セルフケア・セルフチェックを支援する医療提供体制と一般用医薬品の役割に関する研究

文献情報

文献番号
201328023A
報告書区分
総括
研究課題名
セルフケア・セルフチェックを支援する医療提供体制と一般用医薬品の役割に関する研究
課題番号
H23-医薬-指定-030
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
望月 眞弓(慶應義塾大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
3,940,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成25年度はセルフチェック・セルフケアを支援する新しい医療提供体制について、平成24年度に参加した各地区において継続的な実証研究を行い、その結果を踏まえて、必要な人材、インフラ、教育、物(一般用医薬品や検査薬)などを整理し提案する。
研究方法
平成24年度までの結果を踏まえて、セルフチェック・セルフケアを支援する新しい医療提供体制の例と連携構築のための研修会・勉強会のテーマと方法、セルフチェックのためのサービスの形態と必要な機器・資材、受診勧奨のための紹介状の様式、保健所への相談時に必要な書類などについて調査・検討した。さらに、選定地域のうち、それぞれの活動実態に合わせて、検査から受診勧奨への実証的研究、医療者間の意識調査、生活者の満足度・意識調査を実施した。検査から受診勧奨への実証的研究は、薬局店頭における自己検査機器を用いた事例によって実施した。なお、研究計画段階から医師と連携して行った。
結果と考察
自己採血によるHbA1c、血清脂質検査、血圧測定、体脂肪測定等を薬局店頭で行う機会を提供するという複数の研究から、生活者が薬局において気軽にセルフチェックを行える体制を構築することが、これまで、様々な要因で健診を受けることができなかった生活者の掘り起こしに繋がることが確認された。また、自己採血セルフチェックにおいて薬剤師が生活者に対し検査値に関する情報を提供することにより、異常値のある生活者に受診を促すことを明らかにした。加えて、セルフチェックに意欲のある生活者は、検査値が異常値であった場合に生活習慣(食事・運動等)の改善などに対する意欲も高いことが明らかとなった。尿糖試験、COPD-PS、血圧測定、体脂肪測定などによる非侵襲性のセルフチェックについても潜在患者や予備群の掘り起こしに有用であることが示唆された。いずれの取り組みも地域医師会との連携のもと地域薬局薬剤師が関与して実施することで受診への誘導がより高められる可能性があり、薬局の地域の健康づくりのゲートキーパーとしての役割に期待ができるものと考えられた。なお、薬局店頭での検体検査測定については、平成26年3月に臨床検査技師法の一部変更により、医政局指導課医療関連サービス室長への届出により実施することが可能となった。店頭検査が地域住民にとって意味あるものとするためには、「検体測定室に関するガイドライン」に従い測定サービスを提供するとともに、地域医療機関との連携が不可欠であると考える。
結論
今回の研究からセルフケア・セルフチェックを支援する医療提供体制には以下が必要と考える。
●セルフケア・セルフチェックを支援する医療提供体制が具備すべき要件
<必要な人材>地域薬局薬剤師、地域医師、栄養士など
<インフラ>薬局店頭での各種測定器の設置場所の確保、プライバシー確保の設備(パーテーション等)、保健所・自治体・健康保険組合による支援、医療連携体制(基幹病院と関連病院・クリニックおよび薬局)の構築など
<教育>臨床検査値の意義等に関する医師から薬剤師への研修の提供、測定器の取扱いや精度管理についての教育、受診勧奨のためのカウンセリング技術の教育など
<物>血圧計、体脂肪計、自己採血による検体測定器、自己採血器具、自己検査のための検査薬、検査結果の理解を促す資材、受診勧奨のための紹介状と返書など

