文献情報
文献番号
201328029A
報告書区分
総括
研究課題名
抗HBs人免疫グロブリンの国内製造用原料血漿収集を目的とした国立病院機構職員を対象とするB型肝炎ワクチン接種の有効性、安全性及び皮下投与法と筋肉内投与法の比較に関する研究
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-医薬-指定-017
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
八橋 弘(独立行政法人国立病院機構 長崎医療センター 臨床研究センター)
研究分担者(所属機関)
- 小松 達司(独立行政法人国立病院機構横浜医療センター 臨床研究部)
- 太田 肇(独立行政法人国立病院機構金沢医療センター 消化器科)
- 高野 弘嗣(独立行政法人国立病院機構呉医療センター 消化器科)
- 山下 晴弘(独立行政法人国立病院機構岡山医療センター 消化器科)
- 林 亨(独立行政法人国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター 消化器内科)
- 中牟田 誠(独立行政法人国立病院機構九州医療センター 肝臓センター)
- 島田 昌明(独立行政法人国立病院機構名古屋医療センター 消化器科)
- 米田 俊貴(独立行政法人国立病院機構京都医療センター 消化器科)
- 肱岡 泰三(独立行政法人国立病院機構大阪南医療センター 消化器科)
- 杉 和洋(独立行政法人国立病院機構熊本医療センター 消化器内科)
- 酒井 浩徳(独立行政法人国立病院機構別府医療センター 消化器科)
- 加藤 道夫(独立行政法人国立病院機構南和歌山医療センター 内科)
- 高木 均(独立行政法人国立病院機構高崎総合医療センター 臨床研究部)
- 平嶋 昇(独立行政法人国立病院機構東名古屋病院 消化器科)
- 上司 裕史(独立行政法人国立病院機構東京病院 消化器内科)
- 西田 一雄(日本赤十字社 血液事業本部)
- 松崎 浩史(日本赤十字社 血液事業本部(及び東京都赤十字血液センター))
- 内田 茂治(日本赤十字社 血液事業本部中央血液研究所)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
14,380,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
本研究では、現在その殆どを海外に依存している抗HBs人免疫グロブリン(HBIG)製造用原料血漿を国内献血者から収集する方策を確立させるために、国立病院機構(NHO)職員を対象として、B型肝炎ワクチン追加接種の有効性と安全性を明らかにするとともに、皮下投与法と筋肉内投与法の投与法による差異についても明らかにすることを目的とする。
研究方法
国立病院機構に勤務する医療従事者のうち、現在もしくは過去にHBs抗体を保有する事が確認されている者(感作者)で、かつ、本研究を理解しB型肝炎ワクチンの追加免疫に同意する者を対象にHBワクチン10μgを皮下投与群と筋肉内投与群に分けて投与をおこない、投与1ヶ月後のHBs抗体価を測定するとともに、HBワクチン投与に伴う有害事象の発生頻度を検討した。
結果と考察
平成24年度には、研究計画手順書を作成した上で、各施設での倫理委員会より承認を得た。また臨床研究倫理指針に基づき、臨床研究保険契約を締結した上で実施した。2013年3月末までに、15病院(15病院:横浜医療センター、金沢医療センター、呉医療センター、岡山医療センター、四国こどもとおとなの医療センター(善通寺病院)、九州医療センター、名古屋医療センター、京都医療センター、大阪南医療センター、熊本医療センター、別府医療センター、南和歌山医療センター、高崎総合医療センター、東名古屋病院、東京病院)において、1,385名に対してHBワクチンの投与を終了し、その1か月後に採血をおこないHBs抗体価を測定するとともに有害事象を調査した。
1,385名(皮下投与群585名、筋肉内投与群800名)の職員の協力を得ることができた。HBワクチン投与1ヶ月のHBs抗体価(皮下投与群/筋肉内投与群)は、算術平均で(7527±14974mIU/mL/10313±22112mIU/mL:P<.0001)、幾何平均で(3.39±0.73mIU/mL/3.54±0.75mIU/mL:P<.0005)、HBs抗体価で10000mIU/mLを示した者の頻度は、(19.1%/27.5%:P<.001)で、いずれも皮下投与群に比して筋肉内投与群で高いHBs抗体価が獲得された。
有害事象全体の発生頻度については、全身性反応は皮下投与群で3.1%、筋肉内投与群で4.2%で両群間に差は見られなかったが、局所性反応は皮下投与群で27.4%、筋肉内投与群で11.2%で、前者で有意に高い発生頻度を示した。有害事象の程度は、いずれも軽微なもので重篤な事象は報告されなかった。
平成25年度には、12月に採血をおこない、HBワクチン投与後1年から9ヶ月が経過した時点でのHBs抗体価を確認した後、平成26年1月から2月にかけて2回目のHBワクチンを投与した。その際に、1回目投与時とは異なる投与法(1回目皮下投与群は2回目投与時には筋注に、1回目筋注投与群は2回目投与時には皮下注)に変更し、投与法による差異の再現性の確認をおこなう。
また平成26年12月に採血をおこないHBs抗体価の推移を確認するとともに、HBワクチン投与後、被験者が献血行動をおこなったか否かの調査も実施する予定である。
1,385名(皮下投与群585名、筋肉内投与群800名)の職員の協力を得ることができた。HBワクチン投与1ヶ月のHBs抗体価(皮下投与群/筋肉内投与群)は、算術平均で(7527±14974mIU/mL/10313±22112mIU/mL:P<.0001)、幾何平均で(3.39±0.73mIU/mL/3.54±0.75mIU/mL:P<.0005)、HBs抗体価で10000mIU/mLを示した者の頻度は、(19.1%/27.5%:P<.001)で、いずれも皮下投与群に比して筋肉内投与群で高いHBs抗体価が獲得された。
有害事象全体の発生頻度については、全身性反応は皮下投与群で3.1%、筋肉内投与群で4.2%で両群間に差は見られなかったが、局所性反応は皮下投与群で27.4%、筋肉内投与群で11.2%で、前者で有意に高い発生頻度を示した。有害事象の程度は、いずれも軽微なもので重篤な事象は報告されなかった。
平成25年度には、12月に採血をおこない、HBワクチン投与後1年から9ヶ月が経過した時点でのHBs抗体価を確認した後、平成26年1月から2月にかけて2回目のHBワクチンを投与した。その際に、1回目投与時とは異なる投与法(1回目皮下投与群は2回目投与時には筋注に、1回目筋注投与群は2回目投与時には皮下注)に変更し、投与法による差異の再現性の確認をおこなう。
また平成26年12月に採血をおこないHBs抗体価の推移を確認するとともに、HBワクチン投与後、被験者が献血行動をおこなったか否かの調査も実施する予定である。
結論
HBワクチンの投与法については、有効性、安全性の観点からは、皮下投与法よりも筋肉内投与を推奨すべきと考えられた。
公開日・更新日
公開日
2017-05-22
更新日
-