医療用医薬品の使用上の注意の在り方に関する研究

文献情報

文献番号
201328022A
報告書区分
総括
研究課題名
医療用医薬品の使用上の注意の在り方に関する研究
課題番号
H23-医薬-指定-026
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 信範(国立大学法人 千葉大学 薬学研究院 臨床教育研修室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
5,700,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成20年度~22年度までに厚生労働科学研究費補助金医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業「医療用医薬品の添付文書の在り方及び記載要領に関する研究(研究代表者:上田志朗)」において実施した全国の医療機関に勤務する医師・薬剤師を対象とした現行の医療用医薬品の添付文書に対するアンケート調査では、現行の添付文書に対する医療関係者の意識が明らかとなった。現行の医療用医薬品の添付文書の位置づけは、大多数の医師・薬剤師から「重要」であるとの認識が得られたが、後半に記載されている承認条件は過半数がその存在を認知していないこと、添付文書の中で重複する部分が多いこと等の問題点が指摘された。これらの問題の解決のためには、承認条件を前方に記載する等の記載順序の変更が必要と考えられた。さらに、小児・高齢者・妊産婦・授乳婦に関して画一的な情報で役に立たない等、使用上の注意の記載内容に関する問題点も多く指摘された。これらの使用上の注意を含め医療用医薬品の添付文書の問題点を克服した新しい医療用医薬品の添付文書の記載要領及びモデル案を策定し、医療関係からの評価を得ることとした。
研究方法
平成24年度までの研究結果を踏まえ、日本製薬工業協会の協力を得て、臨床検査結果に及ぼす影響」「過量投与」「臨床成績」「その他の注意」「相互作用」「警告」「高齢者への投与」「承認条件」「原則禁忌」「効能・効果に関連する使用上の注意」「用法・用量に関連する使用上の注意」「授乳婦」「小児への投与」「適用上の注意」「適用上の注意」「重要な基本的注意」「副作用」の項の医療用医薬院添付文書モデル(案)(以下「添付文書モデル(案))を作成し、臨床で添付文書を利用する全国の501施設に勤務する医師・薬剤師を対象に作成した「添付文書モデル(案)」に関するアンケート調査を行った。
結果と考察
本調査により「警告」以降全ての項目に「1」~「25」の番号を付与し、該当資料等がない場合には「設定なし」との案に関して86%以上の医療関係者の賛同が得られ、情報が有るのか無いのかの根拠が医療機関において必要とされていることが判明した。また、「承認条件」を「使用上の注意」の前に記載する案に関しても医師で約87%、薬剤師で約81%の賛同が得られ、現在、「包装」の項目の前に記載され認知度が低かった項目であるが、本案によりより認知度を高め効果的になるものと期待できる。さらに、現在「慎重投与」に記載されている患者集団に加え「高齢者への投与」、「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」及び「小児等への投与」の項で注意喚起されていた患者集団をまとめて「特定の患者集団に関する情報」とする案に関しては、医師、薬剤師共に約84% の賛同が得られた。この案により特定の集団が添付文書上散見されていたものが、集約されより注意喚起されやすくなると考えられると共に米国の添付文書と同様な考え方になりより国際標準に準じた添付文書となると考えられる。「原則禁忌」及び「原則併用禁忌」に関しては、医師、薬剤師いずれも必要であるとの意見と必要でないとの意見が拮抗しているため、今後は原則禁忌を設定しないことが妥当であると考えられる。「保険給付上の注意」に関しては、約96%以上の医師、薬剤師が必要としている事が明らかとなった。また、現在の添付文書の「警告」に関して、記載内容が患者への説明内容や医師や施設への限定事項等が、一連の文章で記載されている為読みにくいとの意見が見られたことから、「医師や医療施設の限定」、「患者への同意・説明」等の項目に分け記載する案に関して医師、薬剤師いずれも約96%以上の賛同が得られた。さらに、「副作用」の項に関しては、その発生頻度を「重大な副作用」に関してはその項目ごと、「その他の副作用」に関しては従来の表形式で頻度を記載する方法に、約86%の医師、約76%の薬剤師の賛同が得られた。また、従来から指摘されている「重大な副作用」の記載内容が、同様の趣旨の繰り返しであることを受け改善した案には医師で約90%、薬剤師で約89%の賛同が得られた。
結論
「警告」以降全ての項目に「1」~「25」の番号を付与し該当資料等がない場合には「設定なし」とする、「承認条件」を「使用上の注意」の前に記載する、「慎重投与」に記載されている患者集団に加え「高齢者への投与」、「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」及び「小児等への投与」の項で注意喚起されていた患者集団をまとめて「特定の患者集団に関する情報」と記載する、「保険給付上の注意」に関して記載する、「警告」の記載を項目に分け記載する、「副作用」の発生頻度を「重大な副作用」はその項目ごと、「その他の副作用」は従来の表形式で記載する、「重大な副作用」の記載内容を画一的な表現を改めることに多くの医師、薬剤師の賛同が得られた。

