医師・歯科医師・薬剤師調査や医療施設調査等を用いた医師確保対策に関する研究

文献情報

文献番号
201402005A
報告書区分
総括
研究課題名
医師・歯科医師・薬剤師調査や医療施設調査等を用いた医師確保対策に関する研究
課題番号
H26-統計-一般-001
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
小池 創一(自治医科大学地域医療学センター 地域医療政策部門)
研究分担者(所属機関)
  • 康永 秀生(東京大学大学院医学系研究科 臨床疫学・経済学講座)
  • 松本 正俊(広島大学医学部 地域医療システム学講座)
  • 井出 博生(千葉大学医学部附属病院 地域医療連携部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 政策科学総合研究(統計情報総合研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
2,600,000円
研究者交替、所属機関変更
所属機関異動 研究代表者 小池創一 所属機関名 東京大学大学院医学系研究科医療経営政策学講座(平成26年4月1日~30日) → 自治医科大学地域医療学センター(地域医療政策部門)(平成26年5月1日以降)

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、医師・歯科医師・薬剤師調査、医療施設調査、患者調査等の既存統計情報のデータを統計法の手続きに沿って利用申請を行い、分析を行うことで、個別の調査だけでは明らかにすることができない医師確保に与える多様な要因を検討することにある。
研究方法
医師・歯科医師・薬剤師調査、医療施設静態調査、病院報告、患者調査、受療行動調査の調査票情報を統計法の定めに従って利用申請を行い、許可を得て分析を行った。2年計画の1年次にあたる平成26年度は、外科専門医のキャリアに関する検討、脳神経関連専門医の配置と脳梗塞の予後の関連、産科医療および画像診断機器の地理的分布と集約度の研究、患者調査(退院票)と医療施設調査による受療圏の推定、歯科医師の将来推計等を行った。
結果と考察
1. 外科専門医のキャリアに関する検討
 外科専門医を取得する時期、継続を行わなくなる時期を明らかにするとともに、外科専門医が専門医を継続するオッズは、男性であること、医育機関勤務であること、経験年数が短いこと、サブスペシャルティ領域の専門医をすでに取得していることで高くなるとの結果を得た。現在、専門医制度の確立に向けた様々な動きがあるが、本研究により外科専門医のキャリアについて明らかに出来たことで、今後、他の領域の専門医の状況や、今後、導入される専門医制度の構築の中で、新専門医養成制度が地域医療に与える影響についても検討するための基礎資料が得られる可能性が示唆されたものと考える。

2. 脳神経関連専門医の配置と脳梗塞の予後の関連
脳神経関連専門医が3名以上配置されている病院における治療は2名以下の病院での治療に比べ、脳梗塞症例の在院死亡率を有意に低下させることを示した。国外では種々のガイドラインに基づいて脳血管疾患を集約化する脳卒中センターの整備が進んでいるが、本研究の結果は、脳神経関連専門医の配置が脳梗塞症例のアウトカムを改善する可能性を示唆しており、脳卒中センターの認定基準と専門医配置の関係について政策的含意があるものと考えられる。

3. 産科医療および画像診断機器の地理的分布と集約度の研究
近年分娩取扱い病院は減少した一方、病院あたりの分娩数は増加していたこと、病院あたりの産科医、産科医あたりの分娩数はともに増加している等、産科医療機関の集約化が急速に進んでいる現状を明らかにした。また、CT、MRI、PETの台数および撮影回数の推移をみるとすべての機器において増加が認められたが、増加率はPETにおいて最も大きく、続いてCT、 MRIの順であった。また、市区町村を大都市、市、町村に分けた場合、CTは大都市よりも市や町村に偏った分布、MRIはやや大都市や市に偏った分布、PETはかなり大都市偏重の分布になっていた。画像診断機器については、資源の総量が少ないうちはその資源は大都市や大施設に偏った分布になるが、資源量が増えるにしたがって需要の分布に一致した分布をとるようになってくるという「空間競合仮説」が概ね成り立っていることが明らかになった。

4. 患者調査(退院票)と医療施設調査による受療圏の推定
退院患者の医療機関への時間距離を全入院、通常入院、救急入院、正常分別別に明らかにした。また、年齢階級別に見ると小児および高齢者の方が、それ以外と比較して時間距離が短い傾向にあることを明らかにした。本研究により患者調査と医療施設調査による受療圏の推定のための基礎的なデータ分析が可能となったことを踏まえ、今後は、二次医療圏別など保健医療計画に関連する二次医療圏別など保健医療計画に関連する地域別の分析を行い、時間距離の長短を説明する要因を明らかにするとともに、患者、病院の双方の属性を手掛かりとして、疾患別の分析を行うことが必要と考えられた。

5. 歯科医師の将来推計
歯科医師の総数はこれまで増加を続けていたが、今後は減少に転ずることを明らかにした。一方、我が国の人口減の影響もあり、人口当たりの歯科医師数はいずれ底を打つものと考えられた。人口当たりの開業医数が減る一方で勤務医割合が増加することは、歯科医師の勤務割合の勤務先の分布が大きく変わってゆくことを意味する。また、歯科医師の男女別・年齢別の構成も大きく変化してゆくものと考えられるため、今後の歯科医療の供給を考える上では、人数以外の要因も考慮に要因について考慮に入れた供給体制の検討が必要であると考えられる。
結論
複数の統計データ用いることで、個別の調査だけでは行うことができない詳細な分析を実施できることが明らかとなり、既存の統計調査データの二次分析による医師確保に関する様々な研究へ利用可能性が示された。

公開日・更新日

公開日
2015-05-21
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201402005Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
2,600,000円
(2)補助金確定額
2,600,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,119,138円
人件費・謝金 252,321円
旅費 296,406円
その他 932,135円
間接経費 0円
合計 2,600,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2016-06-14
更新日
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