文献情報
文献番号
201336004A
報告書区分
総括
研究課題名
アルツハイマー病の根本治療・予防を目指すβアミロイド抑制薬のfirst in man, proof of concept試験
課題番号
H23-実用化(臨床)-指定-004
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
岩坪 威(東京大学 医学部付属病院、大学院医学系研究科)
研究分担者(所属機関)
- 荒川義弘(東京大学医学部附属病院臨床研究支援センター)
- 大友 邦(東京大学医学部附属病院放射線科)
- 百瀬敏光(東京大学医学部附属病院放射線科)
- 齊藤延人(東京大学医学部附属病院脳神経外科)
- 窪田直人(東京大学医学部附属病院・糖尿病代謝内科)
- 辻 省次(東京大学医学部附属病院神経内科)
- 後藤 順(東京大学医学部附属病院神経内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト 難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究(早期・探索的臨床試験研究分野)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
133,275,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本拠点においては、認知症、神経難病、精神疾患に対する画期的な新規治療薬の早期・探索的治験を東京大学において施行可能な体制作りを目的とし、計画に従って研究活動を推進する。
研究方法
アルツハイマー病(AD)およびその前駆段階としてのMCI due to ADに対する治療薬候補化合物(TAK-070)について導入元と秘密保持契約を交わし導入評価を終了させる。併行し、本化合物の評価・治験推進に必要な人材の採用を完了する。
医師主導治験終了後の事業化に向けて、導入元と東京大学医学部附属病院との間で契約交渉を行い、TAK-070の前臨床試験(物性、薬効薬理、薬物動態、安全性試験)データ、化合物バルクおよび知的財産権一式についてに譲渡契約を完了させる。また、治験開始の為に、導入元に治験薬のGMP基準下の作製を委託する。これらの諸準備のもとに、H25年度にはTAK-070のPh1 first in human試験を健常高齢ボランティアに対して実行する。百瀬・大友らは、東大病院内における院内製剤としてのPET薬剤のより信頼性のある安全な製造、品質管理体制の確立をめざし、管理体制の一層の強化を図る。辻らは多系統萎縮症の根本的治療を実現するために、発症に関与する遺伝的要因を解明する。
医師主導治験終了後の事業化に向けて、導入元と東京大学医学部附属病院との間で契約交渉を行い、TAK-070の前臨床試験(物性、薬効薬理、薬物動態、安全性試験)データ、化合物バルクおよび知的財産権一式についてに譲渡契約を完了させる。また、治験開始の為に、導入元に治験薬のGMP基準下の作製を委託する。これらの諸準備のもとに、H25年度にはTAK-070のPh1 first in human試験を健常高齢ボランティアに対して実行する。百瀬・大友らは、東大病院内における院内製剤としてのPET薬剤のより信頼性のある安全な製造、品質管理体制の確立をめざし、管理体制の一層の強化を図る。辻らは多系統萎縮症の根本的治療を実現するために、発症に関与する遺伝的要因を解明する。
結果と考察
TAK-070の機密情報を基に、日本国内にて医師主導治験を実施する上で、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)と薬事戦略相談の事前面談を2回、対面助言を1回実施し、第I相試験の実施が可能であることを確認すると共に、アルツハイマー病患者で第II相試験を開始する為の準備を開始した。第II相試験(POC確認)の実施に備え、第I相試験と併行し、TAK-070代謝産物M-II (以下M-II)のサルを用いた26 週間長期毒性試験(GLP準拠)を計画し、実施した。先ず、H24年度に実施した予備毒性試験(単回・2週間反復投与)結果を基にした長期毒性試験計画の内容の妥当性についてPMDAと相談・確認した。その後、すみやかに委託試験契約を交わし、26週間の毒性試験を遂行した。臨床試験関連では、米国で用いた治験薬概要書および米国で実施された第I相試験成績を参考に、日本版治験薬概要書を作成、第I相試験プロトコル策定および治験同意文書等の書類作成等を完了させた。その後、東京大学附属病院の臨床試験審査委員会(IRB)の承認を経て、PMDAへ第I相試験の治験計画届書を提出し受理された。H25年3月より健康男性高齢者(60~85歳)12例(実薬群10 例、プラセボ群2例)を対象に、二重盲検下にTAK-070の10 mgの単回投与を開始した。その後、順次25、50、100 mgと増量させた。単回投与試験終了後キーコードを開票し、安全性を確認後反復投与試験に移行した。H25年6月から反復投与試験(16日間投与)を10 mgから開始し、単回投与試験と同様に安全性と血漿中および尿中薬物濃度を確認しながら25mg、5mgおよび75mgと増量した、全ての投与、観察は、H26年3月に終了した。新規に導入した、飛行時間差(Time of Flight: TOF)機能と分解能補正(PSF correction)機能を有するPETにおける、アミロイドイメージングの画質および定量性に与える影響についても評価をおこなった。これらの結果、C-11標識、F-18標識それぞれのアミロイドイメージング用PET製剤のGMPに準拠した製造管理、品質管理体制を構築することが可能となり、種々の臨床治験に対応する準備が整った。多系統萎縮症多発家系6家系について、連鎖解析,全ゲノム配列解析を実施し。2家系でCOQ2遺伝子にホモ接合性、あるいは複合へテロ接合性変異を見出した。さらに、孤発性多系統萎縮症においても、機能障害性のCOQ2変異が多系統萎縮症発症のリスクを高めることが示された。
結論
本First in humanならびに非臨床試験結果より、第II相試験の安全性を考慮したTAK-070の用量設定及び安全性モニタリング項目の設定に役立つ知見を得ることができた。OFおよびPSF補正機能を活用することで、アミロイドイメージングにおける視覚的評価および定量的評価に寄与することを確認できた。多系統萎縮症に対する,コエンザイムQ10を用いた治験に向けて準備が整った。
公開日・更新日
公開日
2015-03-11
更新日
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