医薬部外品・化粧品に含有される成分の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
201328026A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬部外品・化粧品に含有される成分の安全性確保に関する研究
課題番号
H24-医薬-指定-014
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
手島 玲子(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 安達 玲子(国立医薬品食品衛生研究所 代謝生化学部)
  • 伊東 祐二(鹿児島大学大学院 理工学研究科)
  • 福冨 友馬(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
  • 板垣 康治(北海道文教大学 人間科学部)
  • 海老澤 元宏(独立行政法人国立病院機構相模原病院 臨床研究センター)
  • 五十嵐 良明(国立医薬品食品衛生研究所 生活衛生化学部)
  • 松永 佳世子(藤田保健衛生大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
20,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、まず小麦加水分解物に注目し、その製造工程の違いによって生じるアレルギー反応の惹起性について、動物モデルによる生体反応の解析と、ファージディスプレイ法及びショットガンMS法による網羅的抗原性解析等を実施し検討を行う。次いで、小麦同様、他の原材料による健康被害の発生も予想されることから、国内外の健康被害の状況を調査の上、小麦加水分解物で得られた知見を基に、アレルギー反応の誘起性や成分規格の改定についての検討を行うことを目的とする。
研究方法
本年度は、小麦加水分解の方法による成分の物性変化に関する研究を手島班員が担当し、免疫学的反応についての動物モデルに関する研究を安達班員が担当し、ファージディスプレイを用いた網羅的抗原性の解析を伊東班員が担当し、小麦加水分解物(HWP)を含有する石鹸の使用によるアレルギー発症の事例調査並びに事後の経過観察を松永班員及び福富班員が担当し、小麦以外の加水分解物が添加された化粧品、医薬部外品によるアレルギー発症に関するアンケート調査を板垣班員が、国内外のアレルギー発症事例の文献調査を海老澤班員が担当し、小麦加水分解物の医薬部外品原料規格と試験法の作成を五十嵐班員が担当した。
結果と考察
加水分解条件が異なるHWPとして、酸加水分解グルテン及びアルカリ加水分解グルテンを調製し、処理方法の違いがタンパク質の物性に及ぼす影響を分析化学的に評価した。分子量に関しては、酸及びアルカリともに加水分解の進行に伴って低分子化が認められた。脱アミド化に関しては、酸及びアルカリともに加水分解の進行に伴って脱アミド化が進行したが、酸加水分解と比較してアルカリ加水分解は脱アミド化の変化が緩やかであった。小麦の酸及びアルカリともに0.5時間の加水分解物では感作能を有し、加水分解の進行(低分子化)に伴い感作性が減弱することが、動物実験で明らかとなった。
小麦加水分解物を含有する石鹸の使用によるアレルギー発症の事例調査並びに事後の経過観察による結果からは、2014年2月20日時点、確実例は2107例で、女性2020例(95.9%)、男性 87例(4.1%)であった。なお、当該石鹸は、2011年5月に自主回収が行われ、加水分解コムギ患者群においては石鹸使用中止後、小麦、グルテン特異的IgE抗体価の減少傾向を認めた。ただし、症状改善の程度に個人差が存在することも同時に示唆され、今後の長期にわたる経過観察が必要であることが示された。
結論
人体に影響を及ぼす化合物やアレルゲンを含有する医薬部外品・化粧品が国内外で製造されており、国内での小麦加水分解物含有石鹸等の使用によるアレルギー発症の事例調査によっても、これらによる健康被害の起きる場合のあることが明らかになった。これらのアレルギー発症の事例調査並びに発症した患者の長期にわたる事後経過観察が必要であるとともに、新たなアレルギー発症事例を防止するためには、医薬部外品原料規格で小麦加水分解物等に分子量を加味した試験法を提案することが必要であると思われた。

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
-

収支報告書

文献番号
201328026Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
20,000,000円
(2)補助金確定額
20,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 9,853,409円
人件費・謝金 7,170,451円
旅費 1,907,840円
その他 1,070,030円
間接経費 0円
合計 20,001,730円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
-