文献情報
文献番号
201337001A
報告書区分
総括
研究課題名
新規医薬品・医療機器等の創出、難治性疾患の治療法の開発および最適な治療法の確立に関する研究
課題番号
H24-実用化(国際)-指定-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 典宏(北海道大学 北海道大学病院 高度先進医療支援センター)
研究分担者(所属機関)
- 久住 一郎(北海道大学大学院医学研究科 神経病態学講座 精神医学分野)
- 筒井 裕之(北海道大学大学院医学研究科 内科学講座 循環病態内科学分野)
- 宝金 清博(北海道大学病院 脳神経外科)
- 井口 晶裕(北海道大学病院 小児科)
- 西尾 妙織(北海道大学病院 内科Ⅱ)
- 白石 秀明(北海道大学病院 小児科)
- 大西 俊介(北海道大学大学院医学研究科 内科学講座 消化器内科学分野)
- 秋田 弘俊(北海道大学大学院医学研究科 内科学講座 腫瘍内科学分野)
- 山口 清次(島根大学医学部 小児科)
- 石毛 美夏(和田 美夏)(日本大学医学部 小児科学系 小児科学分野)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト 難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究(国際水準臨床研究分野)
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成28(2016)年度
研究費
69,231,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
画期的医薬品等の創出、小児疾患・難治性疾患に対する治療法の開発、最適治療の確立を目指し、臨床研究中核病院整備事業による基盤を活用し8つの研究テーマについて治験または臨床試験を実施する。
研究方法
研究1(新規培養法による自己骨髄間質細胞による脳梗塞の再生医療)医薬品医療機器総合機構薬事戦略相談(以下、PMDA相談)を行い、再生医療製剤の品質及び非臨床試験の検討を行った。また他家ヒト血小板溶解物(PL)の作成及びそれによる骨髄間葉系細胞の培養を検討した。研究2(臨床応用を目指した慢性炎症制御に基づく新規心血管病治療法の開発)PMDA相談を行い、再生医療製剤の品質及び非臨床試験の検討を行った。また健康人末梢血より治療量を想定した細胞を分離・培養し、その品質・機能等の検討を行った。研究3(小児難治性白血病に対するボルテゾミブ併用化学療法)小児難治性白血病に対するボルテゾミブ治療法の安全性確認と薬物血中濃度の測定の為、探索的臨床試験を実施中である。研究4(常染色体優性多発性嚢胞腎患者の肝嚢胞に対する球状塞栓物質による治療法開発)巨大肝嚢胞を有するADPKD患者を対象に球状塞栓物質の安全性と有効性を検討する臨床試験を開始した。またその成果を基に、本剤の薬事承認を目指してPMDA相談を行った。研究5(統合失調症ならびに双極性障害患者における糖脂質代謝障害と抗精神病薬使用時の代謝能変化に関する研究)第二世代抗精神病薬の使用ガイドラインの作成を目標に、多施設共同臨床試験を開始し、登録を進めている。研究6(ベザフィブラートによるミトコンドリア脂肪酸代謝異常症の治療)本剤の本疾患への適応を取得する為、医師主導治験を計画しPMDA相談を行った。その結果治験実施が可能となり、多施設共同による治験実施体制を整え、登録を開始した。研究7(重症クローン病に対する同種卵膜間葉系幹細胞による新たな治療法の開発)難治性の重症クローン病に対して、卵膜由来間葉系細胞による新規細胞治療を目指す。基礎研究はほぼ終了しており、製剤化を目指してPMDA相談を行った。研究8(HER2過剰発現・遺伝子増幅陽性腫瘍あるいはHER2遺伝子変異陽性腫瘍に対する個別化治療の開発)HER2陽性が一部の患者で見られる肺癌、稀少癌である唾液腺癌に対して、有効な治療法の開発を目指す。肺癌に対してはHER2陽性及び特異的遺伝子の探察を目的とした臨床研究を検討、唾液腺癌に対してはトラスツズマブの適応拡大を目的とした治験を検討した。
結果と考察
研究1:PMDA相談を実施し、本製剤の品質を確定した。引き続き非臨床試験についても相談を行い、試験項目を設定した。PLは、日本赤十字血液センターの協力を得て、品質及び非臨床試験を行うことができる分量を作成、健常人骨髄を用いて間葉系幹細胞の培養を行った。研究2:PMDA相談を実施し、本製剤の品質を確定した。引き続き非臨床試験についても相談を行い、試験項目を設定した。またこれと並行して健常人末梢血細胞由来の本製剤の作成を行い、製造の規格及び品質試験の内容を決定した。研究3:探索的臨床試験として、北海道大学病院で2例の患者の治療を行った。安全性に問題はなかった。またそれぞれの患者について薬物血中濃度測定(PK試験)を行った。研究4:5例のADPKD患者に対してEmbosphereによる塞栓治療を行い、重篤な有害事象は認められず、且つ有効性を示唆する所見が得られた。PMDA相談において薬事承認取得のデータパッケージについて議論を行った。その結果、次年度に医師主導治験を実施する方針となった。研究5:2014年3月末時点で38施設が倫理委員会の承認を得て、本研究に参加している。被験者登録は、323例まで進んでいる。引き続き登録を進めていく。研究6:PMDA相談では、有効性の評価指標と安全性確保の対策が問題となったが、評価資料として利用できる治験実施計画書が立案できた。2014年3月末時点で2施設が倫理委員会の承認を得、1名が登録された。研究7:PMDA相談では、まず品質の相談を行った。細胞培養法は概ね問題はなく、ウィンドウピリオドを考慮した感染症への対策の指導を受けた。非臨床では、造腫瘍性の検討について指導を受けた。これらを基に、次年度には非臨床試験を実施する予定である。研究8:肺癌に対しては、HER2陽性の判定と特異的遺伝子の探索を目的とした臨床研究の研究実施計画書を作成、北海道大学病院の倫理審査委員会の承認を得た。唾液腺癌に対しては、医師主導治験を計画しPMDA相談を行いプロトコールの骨子について決定した。
結論
各研究事業とも臨床研究中核病院整備事業の基盤を活用し、当初計画にほぼ準じた進捗状況で研究が進んでいる。次年度は本年度の成果を進め、医師主導治験、臨床試験を推進できることが期待できる。
公開日・更新日
公開日
2015-03-11
更新日
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