大規模災害時における遺体の埋火葬の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
201330011A
報告書区分
総括
研究課題名
大規模災害時における遺体の埋火葬の在り方に関する研究
課題番号
H24-健危-一般-006
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
横田 勇(特定非営利活動法人日本環境斎苑協会 総務部)
研究分担者(所属機関)
  • 喜多村 悦史(東京福祉大学大学院教授副学長)
  • 高岡 昌輝(京都大学大学院地球環境学堂教授)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,169,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
初年度に引き続き本年度の研究では、災害時にスムースに火葬が行われるために行政、火葬場、葬祭事業者などの連携を構築するために、実効性のある広域火葬計画の策定、災害時にも能力が発揮できる火葬場整備及びこのために平時に準備すべき関係者間の連携等の在り方を、2か年間の成果として提案することを目的とする。
研究方法
初年度に引き続き研究協力者とともに、地方自治体、火葬施設に詳しいものを加えて委員会を組織した。そのうえで、自治体間及び葬祭事業者等との協定締結先進都市の事務担当にヒヤリングを行うとともに、広域火葬計画策定自治体及び火葬場を建設維持管理している政令指定都市にアンケート調査を実施し、今後起きうる大災害に対して現状でどう考えているか課題の抽出をおこなった。
また、火葬場の機能強化が必要になるため、災害時における機能低下を起こさない火葬場整備の在り方を提案する。
結果と考察
広域火葬計画策定自治体は平成26年3月時点で15都府県となり、地域防災計画で対応する都道府県もあることが分かった。研究の半ばで、今後想定される南海・東南海トラフ地震による被害想定が発表されたことから、広域火葬計画策定自治体に対して追加アンケートを行った結果、広域火葬計画策定済みの自治体でも、東日本大震災を超える大災害が発生した場合には、対応に不安を感じている担当者が多いことが分かった。また、実際に火葬場を運営している政令指定都市へのアンケートでも災害時には、火葬炉の運転回数の増加を考えている自治体が多かった。しかし、資機材の確保、火葬炉の損傷、火葬要員の確保など多くの課題について不安を持っている。
被害想定における最大死者数における広域火葬の在り方を検討し、可能な限り早期に遺体の火葬を行う必要があることから、被災地を中心とした広域ブロックを提案し火葬のシュミレーションを行った結果、一日の火葬炉の回転を5回転以上とすることが必要であること、そのための火葬施設の平時における準備、都道府県のリーダーシップ、葬祭関連事業者との連携のための協定締結、遺体搬送手段の構築等が必要となることが分かった。
結論
日本では、大津波を伴った巨大地震が三陸沖及び南海・東南海トラフを震源として50年に一度発生している。日本の火葬率は、世界最高レベルの99.94%と、ほぼ100%であり土葬の習慣はゼロに等しい。こうしたことから、国民感情からも今後は災害時に土葬を避けるための方策として、行政、火葬場及び葬祭関連事業者の連携と火葬炉の過負荷運転に耐えうる構造が必要となる。
このため、老朽化した火葬施設の早期建替えによる施設の強靭化を進めるとともに、自治体間、火葬場の平時における情報交換と情報の共有が必要であり、葬祭関連事業との協力関係の構築、資機材の確保、遺体搬送手段の確保、災害時の火葬応援職員の確保及び災害時の通信手段の確保など多くの課題があることが分かった。広域火葬を実施するためには、墓地埋葬法上権限がなくなっている都道府県のリーダーシップが必要である。
これらを、関係者すべてが認識し、今後の大規模災害に備えて準備をしていくことが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2018-06-05
更新日
-

