ES細胞等を用いた臨床研究に対する安全基盤の確立

文献情報

文献番号
201335013A
報告書区分
総括
研究課題名
ES細胞等を用いた臨床研究に対する安全基盤の確立
課題番号
H25-実用化(再生)-指定-013
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
梅澤 明弘(独立行政法人国立成育医療研究センター 研究所再生医療センター)
研究分担者(所属機関)
  • 松原 洋一(独立行政法人国立成育医療研究センター)
  • 豊田 雅士(地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター)
  • 西野 光一郎(宮崎大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト 難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究(再生医療関係研究分野)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は、移植細胞を保管・保存用タンクに保管し、移植から時間が経過した後に、移植に用いた細胞を遡って検証が可能となる体制を構築することである。1. 移植に用いた細胞の長期的保管体制、2. 他の医療機関等と連携し、ヒトES細胞をはじめとする各種細胞を受入する体制、3. 移植から時間が経過した後に移植に用いた細胞を検証する体制の3本柱を構築する。本研究では細胞no
保管・保存に関する検討を行う。エンドポイントにおける有効性を鑑みた上で、原材料及び製造関連物質の保管・保存、 加工した細胞の保管・保存、最終製品の保管・保存を行う。
研究方法
分化形質発現システムを通じた情報収集を行い、有効性を損なわないヒト細胞の保管・保存技術を確立する。ヒト細胞の分化能検定システムについては、細胞培養系での分化誘導法の決定と免疫不全動物への移植による生着、機能発揮、組織構築能に関する検討を行った。
結果と考察
各特性解析項目を設定し、凍結前、凍結後の比較検討を実施した。細胞純度試験として、無菌試験、エンドトキシン試験、マイコプズマ試験、ウイルス試験を実施し、凍結前と凍結後の違いを測定した。顕微鏡による形態観察及びギムザ染色により定量を行った。今回実施した特性解析項目は、細胞医療の実用化がなされた際に、有害事象発生があった場合のトレース時に示されるべき基本情報となる。本研究を実施することで、検体の保存技術の確保、特性解析を通じたトレーサビリティ体制のモデルケースを示すことになる。
結論
再生医療における細胞の供給源として、胚性幹細胞(ES細胞)、体性幹細胞、人工多能性幹細胞(iPS細胞)があげられる。これらの原料細胞は、従来まで同じ指針のもとで運用されてきたが、細胞性状が多岐に渡るため、個別の指針として運用することが現実的であるという提言がなされ、現在、我が国の研究開発がその方向で進みつつある。本研究はそれらの指針を踏まえ、細胞の保管・保存に特化して研究を推進する。ES細胞はその増殖能、多分化能より、将来的に期待されており、最適のドナー細胞の選択肢となりつつある。また、iPS細胞の臨床応用を先導することができる再生医療技術となりうる。ヒトES細胞をはじめとする未分化性の非常に高いヒト細胞は、再生医療での重要な細胞ソースとなるばかりでなくその培養システムでは発生分化研究等のヒト発生メカニズム探求や創薬開発研究の基盤となる。

公開日・更新日

公開日
2015-03-11
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201335013Z