国際協調を指向した薬剤性光線過敏症リスク評価方法開発の新展開

文献情報

文献番号
201328072A
報告書区分
総括
研究課題名
国際協調を指向した薬剤性光線過敏症リスク評価方法開発の新展開
課題番号
H25-医薬-若手-024
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
尾上 誠良(静岡県立大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
2,820,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は薬剤性光線過敏症リスク評価のため簡便かつ信頼性の高い評価系を提示することであり,国際協調を最終的に達成することで国際的なニーズに答えようとするものである.
応募者は医薬品や医薬部外品の薬剤性光線過敏症光リスク評価ツールとして,これまでに (1) 光反応性評価ツールとしての ROS assay [Pharm. Res. 23: 1566 (2006) 他],(2) 光生物学的特性評価ツールとして DNA-photocleavage assay [J. Chromatogr. A. 1188: 50 (2008) 他] や DNA-binding assay [J. Pharm. Sci. 98: 3647 (2009) 他] を開発している.このなかで ROS assay は光照射下で薬物から放出される活性酸素種をモニタリングすることで被験物質の光化学的挙動を評価する新規な手法であり,ICH S10 ガイドラインにおいて暫定的に採用されている.ROS assay は光反応性評価法として国際的な認識が高まりつつあるが,本評価系の問題として (1) 難溶性薬物への低い適用性,(2) 高い偽陽性が指摘されており,実用上の技術革新が必要とされているのである.
研究方法
本命題に対峙すべく,応募者のグループは ROS assay の信頼性と適用性を拡大するために以下の検討を戦略的に実施する.すなわち,【平成 25 年度】は ROS assay の難溶性薬物への適用性改善を指向して光化学的に不活性な溶解補助剤や界面活性剤を利用して生体膜模倣環境を作り出し,その中でのスクリーニングを試みる.また,JPMA のワーキンググループと共同で,通常の ROS assay の判定基準を改変することで難溶性薬物の光毒性リスク予測精度向上を試みる.【平成 26 年度】はカセットドージング法によって被験物質の血中・皮膚移行性を精査し,体内動態情報と ROS assay データを相互利用することで臨床での毒性発現予測を試み,上市された医薬品を対象にスクリーニングすることでその信頼性を検証することとする.
結果と考察
【平成 25 年度】は ROS assay の難溶性薬物への適用性改善を指向して光化学的に不活性な溶解補助剤や界面活性剤を利用して生体膜模倣環境を作り出し,その中でのスクリーニングを試みた.特に,溶解補助剤としての Tween 20 や血漿タンパク質である albumin の添加は ROS assay の精度を維持しつつ被験物質の溶解度を著しく高めることに成功した.これらの検討によって,これまで ROS assay で評価出来なかった難水溶性医薬品の光毒性リスク評価が可能となり,ROS assay の欠点を克服することが可能となった7 施設(製薬企業,試験委託機関,大学)において ROS assay の validation study を行い,validation 報告書をまとめ,毒性専門家(日本 1 名,海外 3 名)から review を受けた.また,JPMA のワーキンググループと共同で,通常の ROS assay の判定基準を改変することで難溶性薬物の光毒性リスク予測精度向上を試み,偽陰性を出さずに適用可能範囲の拡大に成功した.
結論
本研究によって未だ確実な評価系に欠ける薬剤性光線過敏症リスク評価を可能とし,医薬品開発段階における光毒性リスクの回避をもたらすことによって,より安全な医薬品開発に結実するものと考える.これらの成果と臨床上の光毒性所見との詳細な比較によって光安全性評価のための代替法の利点と限界が明らかになり,その結果,適切な代替法の選択やその結果の適切な利用方法の提案にも寄与できると確信する.

公開日・更新日

公開日
2015-06-17
更新日
-

収支報告書

文献番号
201328072Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,000,000円
(2)補助金確定額
3,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 2,097,630円
人件費・謝金 0円
旅費 613,620円
その他 108,750円
間接経費 180,000円
合計 3,000,000円

備考

備考
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公開日・更新日

公開日
2014-05-23
更新日
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