医薬品等の市販後安全対策のための医療情報データベースを活用した薬剤疫学的手法の確立及び実証に関する研究

文献情報

文献番号
201328021A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品等の市販後安全対策のための医療情報データベースを活用した薬剤疫学的手法の確立及び実証に関する研究
課題番号
H23-医薬-指定-025
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
川上 純一(浜松医科大学 医学部附属病院薬剤部)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 通男(浜松医科大学医学部附属病院医療情報部)
  • 堀  雄史(浜松医科大学医学部附属病院薬剤部)
  • 大江 和彦(東京大学医学部附属病院企画情報運営部)
  • 中島 直樹(九州大学病院医療情報部)
  • 横井 英人(香川大学医学部附属病院医療情報部)
  • 池田 俊也(国際医療福祉大学薬学部)
  • 佐井 君江(国立医薬品食品衛生研究所医薬安全科学部)
  • 頭金 正博(名古屋市立大学薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
8,100,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1,000万人規模の医療情報データベースを利用した医薬品の安全対策を先導するため、医薬品の市販後安全対策への活用に直結する薬剤疫学的調査手法を確立及び実証することを目的とした。具体的には、(1) 医薬品の副作用検出のためのアルゴリズム構築とそれを用いた行政施策の反映効果の確認(第1部)、(2) 医療情報データベースを用いた医薬品の副作用検出の実施可能性(第2部)、(3) 医療情報データベースを有する医療機関における処方オーダデータの現状等の調査(第3部)、(4) 医療情報データベース解析におけるバイアスの対応(第4部)に関する研究を実施した。
研究方法
(1) 薬剤性肝障害と無顆粒球症の検出アルゴリズムを構築し、その有用性を確認した。オセルタミビルリン酸塩の10代原則使用制限とクロピドグレルとオメプラゾールとの併用注意について、複数施設のデータベースを用いて検討した。(2) テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤および他のフッ化ピリミジン製剤服用後における脳梗塞の発現について病院診療データベースを用いた検出を試みた。 (3) 複数の病院におけるデータベースからの抽出条件や調査過程における諸問題について検討した。入院注射オーダデータと実施データとの差の要因分析や、電子カルテシステムから独立した部門システムのデータウェアハウスの機能や検索機能に関する検討を行った。(4) 抗精神病薬による糖尿病発症についてレセプトデータベースを用いて解析し、判定基準の変更が集計結果に与える影響を調べた。
結果と考察
(1) 薬剤性肝障害と無顆粒球症の診療情報データベースからの検索について有用性の高いアルゴリズムを構築した。施策効果が確認できる有効な評価方法を実証すると共に、複数施設における分散型データベース研究の実施可能性を示した (2) 病院情報データベースを用いることで、フッ化ピリミジン製剤の処方後に脳梗塞を発症した症例の同定とその背景の検討も可能であった。(3) 各病院が保有するデータベースや診療プロセス等の実状に応じた抽出条件の設定や定義の明確化が必要であることが分かった。(4) アウトカムである糖尿病の判定基準を変えてもリスク算出に大きな影響はなかった。ただし「疑い」病名を含めることについては結果に影響を与える可能性も示唆された。
結論
副作用の検出方法に関するアルゴリズムの構築と実証、行政施策の医療現場への反映効果の検証、複数の病院における医療情報データベースを用いた調査実施の可能性、バイアスへの対応等についての実施可能性を把握することができた。

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201328021B
報告書区分
総合
研究課題名
医薬品等の市販後安全対策のための医療情報データベースを活用した薬剤疫学的手法の確立及び実証に関する研究
課題番号
H23-医薬-指定-025
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
川上 純一(浜松医科大学 医学部附属病院薬剤部)
研究分担者(所属機関)
  • 木村 通男(浜松医科大学医学部附属病院医療情報部)
  • 堀  雄史(浜松医科大学医学部附属病院薬剤部)
  • 大江 和彦(東京大学医学部附属病院企画情報運営部)
  • 中島 直樹(九州大学病院医療情報部)
  • 横井 英人(香川大学医学部附属病院医療情報部)
  • 池田 俊也(国際医療福祉大学薬学部)
  • 斎藤 嘉朗(国立医薬品食品衛生研究所医薬安全科学部)
  • 佐井 君江(国立医薬品食品衛生研究所医薬安全科学部)
  • 頭金 正博(名古屋市立大学薬学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
1,000万人規模の医療情報データベースを利用した医薬品の安全対策を先導するため、医薬品の市販後安全対策への活用に直結する薬剤疫学的調査手法を確立及び実証することを目的とした。具体的には、(1) 医薬品の副作用検出のためのアルゴリズム構築とそれを用いた行政施策の反映効果の確認(第1部)、(2) 医療情報データベースを用いた医薬品の副作用検出の実施可能性(第2部)、(3) 医療情報データベースを有する医療機関における処方オーダデータの現状等の調査(第3部)、(4) 医療情報データベース解析におけるバイアスの対応(第4部)に関する研究を実施した。
研究方法
(1) ヘパリン起因性血小板減少症Ⅱ型、薬剤性肝障害と無顆粒球症の検出アルゴリズムを構築し、その有用性を確認した。オセルタミビルリン酸塩の10代原則使用制限とクロピドグレルとオメプラゾールとの併用注意について、複数施設のデータベースを用いて検討した。(2) テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤処方後の肝機能検査値の異常及び脳梗塞の発現、ニューキノロン系抗菌薬による腱障害、各種新薬による臨床検査値異常について病院診療データベースを用いた検出を試みた。 (3) 4つの大学病院におけるデータベースの規模や検索できるデータ等について調査し、実際にデータ抽出を行うことにより薬剤疫学調査時に発生する種々の問題点について検討した。(4) 海外におけるデータベースを利用した医薬品の安全性評価の実態調査と、レセプトデータベースを用いた糖尿病と発癌との関係や抗精神病薬と糖尿病発症との関係についてバイアスの観点から検討した。
結果と考察
(1) 各副作用を検索できる有用性の高いアルゴリズムを構築した。施策効果が確認できる有効な評価方法を実証すると共に、複数施設における分散型データベース研究の実施可能性を示した (2) 病院情報データベースを用いることで、副作用や臨床検査値異常を発症した症例の同定とその背景要因の検討が可能であった。(3) 各病院が保有する診療情報データベースの規模・特性等や、具体的な調査課題を事例としたデータベース利用に係る課題について明らかにした。(4) 米国・欧州におけるデータベースを利用した安全性対策の実状を把握でき、レセプトデータを用いた薬物と副作用との関係についての調査によりバイアスへの対処法についても一定の知見を得た。
結論
副作用の検出方法に関するアルゴリズムの構築と実証、行政施策の医療現場への反映効果の検証、複数の病院における医療情報データベースを用いた調査実施の可能性、バイアスへの対応等についての実施可能性を把握することができた。

