集団生活の場における肝炎ウイルス感染予防ガイドラインの作成のための研究

文献情報

文献番号
201333008A
報告書区分
総括
研究課題名
集団生活の場における肝炎ウイルス感染予防ガイドラインの作成のための研究
課題番号
H23-実用化-肝炎-指定-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
四柳 宏(東京大学医学部附属病院 医学部附属病院感染症内科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト 難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究(肝炎関係研究分野)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
38,462,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 B型肝炎、C型肝炎は輸血をはじめとする血液を媒介として伝播する感染症である。感染の防止のために医療現場では標準予防策がとられており、感染リスクの高い行為、低い行為も示されている。しかしながら一般生活者に対しては十分な予防対策はとられていない。このことが肝炎の新規発生、さらにはウイルス肝炎キャリアの差別につながっていることが考えられる。その実態を明らかにし、一般生活者に対する啓発を行うためのガイドラインを作成することを目的とした。
 また、ウイルス肝炎予防のためのガイドラインが兼ねてから求められている保育施設、高齢者施設における予防ガイドラインの作成も目的とした。
研究方法
 複数の拠点病院に対するヒアリングの結果、一般生活者のみならず、医療従事者もウイルス肝炎に対する十分な知識を持っていないことが示唆された。このため、一般生活者、医療従事者を対象にしたアンケート調査を行った。
 保育施設に関しては日本保育園協会に加盟している全保育施設を対象にしたアンケート調査を実施した。また、高齢者施設に関しては老人保健施設50か所、特別養護老人施設50か所に対してアンケート調査を実施した。
結果と考察
 一般人に対するアンケート調査の結果、以下の点が判明した。1.一般生活者の中でB型肝炎、C型肝炎に関して感染経路も含め理解している人は約半数であった。2.肝炎患者に対する忌避感と最も関連があるのは日常でのどのような行為が肝炎の伝播を起こし得るかを認知できていないことであった。
 保育施設に対するアンケート調査の結果、以下の点が判明した。1.B型肝炎ウイルスキャリアの園児のいる施設は約4.9%に対して、C型肝炎ウイルスキャリアの園児のいる施設は約2%であった。2.ウイルス肝炎の感染経路は半数以上の職員がきちんと認知していたが、看護師、管理職以外の知識は不十分であった。
 高齢者施設に対するアンケートの結果、以下の点が判明した。1.ウイルス肝炎に関してはC型肝炎の感染が1例に認められたのみであり、しかも施設従事者の感染はみられなかった。。2.標準的予防策の骨子の一つである手袋の着用、マスクの着用に関しては概ね良好であったが、全員に徹底しているわけではなかった。
 
 
結論
 一般生活者に対しては通常の日常生活では肝炎の伝播はめったに起こらないこと、一方濃厚接触では肝炎の伝播が起きる場合があることを啓発することが最も重要と考えられた。
 保育施設においては、一般の職員に対して肝炎の啓発を行うこと、保育の現場において標準予防策を徹底することが大切である。また、すべての保育園児は入園までにHBワクチンの接種を完了すべきである。
 高齢者施設における肝炎の伝播は稀なことであり標準的予防策の遵守によって感染防止が可能であり、施設利用者と施設利用者の安心した生活に寄与する対策として最も大切である。

公開日・更新日

公開日
2017-01-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-01-20
更新日
-

文献情報

文献番号
201333008B
報告書区分
総合
研究課題名
集団生活の場における肝炎ウイルス感染予防ガイドラインの作成のための研究
課題番号
H23-実用化-肝炎-指定-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
四柳 宏(東京大学医学部附属病院 医学部附属病院感染症内科)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト 難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究(肝炎関係研究分野)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 B型肝炎、C型肝炎は輸血をはじめとする血液を媒介として伝播する感染症である。感染の防止のために医療現場では標準予防策がとられており、感染リスクの高い行為、低い行為も示されている。しかしながら一般生活者に対しては十分な対策はとられていない。このことが肝炎の新規発生、さらにはウイルス肝炎キャリアの差別につながっていることが考えられる。
 本研究は保育施設、高齢者施設など集団生活の場における肝炎ウイルス感染予防ガイドラインを策定することを目的としているが、一般生活者に対して集団生活の中で肝炎ウイルス感染を予防するためのガイドラインを同時に提示することとした。
研究方法
 複数の拠点病院に対するヒアリングの結果、一般生活者のみならず、医療従事者もウイルス肝炎に対する十分な知識を持っていないことが示唆された。このため、一般生活者、医療従事者を対象にしたアンケート調査を行った。
 保育施設に関しては日本保育園協会に加盟している全保育施設を対象にしたアンケート調査を実施した。また、高齢者施設に関しては老人保健施設50か所、特別養護老人施設50か所に対してアンケート調査を実施した。
結果と考察
 一般人に対するアンケート調査の結果、以下の点が判明した。1.一般生活者の中でB型肝炎、C型肝炎に関して感染経路も含め理解している人は約半数であった。2.肝炎患者に対する忌避感と最も関連があるのは日常でのどのような行為が肝炎の伝播を起こし得るかを認知できていないことであった。また、同様の調査を医療従事者に対して行ったところ、以下の点が判明した。1.医療従事者の多くはB型肝炎、C型肝炎に関して理解しているものの、医療行為の中における感染の可能性は十分に理解できていない。2.感染経路に関する知識が不十分だと肝炎患者に対する忌避感が強い。
 保育施設に対するアンケート調査の結果、以下の点が判明した。1.B型肝炎ウイルスキャリアの園児のいる施設は約4.9%に対して、C型肝炎ウイルスキャリアの園児のいる施設は約2%であった。2.ウイルス肝炎の感染経路は半数以上の職員がきちんと認知していたが、看護師、管理職以外の知識は不十分であった。
 高齢者施設に対するアンケートの結果、以下の点が判明した。1.ウイルス肝炎に関してはC型肝炎の感染が1例に認められたのみであり、しかも施設従事者の感染はみられなかった。。2.標準的予防策の骨子の一つである手袋の着用、マスクの着用に関しては概ね良好であったが、全員に徹底しているわけではなかった。
 
結論
 一般生活者に対しては通常の日常生活では肝炎の伝播はめったに起こらないこと、一方濃厚接触では肝炎の伝播が起きる場合があることを啓発することが最も重要と考えられた。
 医療従事者に対しては標準予防策を中心とした感染対策の徹底が大切である。肝炎患者の診療経験を持つこと、肝炎について書かれたマニュアルが整備されていることも大切である。
 保育施設においては、一般の職員に対して肝炎の啓発を行うこと、保育の現場において標準予防策を徹底することが大切である。また、すべての保育園児は入園までにHBワクチンの接種を完了すべきである。
 高齢者施設における肝炎の伝播は稀なことであり標準的予防策の遵守によって感染防止が可能であり、施設利用者と施設利用者の安心した生活に寄与する対策として最も大切である。

公開日・更新日

公開日
2017-01-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2017-01-20
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201333008C

収支報告書

文献番号
201333008Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
50,000,000円
(2)補助金確定額
42,303,696円
差引額 [(1)-(2)]
7,696,304円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 7,544,359円
人件費・謝金 1,854,193円
旅費 825,760円
その他 20,541,384円
間接経費 11,538,000円
合計 42,303,696円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2017-01-20
更新日
-