文献情報
文献番号
201328056A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品開発における薬物相互作用の検討方法に関する新ガイダンスの運用と普及に関する研究
課題番号
H25-医薬-指定-011
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
大野 泰雄(国立医薬品食品衛生研究所 薬理部)
研究分担者(所属機関)
- 乾 賢一(京都薬科大学)
- 鈴木 洋史(東京大学医学部附属病院薬剤部)
- 渡邉 裕司(浜松医科大学)
- 三浦 慎一(第一三共株式会社)
- 永井 尚美((独)医薬品医療機器総合機構)
- 斎藤 嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所)
- 樋坂 章博(東京大学医学部附属病院22世紀医療センター)
- 伊藤 清美(武蔵野大学薬学部)
- 前田 和哉(東京大学大学院薬学系研究科)
- 久米 俊行(田辺三菱製薬株式会社)
- 小澤 正吾(岩手医科大学薬学部)
- 加藤 将夫(金沢大学医薬保健研究域)
- 佐藤 正延((独)医薬品医療機器総合機構)
- 前川 京子(国立医薬品食品衛生研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医薬品が併用された場合、薬物相互作用により副作用の発現や、薬効の低下に至る場合がある。このような薬物相互作用に関する本邦の現行指針は、既に通知以来10年以上が経過し、新たな科学的知見が多く蓄積した現在、効率的な医薬品開発や、薬物相互作用を踏まえた臨床での医薬品の適正使用を推進する上で不十分となってきた。さらに欧米では相互作用研究の進展を踏まえた新たなガイドラインあるいはガイダンス案が相次いで発出され、日本の指針と記載内容に大きな齟齬を生じている。本研究は、前研究(厚生労働科学特別研究事業、「医薬品開発における薬物相互作用の検討方法等に関する新ガイダンス作成のための研究」)で作成した新規ガイドラインの素案をさらに検討し、留意事項を含め、国際調和にも配慮したガイドラインの最終案を作成すること、及びその普及を行うこと等を目的とした。
研究方法
研究代表者・研究分担者をメンバーとする幹事会、及び研究分担者・研究協力者をメンバーとする3つのワーキンググループ(代謝、トランスポーター、モデリングとラベリング)を構築して調査や議論等を行い、研究を遂行した。なお、幹事会は合計8回、ワーキンググループはメールでのやりとりを基本に、必要に応じて各2回程度、会議を開催した。また、事務局は国立医薬品食品衛生研究所医薬安全科学部が勤めた。
結果と考察
1) ガイドライン素案の見直し
幹事会やワーキンググループでの調査・議論、並びに専門家の意見を基に、1) 本指針は「ガイドライン」とすること、2) トランスポーターを介した相互作用の一般的記述とその検討方法を別の章立てとし、また留意事項、解析方法及び事例を独立化する等の章立ての変更、3) モデル解析に関して項立てし、まとめて記載、4) 科学的根拠に基づく基質薬・阻害薬・誘導薬の表内容に関する精査、5) 用語の統一化や必須・推奨・参考という3段階への記載内容の分類化、6) 引用文献の整備、等を行った。
また、薬物相互作用に関する米国FDAのガイダンス案や欧州EMAのガイドラインとの相違点を中心に、これらの担当官と電話会議や直接協議を行った。これによりガイドラインに関する日米欧3極間での方針の相互理解を計るとともに、一部の内容に関しては、記載内容のすり合わせを行った。
さらに、最近の承認品目を対象にした調査を行い、トランスポーター試験、マスバランス試験等の記載内容の妥当性に関する確認を行った。また、代謝及びトランスポーターの関与する相互作用判定のためのdecision treeの内容を検討し、基準値設定の妥当性を確認した。
さらに、添付文書における、CYP3A4に関する阻害薬・誘導薬の表記に関し、強度クラス別に表記することについて、添付文書記載要領の変更を検討している厚生労働科学研究班との継続的な協議を行い、一部、例示に関する記載方法の変更を行った。
以上の検討に基づき、ガイドラインのパブリックコメント募集用案を作成した。
2) パブリックコメントの募集とその意見を反映した修正
