バーチャルメガホスピタルの確立による精神疾患・がんの新規診断・治療法の開発

文献情報

文献番号
201337006A
報告書区分
総括
研究課題名
バーチャルメガホスピタルの確立による精神疾患・がんの新規診断・治療法の開発
課題番号
H25-実用化(国際)-指定-002
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
中村 哲也(群馬大学医学部附属病院臨床試験部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト 難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究(国際水準臨床研究分野)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
70,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 症例集積性の向上と治験ネットワークの効率的な運用を目的に、被験者リクルートを円滑に行うバーチャルメガホスピタルの構築を目標とした。前橋・高崎・佐久・深谷コア5治験・臨床研究病院(群馬大学医学部附属病院、前橋赤十字病院、国立病院機構高崎総合医療センター、深谷赤十字病院、JA長野厚生連佐久総合病院佐久医療センター)においては、ウェブ会議共同IRB(institutional review board)、中央治験事務局、リモートSDV(Source document verification)モニタリングセンターを設置し、治験の実施可能症例数調査から治験契約事務、モニタリング、安全性情報収集に至るまでをひとつのサイトで行えるワン・ストップ・サービスの実現を目指した。
研究方法
 これらのすべてを低コストで実現するために、高度なIT(Information Technology)化システムを開発し、前橋赤十字病院、国立病院機構高崎総合医療センター、深谷赤十字病院、JA長野厚生連佐久総合病院佐久医療センターには、VPN(Virtual Private Network)の専用回線を設置した。コア5治験・臨床研究病院における統一した標準業務手順書に基づき、IT化システムには安全性情報収集管理、モニタリング、重篤な有害事象報告、システム管理、GCP(Good Clinical Practice: GCP)省令への対応等を組み入れた。さらに、ER/ESガイドライン(Electronic Records and Electronic Signatures)に対応したCSV(computer system validation)を行い、企業治験、医師主導治験、ICH-GCP水準 (International Conference on Harmonisation of Technical Requirements for Registration of Pharmaceuticals for Human Use: ICH)の臨床研究の全てを支援できるシステム構成とした。
結果と考察
 治験関連文書を電磁的記録として保存等することについては、治験手続きの効率化の方策として有用であると考えられている。群馬大学医学部附属病院に設置されている重粒子線治療装置とマルチモダリティ脳機能画像診断装置を用いた治験・臨床研究を効率的に実施するためにも、IT化は避けて通れない。平成24年12月28日付けで改正されたGCP省令、「「医薬品の臨床試験の実施の基準に関す省令」のガイダンスについて」及び「治験に係る文書又は記録について」においては、治験手続きの効率化に繋がる事項が盛り込まれ、国内における治験手続きの効率化は、確実に進捗している。しかしながら、電磁的記録の特性及びその留意事項に対する関係者間の認識が異なっていることから、多くの実施医療機関では治験関連文書の電磁的記録による保存等が十分広まっていないのも現状である。
結論
 本研究では、バーチャルメガホスピタルである前橋・高崎・佐久・深谷コア5治験・臨床研究病院における統一した標準業務手順書に基づき、安全性情報収集管理、モニタリング、重篤な有害事象報告、システム管理、またGCP省令で示されている規則や手順をIT化システムに組み入れた。さらに、ER/ESガイドラインに対応したCSVを行い、企業治験、医師主導治験、ICH-GCP水準の臨床研究の全てを支援できるシステム構成とした。新たな技術の進歩に伴い、メガホスピタルの運用の見直しを継続して行い、症例集積性向上と治験ネットワークの効率的な運用がどのように達成されたかを繰り返し検証することが今後の重要な課題である。

公開日・更新日

公開日
2015-03-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201337006Z