があると回答があった。
3) セイフティーネット機能のポイント
高い評価が得られている理由次の5点を指摘しうる。①エリア内の充実した相談支援・サービス調整機能の存在、②サービスを機能的に運用するための財源の存在、③地域に短期入所を主とした危機介入サービスの存在、④緊急時の受け皿として短期入所以外のサービスが存在すること、⑤地域の緊急時の支援機能に関する周知。
4) ユーザーの面接調査からの示唆
(1) 要支援リスク者の状態像
行動上の問題を有し、行動援護区分が高い者、障害支援区分が高い者であることが挙げられた。一方障害支援区分は、行動上の問題に依存しないリスクが存在し、加齢も同様にリスクを高める。
急を要する支援では家庭の介護力に関わらずニーズがあり、年少の当事者の場合には、介護力が影響及ぼす。
(2) 「安心」に寄与するサービスメニュー
不安の内容によって異なることが明らかとなった。
結論
1) 地域の安心を創出するために
相談事業の充実により「地域の要リスク者・家庭」が十分に把握されており、現状の生活を維持するのに必要なサービスがコーディネイトされており(必要な障害福祉サービス・地域資源が整備されていること)、さらに日常生活の危機に対応できるセイフティーネットサービス(機能)が地域にあることが望まれる。
2) その実現に向けた方略
① 安定した財源に支えられ、要リスク者に対応できる「相談支援事業」があること。必要に応じて「地域定着支援」の要件を緩和または追加して、地域の要リスク者・世帯に対する支援が構築できる素地を作る必要がある。
② 24時間365日対応できる「短期入所」や「居宅介護系事業」が整備されること。さらにそれを補う「拠点」及び「事業」が整備されていること。
③ 自立支援協議会を軸とした「地域ケアシステム」が確立し機能しておりその仕組みが地域で周知されていること。
相談事業の充実により「地域の要リスク者・家庭」が十分に把握されており、現状の生活を維持するのに必要なサービスがコーディネイトされており(必要な障害福祉サービス・地域資源が整備されていること)、さらに日常生活の危機に対応できるセイフティーネットサービス(機能)が地域にあることが望まれる。
2) その実現に向けた方略
① 安定した財源に支えられ、要リスク者に対応できる「相談支援事業」があること。必要に応じて「地域定着支援」の要件を緩和または追加して、地域の要リスク者・世帯に対する支援が構築できる素地を作る必要がある。
② 24時間365日対応できる「短期入所」や「居宅介護系事業」が整備されること。さらにそれを補う「拠点」及び「事業」が整備されていること。
③ 自立支援協議会を軸とした「地域ケアシステム」が確立し機能しておりその仕組みが地域で周知されていること。
公開日・更新日
公開日
2015-06-30
更新日
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