文献情報
文献番号
201331010A
報告書区分
総括
研究課題名
次世代遺伝子解析技術を用いた希少難治性疾患の原因究明及び病態解明に関する研究
課題番号
H23-実用化(難病)-一般-010
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
高嶋 博(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
研究分担者(所属機関)
- 出雲 周二(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
- 中川 正法(京都府立医科大学)
- 野元 正弘(愛媛大学大学院医学系研究科)
- 永井 将弘(愛媛大学医学部附属病院)
- 石浦 浩之(東京大学)
- 久保田 龍二(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
- 熱田 直樹(名古屋大学医学部附属病院)
- 山野 嘉久(聖マリアンナ医科大学)
- 松浦 英治(鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科)
- 齊藤 峰輝(川崎医科大学)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康長寿社会実現のためのライフ・イノベーションプロジェクト 難病・がん等の疾患分野の医療の実用化研究(難病関係研究分野)
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
76,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
最新のゲノム解析技術を用いて本邦における希少難治性神経・筋疾患の遺伝的原因を決定し、その結果をふまえて原因未同定の疾患について遺伝子診断法を開発し、個々の患者の診断を明確にする。さらに、遺伝性神経難病の本邦の分子疫学および疾患原因別に病態を明らかにし、治療への道筋を立案する。
研究方法
次世代ゲノムシークエンサーLife Technology社Ion Proton、Illumina社 MiSeq他を導入し、大規模シークエンス配列決定をおこなった。さらに解析ソフトウェアを作成し、遺伝性神経疾患(Charcot-Marie-Tooth 病(CMT))、遺伝性脊髄小脳変性症、プリオン病、ミトコンドリア病、周期性四肢麻痺、先天性ミオトニア、Ullrich型筋ジストロフィー、認知症など)の包括的な遺伝子診断法を開発した。一方、既知の遺伝子検査陰性例については、拠点研究機関(東京大学)におけるIllumina社(HiSeq2000/2500)を用いた大規模なエクソーム解析データをもとに、高精度の遺伝子診断、新規の原因遺伝子の同定を行った。他方、多因子遺伝病やHTLV-I関連脊髄症(HAM)などの非遺伝性疾患の感受性遺伝子の同定を行った。
結果と考察
希少性遺伝性疾患については、新しい発作性筋力低下を呈する新しいミトコンドリア病をMIMECK(mitochondrial myopathy with episodic hyper-CKemia)と名付け報告し、その急性期治療法についても見出した。優性遺伝性のHMN(hereditary motor neuropathy)の遺伝的原因としてアラニルtRNA酵素(AARS)の異常を発見し、さらにSCN9A遺伝子異常による遺伝性感覚性自律神経性ニューロパチーを新病型HSAN2Dとして報告した。さらに大規模なエクソーム解析による解析数は500例以上となり、CMTでは高精度の遺伝子診断とともに新規の遺伝的原因検索ではCMTについては複数の原因を同定できた。Neuronal intranuclear inclusion disease (NIID)の家族例のポジショナルクローニングを用いた解析も進めている。
結論
HAMの病態解明および治療法開発のために、HAM患者および未発症HTLV-Iキャリアの臨床検体を用いた解析が必須であり、本事業ではこれらの臨床検体を用いての全エクソーム解析等を行った。HAMは感染者のごく一部(約0.3%)にのみ発症するため、その発症機構に遺伝的要因の関与が示唆されるが、その原因はいまだ不明な部分も多い。我々は家族性のHAMの検体および臨床像を解析した。膨大な遺伝情報から、HAMの疾患感受性因子を抽出する手法を考案し、HAM発症の遺伝的因子候補を検出した。それぞれのHAM感受性因子についてはさらに検討を進めている。
公開日・更新日
公開日
2018-06-10
更新日
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