シーティング・クリニックの開発

文献情報

文献番号
199800311A
報告書区分
総括
研究課題名
シーティング・クリニックの開発
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
廣瀬 秀行(国立身体障害者リハセンター研究所)
研究分担者(所属機関)
  • 関寛之
  • 岩崎洋
  • 伊集玲子(国立身体障害者リハセンター病院)
  • 高橋功次
  • 岡本晋
  • 井上剛伸(国立身体障害者リハセンター研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 障害保健福祉総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
-
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
シーテイングクリニックとは、長時間座位を行う障害者に対して生理的・機能的な座位保持装置を供給するリハビリテーションセンター内での専門システムである。本研究の目的はリハビリテションセンターでシーティングクリニックを開発・設置することであり、現状でのリハビリテーションセンター運営システムとの関係を把握することである。
今年度は、シーティング・クリニックを運営するなかでの運営上の問題点の明確化と、各専門職種の役割、そして他日本の機関でのシーティング・クリニックの実態の把握を目的とする。
シーティングクリニックの運営では、サービス的側面と経営的側面、に分類される。サービスの質はこのシステムの流れを詳細に分析し、これらの流れの中でどのような問題がおきうるのか分析する必要がある。また、サービスの評価として、このクリニックを使用した方々への満足度なども含めたアンケートを実施し、そのサービスの向上と均一性に検討する必要もある。これらは、ISO9000関連と一致するため、それらに基づいて検討する予定である。また、これらには厚生行政との対応をどのようにしていくかも含まれる。今年度はクリニックの流れの明確化、機器選定のためのシミュレーションを確実にしていく必要がまずある。そのためには、機器開発とその評価は重要である。これらの基本は症例を積み、的確な評価を行うことである。
経営的側面ではサービス部門なのか、それとも機器適合による収入を得るべきなのかがある。現在の給付システムでは機器適合による収入を得るシステムになっていない。シーティングシステム運営に関わる費用の算出を今年度開始する。また、他の類似する機関と連携を組み、まずネットワークの推進化、そして組織化とともに運営における問題点の把握・それに対する解決策を検討する。             
今年度より褥そうへの対応部門を増強する予定であり、シーティングとも連携をとりながら進める必要がある。特に、褥そうは治療的側面が強く、医療と共同で行う必要があり、創の評価とともにその原因を追求していく手法の開発が急務である。それによって、機器を使用するのか本人の管理によるのか明確にできる。今年度はその評価ツールの作成と原因究明へのアプローチ、そして機器や本人への教育など検討を開始する。
研究方法
クリニックを実際に運営し、症例を積み上げながら問題点を抽出する方法とする。また、全国調査はアンケート調査を実施し、その問題点を探る。
結果と考察
平成10年4月より国立身体障害者リハビリテーションセンタに定期的なシーティング・クリニックを開設した。頻度は、月2回、理学療法士、義肢装具士、リハエンジニアのそれぞれ職種2名で対応した。クリニックでは、1日平均5-6名、12月現在延べ30人の入院・外来の対象者である。座位保持を基本として、車いす、電動車いす、自動車の機器との適合の他に、電動車いすの操作訓練、褥そう防止のための教育、そして費用への対応などが業務として加わった。         
対象者に対する一般的対応として、身体評価、仮適合機器の製作、環境評価、そして費用の対処が流れである。身体評価は基本案を開発し、ある程度の機器選択への有効な情報であることを確認した。仮適合機器の製作では、座位保持装置の部品群、車いす、電動車いすの部品があり、そしてそれらをクリニックで取付ける過程があった。まず製作中の管理ミスを無くすことを目的に物品の整理と最終貸し出し時の文章によるチェックを行うことを義務付けた。環境評価は特に重要な要素でシーティングの製作以前に決定しなければならないことがわかった。身体評価を含めた事前の環境状態の把握の重要性を確認した。費用の対応は身体障害者福祉法の基準内・外での対応が主であったが、これに関して情報が担当者に対しても不足しており、より詳細な説明、必要であれば直接担当者が行って説明するなどが必要であった。
各専門職はすべてに関して、十分に精通する必要があり、その上で身体評価での理学療法士、機器の改良やモールド型座位保持装置の製作、評価や適切な機器の選択などのエンジニアなど役割の確認が相互に認識された。特に障害が重く、環境が複雑であればあるほどそれらの職種の必要性があった。特に、費用への対応の熟知は重要な要素であることを認識した。
他の施設のクリニック状況を把握したが、一部の先進自治体で行っているが、機器への対応が通常のリハセンターシステムとにないため、個人的要素での対応が基本であった。
これらの結果より
・ 一名長野県より座位保持と電動車いすの依頼を受け、最終的に電動車いす自立した。これらより、他自治体からの対応も含め、病院との協力体制を確実にする。
・ 褥そうへの依頼が増え、教育・評価などを行うために褥そう専門のクリニック新たな曜日に開設し、シーティングクリニックと連携しながら対応する。
・ 運営に関して、各専門職の機能が発揮されているが、仮機器を製作し臨床評価する側面でのリスクの問題がある。これらのリスクを回避するためにクリニックの業務システムを明確化・文章化し責任の所在を明確化する。これらの手法はISO9000での本質と同じであることから、それらを参考に検討する。
・ これらシーテイングクリニックの身体評価から機器選択、そして評価へ向けてデータベース化が必要であり、これはクリニック自体の評価ともあるので最終年度に向けてデータ管理を行う。また、他のシーティングクリニックとのデータの共有化、また外国とのデータの共有化を検討する。それらを基に、適切な機器の選択、そしてクリニックの運営の資料とする。
・ シーティングの必要性は感じているようだが、今のシステムでの組織確立は困難を極める。これらの状況から施設ですこしづつ始まっているクリニックや集まりを強化する方向で連絡会を組織し、各施設の状況を把握する。クリニック運営のための費用の算出をデータベースを基に行い、シーティングクリニック設立の整備状況を確認する。
結論

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)