文献情報
文献番号
201335011A
報告書区分
総括
研究課題名
ヒト胚性幹細胞を用いた臨床利用の安全性検証のための試料保存と分析システムの構築
課題番号
H25-実用化(再生)-指定-011
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
末盛 博文(京都大学再生医科学研究所胚性幹細胞研究分野)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト 難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究(再生医療関係研究分野)
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成29(2017)年度
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究はES細胞を用いた臨床研究において特に安全性を担保する上で必要となる研究の各段階での試料の保存と分析を行うシステムを確立し、将来的により安全な再生医療を実現する研究基盤を構築することを目的とする。ヒトES細胞を用いた再生医療はすでに欧米では臨床試験が開始されており、今後より広範な医療領域での利用が期待されている。しかしながら、従来の細胞移植医療と異なり、ES細胞を用いた移植医療では、1ドナーに由来する細胞を様々な疾患を対象として多数の患者に適用することになる。そのため移植組織細胞の腫瘍化や、これに由来する感染性因子の伝搬は、被験者/患者のみならず公衆衛生上の問題を生じうるのではないかとの懸念がもたれており、これらの課題への対応は、ES細胞を含めて幹細胞医療の普及を促進する上で、重要性・必要性が非常に高い。
研究方法
本研究計画と別途進めている臨床用ES細胞株の樹立と分配では、臨床研究機関に細胞を分配するためのセルバンクが構築される。本事業ではこの時、臨床研究機関へ供給されるものと同一ロットの複数サンプルを将来の検証が必要になった場合に備え保存する。また、保存が適切に行われるように、その検証システムを整備する。臨床試験において有害事象が発生した場合に、品質管理上の問題の有無について、必要に応じて寄託された試料のウイルス等の検査や遺伝子解析を行えるよう解析技術の開発検証を行う。
結果と考察
現時点では想定される基準等への対応のため、臨床用細胞バンクの構築と連携して、本事業の一貫として、試料保存システムの運用の規則、SOPなどの整備を行うとともに、品質管理の手法、規格の検証を行った。これらと並行して試料保存システムの適切な稼働を担保するため、機能の確認を順次行っている。バンキングにおける安全性試験にかかわる基準の検証については、別途進められている臨床用ヒトES細胞のバンキングシステムの実証試験のなかで開発が進められている。安全性にかかわる試験では、大きく12の大項目をもうけている。外部機関との連携を考えた場合これらについて方法、規格値の妥当性や技術移転の方法について検討が必要である。今年度は品質管理と特性解析試験の一部についてSOPや規格について検討をおこなった。現時点でバンクの品質管理として実施する上での問題は見いだされなかった。品質解析技術の多くはすでに確立されているものも多いが、適切な実施には相応のノウハウが要求されると思われる。これを様々な機関において再現性良く実施することが重要である
結論
長期的な細胞の利用が前提となるES細胞の臨床応用の実用化において重要である。確立された試験法について、臨床研究機関においても同様の基準で適切に実施されることが、長期的な評価には有用であると考えられるため、これを研究機関との連携のもと実施する方法論を確立する必要がある。
公開日・更新日
公開日
2015-03-11
更新日
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