文献情報
文献番号
201403007A
報告書区分
総括
研究課題名
災害における公衆衛生的な活動を行う支援組織の創設に係る研究
課題番号
H24-地球規模-一般-012
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
高野 健人(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 大友 康裕(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
- 中村 好一(自治医科大学)
- 尾島 俊之(浜松医科大学)
- 山縣 然太朗(山梨大学 大学院)
- 押谷 仁(東北大学 大学院)
- 中村 桂子(東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科)
- 笹井 康典(大阪府枚方保健所)
- 宇田 英典(鹿児島県伊集院保健所)
- 坂元 昇(川崎市健康福祉局)
- 藤内 修二(大分県中部保健所)
- 近藤 久禎(国立病院機構災害医療センター)
- 金谷 泰宏(国立保健医療科学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 地球規模保健課題推進研究(地球規模保健課題推進研究)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
2,083,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
東日本大震災の発災後、被災地住民の健康を守るための医療支援や公衆衛生的な支援が多くの関係者によりなされてきた。しかし、感染症対策、避難所などの環境衛生、高齢者や乳幼児また疾病など健康にリスクのある人々へのケア、広く地域の廃棄物、汚水等の衛生管理、生活環境条件への支援など、中長期にわたる一貫性のある公衆衛生的支援をするための組織的仕組みが存在せず、災害における公衆衛生的な活動を行う支援組織の必要性が新たに認識されることとなった。そこで、災害発生初期から中長期にわたり、公衆衛生的な活動を行う支援組織の創設、その支援組織の活動内容、編成・登録・研修の方法、派遣方法、また、運用計画のあるべき要件、さらにはその実行を担う人材の備えるべきコンピテンシーとその能力修得のためのプログラムを示すことを目的として本研究を行った。
研究方法
災害発生初期から中長期にわたり、公衆衛生的な活動を行う支援組織の創設について、(1)災害時健康危機管理支援チームの活動内容、編成・登録・研修、派遣、運用計画、(2)災害支援パブリックヘルス業務に必要なコンピテンシー、(3)同チームを担う人材育成プログラムについての検討、また、(4)広域的な人材育成実施体制、および(5)諸外国における各国内の災害時のパブリックヘルス支援体制・人材育成の事例検討を行った。
結果と考察
「災害時健康危機管理支援チーム(DHEAT)」の創設と運用について、以下を提起した。災害時に迅速に被災地に入り、医療機関の被害の状況や、被災者の飲料水や食料、生活環境の衛生状態、感染症発生などの状況を把握して、被災地に必要な人的、物的支援の確保、供給、配置を行う「災害時健康危機管理支援チーム(Disaster Health Emergency Assistance Team: DHEAT)(仮称)」を設立する。DHEATを、被災地の都道府県庁、保健所、市町村の災害医療対策本部等に派遣し、その指揮のもとで一定の権限をを付与され被災地の災害対策を支援する。全国で標準化した研修・訓練制度を確立し、その修了者に対してDHEATへの資格を与え、登録する。民間団体やボランティア団体等に所属する公衆衛生の専門性を備えた人材も、DHEATの一員として参画できる仕組みを構築する。全国的な組織の運営、支援チーム派遣、情報管理と情報発信を担うための、各地域の実状を反映した全国的なシステムを構築する。DHEATと災害派遣医療チーム(DMAT)等との都道府県レベルにおける連携をはかり組織体制を構築する。国内の災害支援に限定せず、国際的な支援および海外からの支援受入等をも視野に入れる。
結論
「災害時健康危機管理支援チーム(Disaster Health Emergency Assistance Team: DHEAT)」は災害発生時に迅速に被災地に入り、医療機関の被害の状況や、被災者の飲料水や食料、生活環境の衛生状態、感染症発生などの状況を把握して、被災地に必要な人的、物的支援の確保、供給、配置を行う」組織である。被災地の都道府県庁、保健所、市町村の災害医療対策本部等に派遣され、その指揮のもとで被災地の災害対策を支援する組織とする。
DHEATは行政組織間の連携による災害時の公衆衛生支援体制の整備であるとともに、DHEATの活動を通じて被災地の状況などに関する情報を一元的に管理して提供することにより、一般のボランティア活動などの需給のミスマッチを事前に防ぐ効果も期待できる。DHEATは災害医療コーディネーターやDMAT、JMAT等と都道府県レベルにおいても十分に連携により、組織体制が強化される。また、国内の被災支援に限定せず、国際的な支援および海外からの支援受け入れなども視野に入れた活動も将来的に必要となると考えられる。
DHEATは行政組織間の連携による災害時の公衆衛生支援体制の整備であるとともに、DHEATの活動を通じて被災地の状況などに関する情報を一元的に管理して提供することにより、一般のボランティア活動などの需給のミスマッチを事前に防ぐ効果も期待できる。DHEATは災害医療コーディネーターやDMAT、JMAT等と都道府県レベルにおいても十分に連携により、組織体制が強化される。また、国内の被災支援に限定せず、国際的な支援および海外からの支援受け入れなども視野に入れた活動も将来的に必要となると考えられる。
公開日・更新日
公開日
2015-06-01
更新日
-