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

文献情報

文献番号
201328023B
報告書区分
総合
研究課題名
セルフケア・セルフチェックを支援する医療提供体制と一般用医薬品の役割に関する研究
課題番号
H23-医薬-指定-030
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
望月 眞弓(慶應義塾大学 薬学部)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
 生活者が自らの健康に関心を持ち自己管理するには、生活習慣の適正化に加え、定期健診も重要である。しかし、健診の結果、治療が必要な域にあっても未治療で放置する患者は多いとされる。また、若年の専業主婦層では健診の機会を持たない割合も高いと言われる。こうした患者予備群又は潜在患者への対策は、今後の日本の医療の大きな課題の1つである。
 その対策の1つとして、セルフチェックや未病段階でのセルフケアの普及が考えられる。生活者がセルフチェックにて正常域になかった場合、その解釈やその後の行動を支援する体制が不可欠であり、医師、薬剤師、保健師、栄養士等医療関係者の適切な関わりが重要である。患者予備軍又は潜在患者を掘り起こし、セルフケアや受療に導くには対象者とこれらの医療関係者間の連携がとれていなければならない。
 本研究では、地域におけるセルフケア・セルフチェックを支援する医療提供体制の構築に向けて、必要な人材、インフラ、教育、物などをまとめ提案することを目的とする。
研究方法
 初年度(平成23年度)はセルフチェックからセルフケア、受療の段階へと有機的に連携させる仕組みについて、関わる人、物、機関等について、日本プライマリ・ケア学会所属医師および薬剤師、日本薬剤師会サポート薬局薬剤師を対象に調査した。平成24年度は、連携が機能する複数の地域をモデル地域として5地区(北海道・東北、神奈川県、長野県、福井県、高知県)を選定し、さらに1地区(東京都・徳島県)を追加し、それらの実態を分析した。さらに欧州(フィンランド、デンマーク、ドイツ、フランスの各国薬剤師会)およびニュージーランド(オークランド大学薬学部のNatalie Gauld氏)における地域薬局のセルフケア・セルフチェックに関する活動の調査を行った。最終年度(平成25年度)は、セルフケア・セルフチェックを支援する新しい医療提供体制について、平成24年度の地区(北海道・東北、神奈川県、福井県、高知県、東京都・徳島県)から長野県を除き千葉県を加えて実証的研究を行い、その結果を踏まえて、必要な人材、インフラ、教育、物などをまとめた。
結果と考察
 各地域で薬局が健康管理のゲートキーパーとしてその役割を果たすために、薬局店頭での検体測定を提供することは、潜在患者の掘り起こし、健康に対する意識を高めるために一定の役割を果たせると考えられた。欧州を中心とした諸外国でも同様のサービス提供は始まっているところである。今後このような活動を展開するに際し、保健所の許可を得られるかどうかが地域ごとにまちまちであった点が課題として挙げられた。この点は、内閣府の規制改革会議ならびに産業競争力会議と厚生労働省・経済産業省との間で規制緩和について検討が進められ、平成26年3月に臨床検査技師法の一部改正が行われ、「検体測定室」のあり方が明確化された。これにより今後は届出により実施が可能となる。また、実際の実施体制の構築においては、地域医療の現状・現在のしくみとの整合性を保つために、地域の医師会や薬剤師会との綿密な連携が望まれる。またその上にさらに自治体や健康保険組合などの公的機関の積極的な支援も得られれば理想的と考える。そして、何よりも薬剤師がその役割を自覚し、健康管理に関する知識等について研鑽を積むことも重要である。
結論
●セルフケア・セルフチェックを支援する医療提供体制が具備すべき要件
<必要な人材>地域薬局薬剤師、地域医師、栄養士など
<インフラ>薬局店頭での各種測定器の設置場所の確保、プライバシー確保の設備(パーテーション等)、保健所・自治体・健康保険組合による支援、医療連携体制(基幹病院と関連病院・クリニックおよび薬局)の構築など
<教育>臨床検査値の意義等に関する医師から薬剤師への研修の提供、測定器の取扱いや精度管理についての教育、受診勧奨のためのカウンセリング技術の教育など
<物>血圧計、体脂肪計、自己採血による検体測定器、自己採血器具、自己検査のための検査薬、検査結果の理解を促す資材、受診勧奨のための紹介状と返書など

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-05-11
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201328023C

成果

専門的・学術的観点からの成果
セルフケア・セルフチェックを支援する医療提供体制を考えるに当たって、その直接の関係者である医師及び薬剤師が、人、インフラ、教育、物についてどのように考えているかについて大規模なアンケート調査を行い明らかにした。さらに、支援体制が整っていると考えられる複数の地域で、薬局店頭での自己検査の提供や健康イベントでの健康チェックの提供などにより、潜在患者の掘り起こしや早期受診に繋がるかを臨床研究によって検証した。
臨床的観点からの成果
本研究によりセルフケア・セルフチェックを支援する医療提供体制の構築において必要な要件が明らかとなった。これらの要件を満たすため地域の医師会や薬剤師会との綿密な連携のための方策、プライマリケア領域の進んだ知識を有する薬剤師の養成、薬局での検体測定の設備と届出制などの整備、受診勧奨の徹底のための方策などを具体化するためのモデルが提案できた。
ガイドライン等の開発
特になし
その他行政的観点からの成果
内閣府の規制改革会議ならびに産業競争力会議と厚生労働省・経済産業省との間で規制緩和について検討が進められ、平成26年3月に臨床検査技師法の一部改正が行われ、「検体測定室」のあり方が明確化された。本研究はこの解釈の変更に少なからず影響したと考える。
その他のインパクト
平成23~25年度研究成果報告会、2014年3月19日(於 慶應義塾大学薬学部)を開催

発表件数

原著論文(和文)
0件
原著論文(英文等)
0件
その他論文(和文)
0件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
24件
学会発表(国際学会等)
0件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

公開日・更新日

公開日
2015-06-29
更新日
-

収支報告書

文献番号
201328023Z