アジア諸国の献血制度の構築と普及に関する研究

文献情報

文献番号
201403025A
報告書区分
総括
研究課題名
アジア諸国の献血制度の構築と普及に関する研究
課題番号
H26-地球規模A-指定-001
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
宮崎 泰司(国立大学法人長崎大学 原爆後障害医療研究所原爆・ヒバクシャ医療部門血液内科学研究分野(原研内科))
研究分担者(所属機関)
  • 野崎 慎仁郎(国立大学法人長崎大学 国際連携研究戦略本部 国際関係学)
  • 福吉 潤(株式会社キャンサースキャン)
  • 瀧川 正弘(日本赤十字社 血液事業本部 献血推進課)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
8,592,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
我が国の1970年代及び80年代の献血制度の構築と普及に関する経験とノウハウ、また、カンボジアモデルを完成させ、周辺国に両方の経験を伝達していく。以って、開発途上国における献血制度の普及を促進するという国際貢献を図っていくことが本研究の目的である。 これまでの前身の研究において、カンボジアで大学生をターゲットにして献血運動を盛り上げることに成功した。その経験を通じて、献血活動を広めるためには、どのようにキャンペーンを実施したかではなく、どのように大学等と連携したかというその国の事情にあったノウハウが重要であることが分かった。本研究ではカンボジアでの成果をまとめ、それを定着させると共にこうした活動を他のアジア諸国へ広げていく。
研究方法
本研究の主要計画は以下の3点である。
1. カンボジアにおける大学献血キャンペーンモデルの定着化を図る。
2. カンボジア王国献血思想普及5ヵ年ActionPlanの策定に着手する。
3. 周辺国を巻き込んだ国際会議やワークショップを開催し、モデルケースの伝達をする。
 初年度は1及び2を先行させ、カンボジアモデルの完成を目指す一方、周辺国への普及を開始する。第二年度は、カンボジアモデルを完成させ、周辺国への普及を推進するとともに、カンボジアモデルを国家計画とできるよう、5ヵ年Action Planの策定をカンボジア政府と協力し、開始する。最終年度は、周辺国への普及を継続するとともに、上記5カ年計画の策定を完了する。
 これを実行するために、カンボジアにおける大学生による献血キャンペーンを支援するワークショップ開催と彼らによる献血活動の実績評価、Action plan策定に関連してカンボジア国立輸血センター(National Blood Transfusion Center, NBTC)、WHO、政府関連機関と協力した会議の開催、アジア周辺諸国の担当者が参加する国際会議の開催等が必要となる。研究においては、当該国政府及びWHOとの連携を密にして進めることとする。
結果と考察
(1)カンボジアでアジア諸国を含む7カ国が参加する国際会議を開催した。今回の会議では昨年度のカンボジアにおける献血キャンペーンの実績を学生達と共有し、事実上の首都キャンペーンと出来たこと、凡そ1万人の参加者を献血キャンペーンに呼び込めたことなどを強調することにより、大学生の成功体験としての実感を醸成し、2年目の計画を行わせることにより、継続の重要性を浸透させることができたと思われる。
(2)アジア諸国、オーストラリア、日本の献血活動の状況、それぞれの国が抱える問題点を、各国の献血担当者が発表することで、貴重な情報を共有することが出来た。国の様々な状況が献血活動に大きく影響していることがよく理解できた。また、個々の国の状況を十分に把握する必要性も明らかとなった。
(3)カンボジア以外の国における献血活動の状況を把握するため、ベトナムのハノイにある国立血液学・輸血学研究所を訪問した。ハノイではこの研究所に血液センターが隣接されており、その状況を視察することが出来た。さらに、大学における献血活動も見学でき、ハノイにおける献血活動の概要を把握することが出来た。
カンボジア以外のアジア諸国においては献血推進状況に大きな差が見られる。2020年までに血液製剤の原料を自国で賄うという目標を達成するためには、それぞれの状況に応じた地道な活動が必要であると考えられる。
結論
発展途上国の一つであるカンボジアにおいて、大学生を中心とした献血活動定着へのサポートを行った。加えて、アジア、オーストラリア7カ国による献血活動に関する国際会議を開催し、各国の献血活動の状況と問題点について情報共有を行った。さらに、ベトナムのハノイを訪問し、献血、血液製剤に関する状況を視察した。献血活動の十分な成熟のためには、それぞれの国の状況に応じたきめ細かな支援が必要であると考えられる。

公開日・更新日

公開日
2015-12-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201403025Z