文献情報
文献番号
201405006A
報告書区分
総括
研究課題名
カラーコンタクトレンズの規格適合性に関する調査研究
課題番号
H26-特別-指定-009
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
蓜島 由二(国立医薬品食品衛生研究所 医療機器部)
研究分担者(所属機関)
- 金井 淳(順天堂大学医学部 眼科学教室)
- 糸井 素純(順天堂大学医学部 眼科学教室)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,982,000円
研究者交替、所属機関変更
該当なし
研究報告書(概要版)
研究目的
カラーコンタクトレンズは、平成21年11月より高度管理医療機器に指定されており、製造販売等するためには、医薬品医療機器法に基づく承認等が必要とされている。平成26年5月22日に国民生活センターが公表した「カラーコンタクトレンズの安全性」に関する調査結果において、一部の製品の品質等に疑義が呈されたことから、本研究では、カラーコンタクトレンズの現状について国として実態を把握することを目的として、規格適合性試験のほか、海外におけるコンタクトレンズ承認基準に関する調査及びカラーコンタクトレンズによる眼障害の発生状況に関する調査を行った。
研究方法
規格適合性試験では、承認品17品目及び個人輸入品1品目を対象として、直径、ベースカーブ、中心厚、頂点屈折力及び外観形状を企業指定のSOPに準じた方法(企業SOP法)、企業指定の条件で膨潤させたレンズを国立衛研が所有する装置を用いて測定する方法(NIHS-SOP法)及びリン酸緩衝生理食塩液(PBS)中、20±0.5℃/30分以上膨潤させたレンズを国立衛研が所有する装置により測定する方法(NIHS-PBS法)により測定した。色素局在性は、従来法である光学顕微鏡観察、XPS解析及びSEM/EDX解析のほか、非破壊条件下に測定するOCT解析及びZ-Stack解析、並びにTOF-SIMS解析により評価した。海外におけるコンタクトレンズ承認基準に関する調査においては、CONTACT LENS MICROBIOLOGY WORKSHOPに出席し、FDA担当者から情報を収集した。眼障害の発生状況に関する調査においては、平成21,24年に日本眼科医会が実施したアンケート調査のデータを統計学的に二次解析した。また、国立衛研倫理審査委員会の承認を受けて、ソフトコンタクトレンズ装用者を対象として全国の眼科医療機関にアンケート調査を行った。
結果と考察
企業SOP法では、試験に供した全ての製品が規格に適合した。一方、膨潤条件や測定装置が企業SOP法と異なる試験においては、規格値を逸脱するケースが散見されたことから、第三者が実施した規格適合性試験の結果については、試験機関間の差を十分に考慮したうえで、慎重に取り扱う必要があることが判明した。色素局在解析を実施した結果、光学顕微鏡観察は解像度、XPS解析は検出感度、SEM/EDX解析は測定深度の問題から、色素が表面に露出していることを科学的に判定できないことが明らかとなった。一方、本研究で使用したOCT解析及びZ-Stack解析はレンズ内の色素分布を非破壊条件下に観察する手法として有用であると共に、色素の露出状況はTOF-SIMS解析により科学的根拠に基づいて判定できることが確認された。試験に供した18品目中10製品については色素が表面に露出している可能性が非常に高いと思われる科学的知見が得られたことから、色素が露出していないことを標榜するカラーコンタクトレンズの製造メーカにおいては、Z-Stack解析やTOF-SIMS解析等の試験方法を導入することの必要性を検討すべきであると思われる。
海外における審査基準に関する調査の結果、米国では日本と同様にカラーコンタクトレンズに特化した承認基準を設けていないことが判明した。また、米国ではコンタクトレンズの使用による眼障害の発生に関して、ケア製品の問題に由来する感染症等に重大な関心をもって対応しており、企業や専門家との会合の開催や様々なメディアを活用して啓発に努めていることが確認された。
日本眼科医会が実施したアンケート調査データを二次解析した結果、高学年、女子学生、長い装用期間、不適切なケア、量販店近くの眼科での定期検査、1日当たりの長時間の装用が眼障害の危険因子になることが判明した。カラーコンタクトレンズによる眼障害の発生状況に関する調査においては、使用方法・装用方法のほか、低含水率、低酸素透過性素材、長時間装用、色素による表面凹凸、色素の露出等が眼障害発生要因の上位に挙げられた。また、いずれの調査においても、インターネット・通販のような非対面による購入により、眼障害の危険が高まることが確認された。
海外における審査基準に関する調査の結果、米国では日本と同様にカラーコンタクトレンズに特化した承認基準を設けていないことが判明した。また、米国ではコンタクトレンズの使用による眼障害の発生に関して、ケア製品の問題に由来する感染症等に重大な関心をもって対応しており、企業や専門家との会合の開催や様々なメディアを活用して啓発に努めていることが確認された。
日本眼科医会が実施したアンケート調査データを二次解析した結果、高学年、女子学生、長い装用期間、不適切なケア、量販店近くの眼科での定期検査、1日当たりの長時間の装用が眼障害の危険因子になることが判明した。カラーコンタクトレンズによる眼障害の発生状況に関する調査においては、使用方法・装用方法のほか、低含水率、低酸素透過性素材、長時間装用、色素による表面凹凸、色素の露出等が眼障害発生要因の上位に挙げられた。また、いずれの調査においても、インターネット・通販のような非対面による購入により、眼障害の危険が高まることが確認された。
結論
規格適合性試験及び色素局在解析において得られた知見は企業における製品の改良や第三者が試験を実施するうえで非常に有益であるため、積極的に情報を配信する必要がある。海外における審査基準に関する調査において収集した米国のコンタクトレンズ規制に関する最新情報は、今後、日本の承認基準の見直しの要否を判断する際の基本資料として活用する。眼障害の発生状況に関する調査結果は、カラーコンタクトレンズの適正使用に関する啓発活動の一環として、眼科医療界、関連業界及び行政の所管部署等に広く情報を発信する。
公開日・更新日
公開日
2015-05-28
更新日
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