文献情報
文献番号
199800305A
報告書区分
総括
研究課題名
脊髄神経障害性運動麻痺のリハビリテーション技術の開発研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
矢野 英雄(国立身障者リハビリテーションセンター研究所)
研究分担者(所属機関)
- 君塚葵(心身障害児総合医療センター整肢療護園園長)
- 中村太郎(太陽の家理事)
- 熊倉伸宏(東邦大学医学部公衆衛生学教室教授)
- 矢野英雄(国立身障者リハビリテーションセンター研究所)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 障害保健福祉総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成12(2000)年度
研究費
12,880,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
後天性脊髄神経麻痺者が中後年に至って、麻痺障害が重度化する傾向が指摘されている。本研究は調査研究でその実体を明らかにし、その原因を調べ、麻痺の進行を予防するリハビリテーション技術を開発する。本年度は、文献調査およびアンケート調査を行って、脊髄性小児麻痺者群および脊髄損傷者群が上記研究目的を推進する研究対象として妥当性を調べ、疫学調査可能な調査母集団を形成について検討する。次にアンケート調査内容を統計学的に解析して、障害の重度化と加齢および生活環境との関係について解析する。併せて残余脊髄機能の評価とリハビリテーションの方法を調べるために脊髄損傷者の脊髄前角運動神経核および関係する脊髄反射弓の機能水準とCPGの関係等について検討する。
研究方法
研究は脊髄性小児麻痺研究班、脊髄損傷研究班、疫学研究班、運動生理学研究班の4つ研究班を構成して行った。4班共同で文献調査等行い、脊髄性小児麻痺者と脊髄損傷者について障害と年齢、受傷後経過年数、受傷時の障害程度、受傷部位および生活環境、生活動作能力などのそれぞれ46項目、53項目の項目を調査する調査表を作成して郵送によるアンケート調査を行った。アンケートを送付した対象は、脊髄性小児麻痺調査班が選出した14施設1419名で、脊髄損傷調査班が選出した12施設1598名であった。回答は疫学調査班のもとに集めて解析した。運動生理学研究班は脊髄損傷者を擬似歩行させて麻痺領域の筋活動電位の計測を行って脊髄損傷者の脊髄の機能水準について計測し脊髄反射弓の機能とCPGと関係について検討した。
結果と考察
アンケート調査の回収は、脊髄小児麻痺者662名(回収率46.7%)で、このうち悪化例は212名で有効回答数の36.4%を占めた。脊髄損傷者は736名(回収率46.1%)から解答を得たがこのうち悪化例は100名で有効回答者数の15.4%を占めた。統計的解析は進行中であるが、回収されたアンケート結果から回答者の母集団の年齢分布は正規分布を示していることから麻痺障害の経年的進行状況を統計的に解析することが可能な母集団を得たと推定している。脊髄損傷者の悪化例が脊髄性小児麻痺者より少ない現象は受傷後経過年数が約20年前後短いため考えているが詳細な原因は今後解析したい。また両障害とも下肢の麻痺障害が上肢に比較して多い傾向を示した原因は検討中である。運動生理学研究班が行った脊髄随意損傷者18名対照の健常者15名の擬似歩行実験結果から高位脊髄損傷者の方が下位脊髄損傷者より脊髄反射弓が機能するevidenceを確認した。現在このevidenceと脊髄反射弓の機能水準の関係について検討中である。
結論
アンケート調査によって後天性脊髄性運動麻痺障害者の加齢と麻痺の進行を調査するために必要な症例数と統計解析に耐える解析母集団を得た。この調査結果から麻痺障害が悪化する症例が相当数存在する事実が明らかとなった。今後悪化例と未悪化例の群間比較からその原因を推定する可能性があることが確認された。次に下肢の麻痺障害の悪化を訴える症例が上肢の麻痺障害より多い事実あった。これらの事実は心理学的あるいは社会生活上の機能障害の性質に関わるためなのかあるいは運動生理学研究班が行った脊髄損傷者の擬似歩行運動の研究から得た高位の脊髄損傷者の方が下位の脊髄損傷者より脊髄機能水準が機能する現象などに関係するのか今後の調査結果の統計学的および悪化例と未悪化例の群間比較、生理学的検証で明らかしたい。
公開日・更新日
公開日
-
更新日
-