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201328022B
報告書区分
総合
研究課題名
医療用医薬品の使用上の注意の在り方に関する研究
課題番号
H23-医薬-指定-026
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
佐藤 信範(国立大学法人 千葉大学 薬学研究院 臨床教育研修室)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
平成20年度~22年度までに厚生労働科学研究費補助金医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究事業「医療用医薬品の添付文書の在り方及び記載要領に関する研究(研究代表者:上田志朗)」において実施した全国の医療機関に勤務する医師・薬剤師を対象とした現行の医療用医薬品の添付文書に対するアンケート調査(以下、「医師・薬剤師大規模アンケート」)では、現行の添付文書に対する医療関係者の意識が明らかとなった。現行の医療用医薬品添付文書の位置づけは、大多数の医師・薬剤師から「重要」であるとの認識が得られたが、後半に記載されている承認条件は過半数がその存在を認知していないこと、添付文書の中で重複する部分が多いこと等の問題点が指摘された。これらの問題の解決のためには、承認条件を前方に記載する等の記載順序の変更が必要と考えられた。さらに、小児・高齢者・妊産婦・授乳婦に関して画一的な情報で役に立たない等、使用上の注意の記載内容に関する問題点も多く指摘された。これらの使用上の注意を含め、医療用医薬品の添付文書の問題点を克服した新しい医療用医薬品の添付文書の記載要領を策定することを目的として平成23年度~25年度までの3年間にわたり医療用医薬品の使用上の注意の在り方に関する研究を行った。
研究方法
1)記載要領(案)の検討:医療用添付文書の各項目の並び順及び記載方法について各研究分担者で担当し、各項目の記載方法について検討した。2)医療用医薬品添付文書モデル(案)の作成:1)で作製した記載要領(案)に基づき日本製薬工業協会の協力を得て医療用添付文書のモデル(案)を作成した。3)医療用医薬品添付文書モデル(案)の評価:2)で作成した医療用医薬品添付文書モデル(案)を添付し、当該モデル(案)の記載順序、各項目等について全国の501施設に勤務する医師・薬剤師を対象にアンケート調査を行った。
結果と考察
本調査により「警告」以降全ての項目に「1」~「25」の番号を付与し、該当資料等がない場合には「設定なし」との案に関して86%以上の医療関係者の賛同が得られ情報が有るのか無いのかの根拠が医療機関において必要とされていることが判明した。また、「承認条件」を「使用上の注意」の前に記載する案に関しても医師で約87%、薬剤師で約81%の賛同が得られ、現在「包装」の項目の前に記載され認知度が低かった項目であるが、本案によりより認知度を高め効果的になるものと期待できる。さらに、現在「慎重投与」に記載されている患者集団に加え「高齢者への投与」「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」「小児等への投与」の項で注意喚起されていた患者集団をまとめて「特定の患者集団に関する情報」とする案に関しては、医師、薬剤師共に約84%の賛同が得られた。この案により特定の集団が添付文書上散見されていたものが集約されることにより注意喚起されやすくなると考えられると共に米国の添付文書と同様な考え方になりより国際標準に準じた添付文書となると考えられる。「原則禁忌」及び「原則併用禁忌」に関しては、医師、薬剤師いずれも必要であるとの意見と必要でないとの意見が拮抗しているため、今後は原則禁忌を設定しないことが妥当であると考えられる。「保険給付上の注意」に関しては、約96%以上の医師、薬剤師が必要としている事が明らかとなった。また、現在の添付文書の「警告」に関して記載内容が患者への説明内容や医師や施設への限定事項等が一連の文章で記載されている為読みにくいとの意見が見られたことから「医師や医療施設の限定」「患者への同意・説明」等の項目に分け記載する案に関して医師、薬剤師いずれも約96%以上の賛同が得られた。さらに、「副作用」の発生頻度を「重大な副作用」に関してはその項目ごと、「その他の副作用」に関しては従来の表形式で頻度を記載する方法に約86%の医師と約76%の薬剤師の賛同が得られた。また、従来から指摘されている「重大な副作用」の記載内容が、同様の趣旨の繰り返しであることを受け改善した案には医師で約90%、薬剤師で約89%の賛同が得られた。
結論
「警告」以降全ての項目に「1」~「25」の番号を付与し該当資料等がない場合には「設定なし」とする、「承認条件」を「使用上の注意」の前に記載する、「慎重投与」に記載されている患者集団に加え「高齢者への投与」「妊婦、産婦、授乳婦等への投与」及び「小児等への投与」の項で注意喚起されていた患者集団をまとめて「特定の患者集団に関する情報」として記載する、「保険給付上の注意」に関して記載する、「警告」の記載を項目に分け記載する、「副作用」の発生頻度を「重大な副作用」はその項目ごと、「その他の副作用」は従来の表形式で記載する、「重大な副作用」の記載内容を画一的な表現を改めることに多くの医師、薬剤師からの賛同が得られた。

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201328022C

収支報告書

文献番号
201328022Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
7,400,000円
(2)補助金確定額
7,400,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 3,293,478円
人件費・謝金 0円
旅費 581,590円
その他 1,824,932円
間接経費 1,700,000円
合計 7,400,000円

備考

備考
-

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
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