若年性認知症と高次脳機能障害者の社会保障のあり方に関する調査研究

文献情報

文献番号
201401019A
報告書区分
総括
研究課題名
若年性認知症と高次脳機能障害者の社会保障のあり方に関する調査研究
課題番号
H26-政策-一般-009
研究年度
平成26(2014)年度
研究代表者(所属機関)
八重田 淳(筑波大学 人間系)
研究分担者(所属機関)
  • 駒村康平(慶應義塾大学 経済学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 行政政策研究分野 【補助金】 政策科学総合研究(政策科学推進研究)
研究開始年度
平成26(2014)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
5,880,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究は、働き盛りの世代に発症する若年性認知症、高次脳機能障害等を対象に国内外実態調査を行い、中途障害者の社会保障制度を整備するための基礎資料を得ることを目的とする。研究実施3カ年計画の1年目には、中途障害者の生活・就労ニーズ対応型サービスの実践に関する国内外の情報収集を専門家へのヒアリングを通じて行う。2年目は、中途障害者リハビリテーションの医療、就労、福祉領域における科学的な知見を得るための調査を実施する。3年目には、その知見をもとに中途障害者の新しい社会保障制度のモデルを構築し、その妥当性と実効可能性について当事者及び関連機関に対するヒアリングを行う。
研究方法
平成26年度は、平成27年度に実施を予定している調査に先立ち、国外における中途障害者の社会保障の現状と課題を明らかにすべく、我が国における先行研究調査及び米国、オーストラリア、台湾における当該研究機関を対象とした研究者ネットワーク会議を実施した。海外における対象は、下記の通りである。
①米国;サンフランシスコ州立大学、ニューヨーク市立大学、南イリノイ大学
②オーストラリア;シドニー大学、モナシュ大学
③台湾;国立台湾彰化師範大学

結果と考察
ヒアリングを通して明らかになった若年性認知症・高次脳機能障害の社会保障及び就労支援に関する課題として、(1)早期アセスメントと介入の必要性、(2)現行社会保障制度内での対応困難性、(3)本人による障害認知と社会心理的な行動制限の問題、(4)家族中心的アプローチへの期待と限界、(5)事業主を含む地域社会の障害理解不足、(6)若年性認知症及び高次脳機能障害の地域就労支援に関する人材整備、(7)科学的根拠に基づく実践と量的・質的研究の不足が挙げられた。
若年認知症患者の就労継続に関する課題として、主に、次のような点が明らかになった。まず、患者の就労継続については、本人の職業能力等だけでなく、支援関係者の対応や支援能力等が重大な影響を及ぼす可能性が示唆される。また、発症後に関わる制度が多岐に渡るため、その手続きの煩雑さや情報自体の不足、さらには制度の構造的な問題により、本来受けるべき支援が受けられないなど、本人・家族に経済面・生活面での不利益が生じている現状が垣間見えた。さらに、働き盛りの世代での発症により、介護と就労(生計維持)の両立に苦慮する家族の実態が散見された。



結論
今年度の結果を踏まえた次年度の研究では、諸外国の若年性認知症コーディネーターの役割研究と事例研究、高次脳機能障害者本人による雇用継続プロセスの研究と医療機関から就労支援機関への移行に関する研究、当事者と家族の社会心理的研究、若年性認知症の就労と生活実態に関する継続調査研究が望まれる。
そのうえで、若年性認知症と高次脳機能障害の社会保障と就労支援の在り方について提言を行う。

公開日・更新日

公開日
2015-07-01
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201401019Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
6,762,000円
(2)補助金確定額
5,470,000円
差引額 [(1)-(2)]
1,292,000円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 1,627,566円
人件費・謝金 447,051円
旅費 2,193,316円
その他 488,892円
間接経費 713,515円
合計 5,470,340円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2019-05-15
更新日
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