文献情報
文献番号
201401021A
報告書区分
総括
研究課題名
レセプト情報・特定健診等情報データベースの利活用に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H25-政策-指定-012
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
大江 和彦(東京大学医学部附属病院 企画情報運営部)
研究分担者(所属機関)
- 今中 雄一(京都大学医学研究科)
- 満武 巨裕(一般財団法人医療経済研究・社会保険福祉協会 医療経済研究機構)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,696,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
レセプト情報・特定健診等情報データベースは、医療サービスの質の向上を目的とする公益性の高い研究等にも活用する観点から、本データの第三者への提供が2011年度より試行的に開始されているが、研究者による利用は必ずしも十分な件数に拡大しておらず、また利用にあたって研究者からみた課題も少なからずある。利用申請や審査に関わる手続き上の利便性等の課題はさておき、研究の質の確保の観点から利活用環境にどのような課題があるかについて検討し今後の検討課題を抽出し改題解決の方向性を提示することが本研究の目的である。
研究方法
本年度はこの観点から、二次活用を推進するためのデータセット抽出時の病名情報に関する条件指定のあり方の検討、二次活用の具体的なあり方の検討を行うとともに、本年度から試行提供が始まったNDBのサブセットとして汎用性の高い基本データセットを検討する上で韓国のHIRAが作成したHIRA-NPSデータセットの調査を実施した。
結果と考察
レセプト件数12,060、傷病数35,883の分析により、各薬剤について上位100病名が選択されたが、当然含まれるべき傷病名が必ずしも含まれない、対象傷病名の近接ICD10コードを条件に含める必要がある場合などがあった。このことから、特に生活習慣病において、分析の立場によってデータ抽出条件設定が異なることにより研究対象となる疾患名に大きなズレがおこる可能性があり、データ抽出条件設定におけるICD-10コードによる選択や、臨床的な関連性によるカテゴリー追加などにおいて、なんらかの標準的な傷病カテゴリー選択を指南するリストの作成などが必要であることが強く示唆された。
NDBの近畿圏限定のデータにより、急性心筋梗塞の性・年齢階層別の院内死亡率を算出したところ、別途算出されたDPCデータに基づく算出値とおよそ同程度である可能性が示唆された。また、NDBにより実際の地域レベルで医療のパフォーマンスを示すことができることが示された。一方で、NDBが使えない時に、急性心筋梗塞のような疾患ではDPCデータが整備されている病院でのデータが約8.5割を占めると推定された。これらの結果は、今後のNDBが国全体でのDPCデータ解析結果の位置づけの参考情報となる。また、地域毎の急性期脳梗塞治療を可視化する別の研究などと合わせて考察すると後の医療資源再配備や制度再編において、示唆に富む情報がNDBから得られうることがわかった。
NDBから提供されるデータセットは、利用者が分析し易い形式に加工して提供する特別抽出と一月分のサンプリングデータの提供サービスが存在している。加えて提供件数の増加につながると共に負担軽減にもつながると考えられる、汎用性の高い基本データセットの設計と作成が検討され、今年度から試行提供が始まった。韓国のHIRA-NPSは、今後の日本の汎用性の高い基本データセットの提供サービスを拡充する上で有益であると考えられた。
NDBの近畿圏限定のデータにより、急性心筋梗塞の性・年齢階層別の院内死亡率を算出したところ、別途算出されたDPCデータに基づく算出値とおよそ同程度である可能性が示唆された。また、NDBにより実際の地域レベルで医療のパフォーマンスを示すことができることが示された。一方で、NDBが使えない時に、急性心筋梗塞のような疾患ではDPCデータが整備されている病院でのデータが約8.5割を占めると推定された。これらの結果は、今後のNDBが国全体でのDPCデータ解析結果の位置づけの参考情報となる。また、地域毎の急性期脳梗塞治療を可視化する別の研究などと合わせて考察すると後の医療資源再配備や制度再編において、示唆に富む情報がNDBから得られうることがわかった。
NDBから提供されるデータセットは、利用者が分析し易い形式に加工して提供する特別抽出と一月分のサンプリングデータの提供サービスが存在している。加えて提供件数の増加につながると共に負担軽減にもつながると考えられる、汎用性の高い基本データセットの設計と作成が検討され、今年度から試行提供が始まった。韓国のHIRA-NPSは、今後の日本の汎用性の高い基本データセットの提供サービスを拡充する上で有益であると考えられた。
結論
レセプト情報等の活用に際しては、データの特性と限界を踏まえて分析を行えば、社会的に価値ある多くのアウトプットが算出できる。また、本データベースの活用環境の改善に向けては、特に生活習慣病において、分析の立場によってデータ抽出条件設定が異なることにより研究対象となる疾患名に大きなズレがおこる可能性があり、データ抽出条件設定におけるICD-10コードによる選択や、臨床的な関連性によるカテゴリー追加などにおいて、なんらかの標準的な傷病カテゴリー選択を指南するリストの作成などが必要であることが強く示唆された。また前年度研究で指摘された生涯通じての一意の個人IDの実装が強く望まれる。また、韓国のHIRA-NPSは、韓国国内において1年間に医療機関を利用した全患者対象(約4600万名)を母集団として、性別・年齢(5歳単位)区間による患者単位の層化系統抽出を行ったデータセットであり、1)健康保険に関する診療情報の利活用の増大、2)情報公開を促進させると同時にHIRAのデータ提供に要する業務を効率化、を目的としており、事前に作成したHIRA-NPSを研究者に提供することで、前述の目的を達成しようとしていた。日本のNDBレセプト情報等データベースの利用促進のために、汎用性の高い基本データセットの設計と作成が検討され、今年度から試行提供が始まったため、日本の基本データセットを考える上で有益であると考えられた。
公開日・更新日
公開日
2015-06-11
更新日
-