医薬品リスク管理計画制度の着実かつ効果的な実施のための基盤的研究

文献情報

文献番号
201328027A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品リスク管理計画制度の着実かつ効果的な実施のための基盤的研究
課題番号
H24-医薬-指定-015
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
成川 衛(北里大学薬学部 臨床医学(医薬開発学))
研究分担者(所属機関)
  • 天沼 喜美子(国立医薬品食品衛生研究所)
  • 堀 明子(独立行政法人医薬品医療機器総合機構)
  • 前田 玲(日本製薬団体連合会)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
3,750,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、2012年4月に公表され、翌年度から実施されている「医薬品リスク管理計画指針」に基づき我が国で計画・実施される医薬品のリスク管理について、その構成要素である安全性監視、リスク最小化活動について、我が国の現状及び諸外国での実施状況の調査・分析を行うとともに、これらを計画・実施する際の基礎となる医薬品のベネフィット・リスクの評価のあり方について整理・検討を行う。これらを踏まえて、医薬品のリスク管理がより効果的に実施されるための検討課題を明らかにし、その改善に向けた検討・提案を行うことを目的とする。
研究方法
(1)安全性監視計画
医薬品の安全性監視の方策のうち「使用成績調査」について、様々な観点、情報源からその現状や問題点の把握を行った。
(2)諸外国におけるRMPの実施状況
欧州及び米国において市販後の新たな「安全性検討事項」特定のために行われているシグナル検出について、ウェブサイトや学会発表等に基づき最新情報を調査し、シグナル検出、市販後安全性評価等の意義について検討した。
(3)ベネフィット・リスク評価のあり方
FDAが提示したベネフィット・リスク評価のフレームワークについて、FDAへの訪問調査により具体的な情報収集を行うとともに、日本で製造販売後に安全対策措置等を講じた医薬品についてベネフィット・リスクに関する情報の観点で整理を行った。
(4)リスク最小化活動の効果の評価方法
米国についてはOIGによるFDAのリスク評価・軽減対策(REMS)評価に対する報告書のレビュー等を行い、欧州についてはEU GVPのうち関連する2つのModuleを調査した。日本についてはPMDAによるレセプトデータを用いた試行調査報告書をレビューした。
結果と考察
(1)安全性監視計画
添付文書に記載の副作用発現率は、ほとんどの医薬品において承認時(治験)に比し再審査終了時(使用成績調査等)に低下していた。使用成績調査等で得られた情報に基づく添付文書の改訂は、自発報告情報等に基づく改訂に比べて少なく、また、特別な集団(小児、高齢者等)を対象とした製造販売後調査は多く行われていなかった。全例調査については、調査票の簡素化、終了手続きの明確化等の観点から改善の余地がある。
(2)諸外国におけるRMPの実施状況
自発報告に基づくシグナル検出が市販後の安全性検討事項の特定に極めて重要であることが改めて明らかになった。
(3)ベネフィット・リスク評価のあり方
定性的/定量的といった方法論を中心とした視点でとらえるのではなく、ベネフィット・リスクバランスを向上・維持するためのツールとしてとらえ、検討していくことが重要である。
(4)リスク最小化活動の効果の評価方法
最小化策は標的リスクの種類や性質に応じて最適な方策であること、その有効性の測定のためプロセスとアウトカムという2種類の指標を用いること、代表的な最小化ツールである教育資料については知識・態度・行動の3点を測定することが重要である。詳細な方法論を提示するには、各地域の規制や医療環境を考慮しつつ、その必要性と可能性について更なる議論が必要である。
結論
リスク管理を着実かつ効果的に実行していくためには、個々の医薬品の性質やおかれた状況に応じて、安全性の監視とリスク最小化のための活動を計画し実行していく必要があり、その際には、市販後も日々蓄積・更新されていく情報に基づいて、当該医薬品のベネフィットとリスクのバランスを継続的に評価していくとともに、リスク最小化活動について何らかの形でその効果の測定(評価)が求められる。今後、これまでの調査研究で明らかになった課題についてさらに分析を加えながら、日本の医療制度にも合致した医薬品リスク管理の運用方法の検討、制度の改善案などに関する検討を行うこととする。

公開日・更新日

公開日
2015-06-15
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-09-24
更新日
-

収支報告書

文献番号
201328027Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
3,750,000円
(2)補助金確定額
3,750,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 798,540円
人件費・謝金 0円
旅費 1,829,804円
その他 1,121,741円
間接経費 0円
合計 3,750,085円

備考

備考
利息

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-