文献情報

文献番号
201330011B
報告書区分
総合
研究課題名
大規模災害時における遺体の埋火葬の在り方に関する研究
課題番号
H24-健危-一般-006
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
横田 勇(特定非営利活動法人日本環境斎苑協会 総務部)
研究分担者(所属機関)
  • 喜多村 悦史(東京福祉大学大学院教授副学長)
  • 高岡 昌輝(京都大学大学院地球環境学堂教授)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 健康安全・危機管理対策総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
東日本大震災では、平成7年に発生した阪神・淡路大震災の教訓として、当時の厚生省が出した「広域火葬計画策定指針」に基づく広域火葬計画が策定されていた都道府県は11自治体にとどまっており、特に、被災3県は未策定であった。一方、遺体の埋火葬は、墓地埋葬法で市町村の事務とされているが、大災害時には県域又は県域を越えた広域協力が必要となる。東日本大震災では、被災遺体の一部が仮埋葬として土葬されたが、遺族の要望で数か月後に葬祭事業者によって改葬され火葬された。葬祭事業者によるとこの作業は大変な作業であったとのことである。
本研究では、災害時にスムースに火葬が行われるために行政、火葬場、葬祭事業者などの連携を構築するために、実効性のある広域火葬計画の策定、災害時にも能力が発揮できる火葬場整備及びこのために平時に準備すべき関係者間の連携等の在り方を提案することを目的とする。
研究方法
研究協力者を選任し、地方自治体、火葬施設に詳しいものを加えて委員会を組織した。そのうえで、東日本大震災被災3県の担当者、被災地の葬祭事業者及び被災地と被災地周辺の火葬場及び事務担当にヒヤリングを行うとともに、全国の都道府県、火葬場にアンケート調査を実施し、土葬をしなければならなかった状況等課題の抽出をおこなった。
また、2年度目では、災害時の広域火葬に対応するには、火葬場の機能強化が必要になるため、災害時における機能低下を起こさない火葬場整備と耐震構造にも不安のある全国の30%を超える火葬場の早期整備によって火葬場の強靭化が必要であることを提案する。
このため、現在整備基準が定められていない建設時の仕様とすべき基準案を提案する。
結果と考察
広域火葬計画策定自治体は平成26年3月時点で15都府県となり、地域防災計画で対応する都道府県もあることが分かった。研究の半ばで、今後想定される南海・東南海トラフ地震による被害想定が発表されたことから、広域火葬計画策定済みの自治体でも、東日本大震災並みかこれを超えるような大災害が発生した場合には、対応に不安を感じている担当者が多いことが分かった。
被害想定における最大死者数における広域火葬の在り方を検討し、可能な限り早期に遺体の火葬を行う必要があることから、被災地を中心とした広域ブロックを提案し火葬のシュミレーションを行った結果、一日の火葬炉の回転を5回転以上とすることが必要であること、さらに、静岡、愛知、四国ブロックでは、隣接の広域ブロックを超えたさらに広域的な火葬協力も必要であることが分かった。そのための火葬施設の平時における準備、都道府県のリーダーシップ、葬祭関連事業者との連携のための協定締結、遺体搬送手段の構築等が重要であること、災害時の広域火葬を実現するため、火葬場の強靭化のために必要な建設仕様の策定、火葬用資機材及び要員の確保、東日本大災害を教訓とした遺体搬送手段が必要である。
結論
日本では、大津波を伴った巨大地震が三陸沖及び南海・東南海トラフを震源として50年に一度発生している。日本の火葬率は、世界最高レベルの99.94%と、ほぼ100%であり土葬の習慣はゼロに等しい。こうしたことから、国民感情からも今後は災害時に土葬を避けるための方策として、行政、火葬場及び葬祭関連事業者の連携と火葬炉の過負荷運転に耐えうる構造が必要となる。
このため、老朽化した火葬施設の早期建替えによる施設の強靭化を進めるとともに、自治体間、火葬場の平時における情報交換と情報の共有が必要であり、葬祭関連事業との協力関係の構築、資機材の確保、遺体搬送手段の確保、災害時の火葬応援職員の確保及び災害時の通信手段の確保など多くの課題があることが分かった。
これらを、関係者すべてが認識し、今後の大規模災害に備えて準備をしていくことが望まれる。

公開日・更新日

公開日
2016-08-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201330011C

収支報告書

文献番号
201330011Z