文献情報
文献番号
201405008A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢化社会を見据えたユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現及びそれを可能にするグローバルヘルス・ガバナンスに関する研究
課題番号
H26-特別-指定-023
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
渋谷 健司(東京大学 大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 橋本 英樹(東京大学大学院医学系研究科)
- 飯塚 敏晃(東京大学大学院経済学研究科・経済学部)
- 小塩 隆士(一橋大学経済学研究所)
- 野口 晴子(早稲田大学高等研究所政治経済学術院)
- 熊川 寿郎(国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
6,144,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究課題では、高齢化社会を見据えたユニバーサル・ヘルス・カバレッジの実現及びそれを可能にするグローバルヘルス・ガバナンスについて、我が国や諸外国の保健医療制度を調査・分析しエビデンスを創出する。特に、2015年度開始予定のWHO拠出金で行う保健医療政策人材育成事業のための戦略や2016年G7サミットに向けた我が国の国際保健政策の基盤となることが期待される。本研究は、マルチセクターの連携を基に実施され、また、日本政府の国際保健外交政策の根幹を担うものであり、その必要性は極めて高いものである。
研究方法
①高齢化とUHCに関する総括マクロビジョン、②UHCの社会経済的インパクトと政策的意義(政治経済分析含む)、③我が国のUHCの3Es(equity, effectiveness and efficiency)、④UHCの実践的手法と教訓、⑤途上国の現場における事例とUHCに関わる人材育成について研究、⑥UHC達成のためのグローバルヘルス・ガバナンス分析、をテーマに6班を組織し、研究を進めた。
結果と考察
新しい国連開発目標に関する議論、エボラ危機の経験を踏まえより効果的なグローバルヘルス・ガバナンスのあり方を検討する世界的な動きを踏まえ、日本のUHCに関わる経験から何を世界に提供しうるか、また来年予定されているG7サミットにおいて指導力を発揮するために、日本の経験・強みをいかなる形で打ち出せるか分析を加えた。
高齢化先進国日本がその経験を共有することへの期待は大きく、高齢化の中で持続可能なUHCを維持する際、いかなる政策パッケージが求められるか、また中央政府で政策策定・実施に携わる行政官が具体的支払いとサービス提供の両面においていかなる組織的・人的能力が求められるか分析し、それを国際協力機構(JICA)、国立国際医療協力センター(NCGM)、国立保健医療科学院(NIPH)が途上国における政策知見のニーズを踏まえて、中央でのUHC政策の策定、地方での政策の実施を後押しするために必要な人材育成プログラムを提示した。
さらに、日本におけるリーマンショックや東日本大震災が日本のUHCに与えた影響、UHCを達成した国でも見られる格差(UHCのほころび)について分析し、エボラのような感染症や災害に対してUHCの強靭性を高めるための施策のあり方を分析した。それらを踏まえて、エボラ危機後のグローバルヘルス・ガバナンスのあり方を、緊急対応から保健システムやコミュニティの強靭性を高める活動まで切れ目なく支援するメカニズムのあり方を検討している
エボラ危機において感染が拡大した国での、脆弱な保健システムやWHOの指導力の欠如などに対しての大きな議論が起こっている。こうした観点から、保健システム強化、特に、我が国が進めてきたUHCは、今後ともさらに推進する必要がある。緊急時のみではなく、平時からの人材育成を含めた支援が必要であることが示された。
2016年日本のG7においては、健康危機と強靭な保健システムをテーマに、本研究班から人材育成なども含めた具体的なアクションを実施するためのアジェンダ設定の場とすべきことが示唆された。
