文献情報
文献番号
201403020A
報告書区分
総括
研究課題名
化粧品中の微量不純物の分析法と実態調査に関する研究
課題番号
H25-地球規模-指定-005
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
五十嵐 良明(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
研究分担者(所属機関)
- 秋山 卓美(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
4,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
日米欧カナダの化粧品規制当局及び業界団体から成る化粧品規制協力国際会議(ICCR)は、鉛、1,4-ジオキサン、水銀を取り上げ、リスクアセスメント及び品質管理の点から含有限度量を規制する議論を進めている。鉛については推奨文書がICCRのホームページに掲載され、1,4-ジオキサン及び水銀については現在調整中である。日本は原料の品質管理によって最終製品の品質が確保されるとしているが、国際的な対応のためには今後最終製品での保証が重要となる。そのためには、規定される不純物の分析法の開発、及び規制値設定の根拠となるよう市販製品の実態調査をしておく必要がある。本年度は1,4-ジオキサンを含有する可能性のある界面活性剤原料とこれらを配合する市販製品を分析し、1,4-ジオキサン含有量の実態を明らかにすることを目的とした。水銀についてはICP発光分析装置での検出感度、及び試料前処理法の適用性について確認する。
研究方法
界面活性剤原料としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム液等5種類を入手した。市販シャンプー67製品を購入し、昨年度開発した条件のヘッドスペース・ガスクロマトグラフィー/質量分析法(HS-GC/MS)で分析した。
水銀については、文献の試料溶液調製法の適用性を調べた。試料に硝酸溶液を加えて超音波処理した後、不溶物を除去し、一定濃度の水銀標準溶液を添加したものを試料溶液とした。ICP発光装置を用い、それぞれについて水銀に選択的な波長における発光量を測定した。水銀標準溶液との発光量との比較を行い、標準添加法の条件を最適化した。本法を市販製品に適用し、水銀含有量を求めた。
水銀については、文献の試料溶液調製法の適用性を調べた。試料に硝酸溶液を加えて超音波処理した後、不溶物を除去し、一定濃度の水銀標準溶液を添加したものを試料溶液とした。ICP発光装置を用い、それぞれについて水銀に選択的な波長における発光量を測定した。水銀標準溶液との発光量との比較を行い、標準添加法の条件を最適化した。本法を市販製品に適用し、水銀含有量を求めた。
結果と考察
1,4-ジオキサンは試験した界面活性剤のいずれにも検出されたが、その含有量は製造会社によって大きく異なった。原料の製造工程で硫酸エステル化が1,4-ジオキサンの生成に寄与すると考えたが、そうした語句のない名称の原料でも定量された。含有量が25μg/gを超える原料も多く認められた。1,4-ジオキサンが定量されたシャンプーにはラウレス硫酸Naまたはラウレス硫酸アンモニウムが主成分となっており、定量限界以下とされた製品には別の界面活性剤が使われていた。1,4-ジオキサン濃度が10μg/gを超えるシャンプーは3製品で、検出された量は原料中の濃度や配合量から想定される範囲であった。シャンプー中の1,4-ジオキサンは特定の界面活性剤以外から由来することはないとされており、安全性の確保のためには界面活性剤原料中の低減化対策が重要と考えられる。
水銀化合物の毒性は周知のことであり、化粧品に混入しないよう十分な品質管理がされていると考えられる。化粧品中の水銀量を分析した報告はNGOによるもの以外ほとんどなく、その分析法自体も明確でなかった。今回酸で希釈して調製した試験溶液をICP発光分析装置で分析した。しかし本調製法では水銀の発光がマトリックス成分の影響を受けたため、標準添加法で定量を行った。多種多様の化粧品の試験を行うにはマトリックスの影響を受けない前処理法の検討とICP-MS等で検出感度を上げることが重要と考えられた。
水銀化合物の毒性は周知のことであり、化粧品に混入しないよう十分な品質管理がされていると考えられる。化粧品中の水銀量を分析した報告はNGOによるもの以外ほとんどなく、その分析法自体も明確でなかった。今回酸で希釈して調製した試験溶液をICP発光分析装置で分析した。しかし本調製法では水銀の発光がマトリックス成分の影響を受けたため、標準添加法で定量を行った。多種多様の化粧品の試験を行うにはマトリックスの影響を受けない前処理法の検討とICP-MS等で検出感度を上げることが重要と考えられた。
結論
各種界面活性剤原料及びシャンプー製品中の1,4-ジオキサンの実態調査を行った。1,4-ジオキサン濃度が25μg/gを超える原料が認められた。10μg/gを超えるシャンプーは3製品あった。シャンプーに使われる界面活性剤としてはラウレス硫酸Naとラウレス硫酸アンモニウムが多く、1,4-ジオキサンが定量された製品はこれらの界面活性剤が主成分となっており、定量限界以下の製品には別の界面活性剤が使われていた。検出された1,4-ジオキサンの濃度は、原料の濃度や配合量から想定される範囲であった。1,4-ジオキサンは特定の界面活性剤以外から由来することはないとされており、界面活性剤原料の品質向上が市販製品の安全性確保に重要と考えられた。
水銀の定量法としてICP発光分析法を検討し、化粧品に適用した。酸で希釈して調製した試験溶液を分析したところ、水銀の発光がマトリックス成分の影響を受けたため、標準添加法を採用した。本調製法は種々の化粧品に適用するには十分でないことから、今後マトリックスの影響を受けない前処理法の検討及びICP-MS等を用いて検出感度を上げることが必要と考えた。
水銀の定量法としてICP発光分析法を検討し、化粧品に適用した。酸で希釈して調製した試験溶液を分析したところ、水銀の発光がマトリックス成分の影響を受けたため、標準添加法を採用した。本調製法は種々の化粧品に適用するには十分でないことから、今後マトリックスの影響を受けない前処理法の検討及びICP-MS等を用いて検出感度を上げることが必要と考えた。
公開日・更新日
公開日
2015-06-01
更新日
-