膵癌に対する術後再発予防のための2方向性新規ペプチドワクチン療法の開発 

文献情報

文献番号
201332011A
報告書区分
総括
研究課題名
膵癌に対する術後再発予防のための2方向性新規ペプチドワクチン療法の開発 
課題番号
H23-実用化(がん)-一般-011
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
山上 裕機(和歌山県立医科大学 医学部 外科学第2講座)
研究分担者(所属機関)
  • 真口 宏介(医療法人渓仁会 手稲渓仁会病院)
  • 石井 浩(公益財団法人がん研究会 有明病院)
  • 山雄 健次(愛知県がんセンター中央病院)
  • 谷 眞至(和歌山県立医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト 難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究(がん関係研究分野)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
117,924,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本治験は、治癒切除後膵癌の患者を対象として、ゲムシタビン塩酸塩と併用する治験薬OCV-C01(OTS102[VEGFR-2ペプチド]、OCV-101[VEGFR-1ペプチド]、OCV-105[KIF20Aペプチド])ペプチドワクチン療法の有効性と安全性を探索的に評価することを目的とする。
研究方法
GMPグレード製剤(C01)を製薬企業から提供を受け、GCPに準拠した体制で医師主導治験として第Ⅱ相臨床試験を実施する。被験者の選択基準:浸潤性膵管癌で肉眼的根治術を受けた20歳以上、80歳以下の症例で、ECOGのPSが0および1でHLA-A*24:02を有する患者で、患者本人から文書による同意取得が可能な患者とする。ペプチド投与量および投与スケジュール:進行・再発膵癌の臨床試験および治験の結果より、ペプチドの投与量はVEGFR1 2mg, VEGFR2 2mg, KIF20A 3mgの週1回の皮下投与とする。ペプチド製剤は、1ml中に各ペプチドを必要量含有する注射剤である。治験薬であるペプチドの皮下投与は術後1年間とする。併用薬であるgemcitabineは 1,000mg/m2を3投1休で静脈内投与し、投与期間は術後6ヶ月間である。主要評価項目は無病生存期間とし、副次評価項目は全生存期間である。探索的評価項目として3種類のペプチドに対する特異的免疫応答を解析する。また、被験者6名について安全性を重点的に検討する。計30名の症例を集積する。
結果と考察
1.症例登録完了
 症例集積は順調に経過し、平成25年7月19日に30例の登録を予定通り1年間で完了した。同意取得者は63例でうちHLA-A*24:02陽性が33例(52.4%)であったが、3例はスクリーニング検査で他の適格基準を満たさず、登録除外となり、30例が登録となった。コントロールとしてゲムシタビン単剤による術後補助療法を施行する外部比較研究には16例を登録した。
2.安全性評価
 平成25年7月10日に開催した平成25年度第1回班会議では、治験事務局からは初期被験者6例に対する安全性評価に関して、効果安全性評価委員会を開催し、治験の継続について問題ない旨の回答であったことを班員に周知した。初期被験者6例の初回投与後から1コース終了までに治験薬との関連性が否定できない有害事象としてGrade 3以上のものは認めなかった。関連性が明らかな有害事象としては、治験薬注射部位反応(Grade 2:3件、Grade 1:2件)と間欠熱(Grade 1:1件)で、その他は治験薬との関連性が低い、軽微な有害事象であった。平成26年2月7日に開催した平成25年度第2回班会議では、当該治験で発生した重篤な有害事象(SAE)について中間報告し、改めて班員で情報共有を徹底した。当局報告をおこなったSAEは3件で有害事象名は間質性肺炎、アナフィラキシー、呼吸苦で、重篤性はいずれも入院を要したことであった。いずれも経過観察のみで、短期間の入院で回復していた。当局報告不要であったSAEは6件で、重篤性はいずれも入院であったが、すべて治験薬との因果関係がなかった。
3.転帰調査
 本研究では登録後1年6ヵ月の転帰調査を行う試験デザイン(主要評価項目:DFS)である。最終被験者の登録が平成25年7月19日のため、本研究を完遂するためには転帰調査は平成27年1月まで必要である。本研究の立案の段階で、6ヵ月間の治験開始準備、1年間での症例登録、1年6ヵ月での転帰調査の3年計画(平成23・24・25年度)としていたが、研究助成の確定が平成23年10月であったため、実質の研究期間は2年6ヵ月であった。よって本研究の完遂のためには平成26年度の研究継続が必須であり、すでに申請を受理されている。平成26年度の研究計画としては、平成26年6月末に治験薬の最終投与が行われた後、データ固定のため迅速にモニタリング、データマネジメントを実施し、症例検討会を開催、統計解析の準備を進める。免疫学的解析についても同時期に平行して行う。平成27年1月に全症例の転帰調査が終了すれば、速やかに最終的な統計解析を行い、総括報告書を作成する。
結論
本研究は順調に進捗しており、平成26年度に完遂できる。

公開日・更新日

公開日
2015-09-07
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201332011Z