文献情報
文献番号
201405002A
報告書区分
総括
研究課題名
高齢化社会における死因究明の在り方等に関する研究
課題番号
H26-特別-指定-003
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
今村 聡(公益社団法人日本医師会)
研究分担者(所属機関)
- 松本 純一(公益社団法人日本医師会)
- 澤 倫太郎(公益社団法人日本医師会日本医師会総合政策研究機構)
- 上野 智明(公益社団法人日本医師会日本医師会総合政策研究機構)
- 水谷 渉(公益社団法人日本医師会日本医師会総合政策研究機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 厚生労働科学特別研究
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
5,400,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
わが国では高齢化の進展に伴い、今後在宅において死亡する高齢者、孤独死等の増加により、死因の究明が困難な事例も増加していくことが予想される。政府は死因究明等推進計画を策定し(平成26年6月)、今後は死因究明の充実に向けた取り組みを進めることとしており、本研究は、この課題の解決に向けて、検案の実施体制に関する実態把握、検案する医師の能力向上のための教材開発を行い、必要な提言を行おうとするものである。本研究は、警察の検視への立ち会い、検案を担う医師(いわゆる警察医)を組織する日本医師会及び都道府県医師会等の全面的な協力を受けることにより、より実態を反映した研究結果が期待される。
研究方法
都道府県並びに郡市医師会等の協力の下に、検案に必要な検査・解剖の範囲、料金の負担割合等の実態を把握するため、各都道府県医師会の「警察活動に協力する医師の部会(仮称)」に所属する全国1,000名の医師を対象に、平成26年2月下旬、都道府県医師会長あてに各々の所属会員数に応じて案分した件数のアンケートを郵送し、郵便及びFAXにて回収を行い集計した。また、研究分担者、研究協力者らで構成する会議を開催し、e-learningの教材等の作成及び死亡診断書(死体検案書)の制度全体に係る課題の整理及び提言をとりまとめた。
結果と考察
アンケートについては有効回答率61.4パーセントと、高い結果が得られ、アンケートの最後に設けた自由記載欄においては、検視立ち会い、死体検案などの業務をめぐる待遇、安全対策、料金負担のあり方、死因究明体制全体のあり方について、地域の実情や意見、要望について、数多くのコメントが得られた。集計結果を、3つの質問群(回答者属性・具体的検案業務内容・検案検査料金と報酬)から概観し、図表化することによって分析したうえで、検案の実施体制に関する実態の把握に努めた(具体的な考察内容については報告書本文p.9~23を参照)。
また、死亡時画像診断に特化したe-learningシステムとして、提示された症例と画像から、読影と診断を学習できるサイトを開設した。平成26年度は、20症例についてさしあたり、症例、Ai画像を提示する画面と、正解となる診断名と判断のポイントを表示する二画面からなる基本的な骨格を完成させた。今後は、この基本的な構造をさらに進化させ、学習効果の高い教材へと改善させていくことが必要と考える。
さらに、研究分担者、研究協力者らで構成する会議およびメーリングリストを活用した意見交換を行った結果、死亡診断書(死体検案書)作成支援ソフト橙(DiedAi)を開発した。現状においても、このソフトを利用することにより、死亡診断書・死体検案書の作成には相当な省力化が図られるとともに、誤記や傷病名の選択ミスを防ぎ正確な診断書、検案書の作成に寄与するものと考えられる。また、将来的には在宅患者の患家での死亡診断や検案現場等での書面作成においても、クラウドネットワークを介して患者情報の参照や作成医師の認証等が可能な仕様とし、診断書・検案書を正確かつ円滑にどこでも作成できるようなシステムへと発展させていきたいと考える。次年度の研究では、現行の書式をどのように変更すれば、作成する医師にとっても負担が少なく、また統計的な利活用にも適したものとなるのか、具体的な検討を進め、さらにはそれを電子的に作成できるよう、本ソフトウエアの改良へと繋げていきたいと考える。
また、死亡時画像診断に特化したe-learningシステムとして、提示された症例と画像から、読影と診断を学習できるサイトを開設した。平成26年度は、20症例についてさしあたり、症例、Ai画像を提示する画面と、正解となる診断名と判断のポイントを表示する二画面からなる基本的な骨格を完成させた。今後は、この基本的な構造をさらに進化させ、学習効果の高い教材へと改善させていくことが必要と考える。
さらに、研究分担者、研究協力者らで構成する会議およびメーリングリストを活用した意見交換を行った結果、死亡診断書(死体検案書)作成支援ソフト橙(DiedAi)を開発した。現状においても、このソフトを利用することにより、死亡診断書・死体検案書の作成には相当な省力化が図られるとともに、誤記や傷病名の選択ミスを防ぎ正確な診断書、検案書の作成に寄与するものと考えられる。また、将来的には在宅患者の患家での死亡診断や検案現場等での書面作成においても、クラウドネットワークを介して患者情報の参照や作成医師の認証等が可能な仕様とし、診断書・検案書を正確かつ円滑にどこでも作成できるようなシステムへと発展させていきたいと考える。次年度の研究では、現行の書式をどのように変更すれば、作成する医師にとっても負担が少なく、また統計的な利活用にも適したものとなるのか、具体的な検討を進め、さらにはそれを電子的に作成できるよう、本ソフトウエアの改良へと繋げていきたいと考える。
結論
今期の研究では、テーマ全体の基礎的な情報を得る目的で、検案業務に関する実態調査アンケートを実施し、検視立ち会い・検案を担う医師の人材不足と、報酬や身分保障の面での課題が多いことが明らかとなった。また、検案の現場を担う医師からは、死亡時画像診断の活用をはじめ、検案業務に関する研修の機会の充実など、具体的な施策を求める意見や提言も多く聞かれた。
これらのアンケート結果や意見をもとに、本研究においては、検案を担う医師が死亡時画像診断に習熟しやすい環境を整えるためにも、試作を終えた死亡時画像診断のe-learningシステムをさらに学習効果の高い内容へと進化させていく必要があると考えられた。
また、同様に試作を終えた死亡診断書・死体検案書作成支援ソフト橙(DiedAi)についても、検案担当医の負担軽減と正確な書類作成を実現するうえで極めて有用性が高いものと考えられ、早期の実用化をめざすべきと考えられた。
加えて、現行の診断書式をもとにして、今後の死因究明を重視する社会の実現のために、あるべき死亡診断書・死体検案書の様式や制度についても、早期に提言をとりまとめることが喫緊の課題であると考えられる。
これらのアンケート結果や意見をもとに、本研究においては、検案を担う医師が死亡時画像診断に習熟しやすい環境を整えるためにも、試作を終えた死亡時画像診断のe-learningシステムをさらに学習効果の高い内容へと進化させていく必要があると考えられた。
また、同様に試作を終えた死亡診断書・死体検案書作成支援ソフト橙(DiedAi)についても、検案担当医の負担軽減と正確な書類作成を実現するうえで極めて有用性が高いものと考えられ、早期の実用化をめざすべきと考えられた。
加えて、現行の診断書式をもとにして、今後の死因究明を重視する社会の実現のために、あるべき死亡診断書・死体検案書の様式や制度についても、早期に提言をとりまとめることが喫緊の課題であると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2015-06-01
更新日
-