平成25年12月17日より平成26年2月17日まで、パブリックコメントを募集した。合計で800を超えるコメントを頂いた。またその内容に基づき、コメントの集約化及びこれに対する対応方針分類を行った。さらに、ガイドライン本文の修正を行った。また、パブリックコメントへの回答案やQ&A案の作成を開始した。
3) 学会発表や英語版作成を通じたガイドライン案内容の理解促進
国際薬物動態学会等の国際学会及び日本薬物動態学会、日本臨床薬理学会等の国内学会での発表を通じて、ガイドライン案の目的及び内容理解の促進と意見聴取を行った。さらに総説の執筆を通じて、改訂方針や内容の紹介を行った。
またガイドラインのパブリックコメント案につき、英語版を作成し、FDAやEMAに送付して意見を頂くと共に、関連団体に送付し、諸外国行政機関及び企業からのパブリックコメント聴取の便を計った。
以上により、ガイドライン案内容の充実と適正化並びに普及に努めた。
幹事会やワーキンググループでの調査・議論、並びに専門家の意見を基に、1) 本指針は「ガイドライン」とすること、2) トランスポーターを介した相互作用の一般的記述とその検討方法を別の章立てとし、また留意事項、解析方法及び事例を独立化する等の章立ての変更、3) モデル解析に関して項立てし、まとめて記載、4) 科学的根拠に基づく基質薬・阻害薬・誘導薬の表内容に関する精査、5) 用語の統一化や必須・推奨・参考という3段階への記載内容の分類化、6) 引用文献の整備、等を行った。
また、薬物相互作用に関する米国FDAのガイダンス案や欧州EMAのガイドラインとの相違点を中心に、これらの担当官と電話会議や直接協議を行った。これによりガイドラインに関する日米欧3極間での方針の相互理解を計るとともに、一部の内容に関しては、記載内容のすり合わせを行った。
さらに、最近の承認品目を対象にした調査を行い、トランスポーター試験、マスバランス試験等の記載内容の妥当性に関する確認を行った。また、代謝及びトランスポーターの関与する相互作用判定のためのdecision treeの内容を検討し、基準値設定の妥当性を確認した。
さらに、添付文書における、CYP3A4に関する阻害薬・誘導薬の表記に関し、強度クラス別に表記することについて、添付文書記載要領の変更を検討している厚生労働科学研究班との継続的な協議を行い、一部、例示に関する記載方法の変更を行った。
以上の検討に基づき、ガイドラインのパブリックコメント募集用案を作成した。
2) パブリックコメントの募集とその意見を反映した修正
平成25年12月17日より平成26年2月17日まで、パブリックコメントを募集した。合計で800を超えるコメントを頂いた。またその内容に基づき、コメントの集約化及びこれに対する対応方針分類を行った。さらに、ガイドライン本文の修正を行った。また、パブリックコメントへの回答案やQ&A案の作成を開始した。
3) 学会発表や英語版作成を通じたガイドライン案内容の理解促進
国際薬物動態学会等の国際学会及び日本薬物動態学会、日本臨床薬理学会等の国内学会での発表を通じて、ガイドライン案の目的及び内容理解の促進と意見聴取を行った。さらに総説の執筆を通じて、改訂方針や内容の紹介を行った。
またガイドラインのパブリックコメント案につき、英語版を作成し、FDAやEMAに送付して意見を頂くと共に、関連団体に送付し、諸外国行政機関及び企業からのパブリックコメント聴取の便を計った。
以上により、ガイドライン案内容の充実と適正化並びに普及に努めた。
結論
産学官の専門家から成る検討会議(幹事会及び3つのワーキンググループ)により、昨年度作成した新規ガイドラインの素案をさらに検討し、1) ガイドラインのパブリックコメント用案の作成とパブリックコメント募集の実施、2) ガイドラインのパブリックコメント用案の英語版作成、3) パブリックコメントに基づくガイドライン案本文(留意事項を含む)の最終化、4)米国FDAや欧州EMA等の規制当局との協議に基づく、方針の相互理解と記載内容の一部すりあわせ、5) 国際学会・国内学会でのガイドラインの方針や内容の紹介による理解促進、を行い、本研究の目的である、ガイドラインの最終案化、留意事項の検討、及びその普及という目的を達成した。
公開日・更新日
公開日
2015-06-29
更新日
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