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201328021C

成果

専門的・学術的観点からの成果
副作用の検出方法に関するアルゴリズムの構築と実証、行政施策の医療現場への反映効果の検証、複数の病院における医療情報データベースを用いた調査実施の可能性、バイアスへの対応等についての実施可能性を把握することができた。
臨床的観点からの成果
副作用の検出方法に関するアルゴリズムの構築と実証、行政施策の医療現場への反映効果の検証、複数の病院における医療情報データベースを用いた調査実施の可能性、バイアスへの対応等についての実施可能性を把握することができた。
ガイドライン等の開発
特になし。
その他行政的観点からの成果
第3回医療情報データベース基盤整備事業のあり方に関する検討会(平成26年2月24日)において、医療情報データベースを利用した薬剤疫学研究の実例として本研究成果が発表された。
その他のインパクト
特になし。

発表件数

原著論文(和文)
8件
原著論文(英文等)
4件
その他論文(和文)
6件
その他論文(英文等)
0件
学会発表(国内学会)
13件
学会発表(国際学会等)
9件
その他成果(特許の出願)
0件
その他成果(特許の取得)
0件
その他成果(施策への反映)
0件
その他成果(普及・啓発活動)
0件

特許

主な原著論文20編(論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限る)

論文に厚生労働科学研究費の補助を受けたことが明記された論文に限ります。

原著論文1
須藤チエ、東雄一郎、前川京子、他
医薬品副作用自発報告からみる重篤副作用4種の最近の動向
国立医薬品食品衛生研究所報告 , 129 , 111-117  (2011)
原著論文2
Hori K, Yamakawa K, Yoshida N, et al.
Detection of fluoroquinolone- induced tendon disorders using a hospital database in Japan
Pharmacoepidemiology and Drug Safety  (2012)
原著論文3
若田好史、中島直樹、野原康伸
電子クリニカルパスにおけるオールバリアンス解析
医療情報学  (2012)
原著論文4
長井美和, 姜長安, 森岡慶、他
標準用語集の普及を目的としたツールの開発
医療情報学  (2012)
原著論文5
須藤チエ、前川京子、瀬川勝智、他
医薬品副作用症例報告からみる薬物性肝障害の最近の動向
国立医薬品食品衛生研究所報告  (2012)
原著論文6
中島 直樹
日本のセンチネル・プロジェクトにおける臨床検査の貢献
臨床病理  (2013)
原著論文7
中島直樹、野田光彦
糖尿病と国家規模のスキーム -わが国の糖尿病対策はどこへ向かうのか-
プラクティス  (2013)
原著論文8
木村通男、中島直樹
医療情報データベース基盤整備事業と糖尿病診療・臨床研究
プラクティス  (2013)
原著論文9
大崎美穂, 宮崎淳文, 谷口恵梨、他
C型慢性肝炎の肝線維化ステージ推定を目指した検査値時系列の動的特徴量の提案
医療情報学  (2013)
原著論文10
Hanatani T, Sai K, Tohkin M, et al.
An algorithm for the identification of heparin-induced thrombocytopenia using a medical information database
J Clin Pharm Ther  (2013)
原著論文11
Sai K, Hanatani T, Azuma Y, et al.
Development of a detection algorithm for statin-induced myopathy using electronic medical records
J Clin Pharm Ther  (2013)
原著論文12
Hanatani, T, Sai, K, Tohkin, M. et al.
Impact of Japanese regulatory action on metformin-associated lactic acidosis in type II diabetes patients.
Int J Clin Pharm  (2015)

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
2016-06-30

収支報告書

文献番号
201328021Z