高齢化先進国日本がその経験を共有することへの期待は大きく、高齢化の中で持続可能なUHCを維持する際、いかなる政策パッケージが求められるか、また中央政府で政策策定・実施に携わる行政官が具体的支払いとサービス提供の両面においていかなる組織的・人的能力が求められるか分析し、それを国際協力機構(JICA)、国立国際医療協力センター(NCGM)、国立保健医療科学院(NIPH)が途上国における政策知見のニーズを踏まえて、中央でのUHC政策の策定、地方での政策の実施を後押しするために必要な人材育成プログラムを提示した。
さらに、日本におけるリーマンショックや東日本大震災が日本のUHCに与えた影響、UHCを達成した国でも見られる格差(UHCのほころび)について分析し、エボラのような感染症や災害に対してUHCの強靭性を高めるための施策のあり方を分析した。それらを踏まえて、エボラ危機後のグローバルヘルス・ガバナンスのあり方を、緊急対応から保健システムやコミュニティの強靭性を高める活動まで切れ目なく支援するメカニズムのあり方を検討している
エボラ危機において感染が拡大した国での、脆弱な保健システムやWHOの指導力の欠如などに対しての大きな議論が起こっている。こうした観点から、保健システム強化、特に、我が国が進めてきたUHCは、今後ともさらに推進する必要がある。緊急時のみではなく、平時からの人材育成を含めた支援が必要であることが示された。
2016年日本のG7においては、健康危機と強靭な保健システムをテーマに、本研究班から人材育成なども含めた具体的なアクションを実施するためのアジェンダ設定の場とすべきことが示唆された。
結論
本研究の成果は、厚生労働省のWHO拠出金事業として検討されている保健医療政策人材を育成するプログラム創設のためのエビデンスとして活用される。また、特定化された日本の強みに基づき人材育成用テキストの構成案を作成し、我が国の戦略的な国際貢献、世界の国際保健への貢献につながっている。さらに、本研究を通じ、国際的な政策形成グループとの連携を強化し、中堅・若手研究者等の政策人材の育成も図った。
本研究は、2015年のポストMDGsの動きも踏まえ、我が国が議長国を務める2016年のG7サミットに向けた方向性や今後のプロセスに関する具体的な検討を効果的に行うための課題抽出に必要な基盤を形成した。本研究の成果は、 国際保健政策においてアジェンダ設定の場となっているマヒドン王子賞会議において報告し、成果を積極的に発表し、グローバルヘルス関係者から多くの支持を得た。さらに、世界銀行や海外の大学等のグローバル・パートナーの協力を得ながら、WHOと共に全世界、特にアジア太平洋地域において、UHCの達成に具体的に貢献する上で生かし得る日本の制度・ノウハウ・技術の強みを特定化し、2015年以降果たすべき日本の役割を再定義し、我が国の国際保健政策および外交政策の策定に寄与したものと考える。
高齢化社会を見据えたUHCの実現及びそれを可能にするグローバルヘルス・ガバナンスについて、我が国の制度を中心に研究を行い、国内外の諸機関と連携しながら2016年G7サミットに向けた戦略形成を行うことができた。
本研究は、2015年のポストMDGsの動きも踏まえ、我が国が議長国を務める2016年のG7サミットに向けた方向性や今後のプロセスに関する具体的な検討を効果的に行うための課題抽出に必要な基盤を形成した。本研究の成果は、 国際保健政策においてアジェンダ設定の場となっているマヒドン王子賞会議において報告し、成果を積極的に発表し、グローバルヘルス関係者から多くの支持を得た。さらに、世界銀行や海外の大学等のグローバル・パートナーの協力を得ながら、WHOと共に全世界、特にアジア太平洋地域において、UHCの達成に具体的に貢献する上で生かし得る日本の制度・ノウハウ・技術の強みを特定化し、2015年以降果たすべき日本の役割を再定義し、我が国の国際保健政策および外交政策の策定に寄与したものと考える。
高齢化社会を見据えたUHCの実現及びそれを可能にするグローバルヘルス・ガバナンスについて、我が国の制度を中心に研究を行い、国内外の諸機関と連携しながら2016年G7サミットに向けた戦略形成を行うことができた。
公開日・更新日
公開日
2015-06-04
更新日
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