患者及び医療関係者との医薬品等安全対策情報のリスクコミュニケーションに関する研究

文献情報

文献番号
201328010A
報告書区分
総括
研究課題名
患者及び医療関係者との医薬品等安全対策情報のリスクコミュニケーションに関する研究
課題番号
H24-医薬-一般-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
杉森 裕樹(大東文化大学 スポーツ・健康科学部 健康科学科)
研究分担者(所属機関)
  • 折井 孝男(NTT東日本関東病院)
  • 山本 美智子(昭和薬科大学薬学部)
  • 中山 健夫(京都大学医学研究科)
  • 池田 俊也(国際医療福祉大学薬学部)
  • 松田 勉(山形大学大学院医学系研究科)
  • 漆原 尚巳(京都大学大学院医学研究科)
  • 小橋 元((独)放射線医学総合研究所企画部)
  • 須賀 万智(東京慈恵会医科大学医学部)
  • 田倉 智之(大阪大学医学部 未来医療センター・臨床経済評価/医療産業政策)
  • 高橋 英孝(東海大学医学部基盤診療)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
2,910,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
「患者・消費者」および「医療関係者」との医薬品安全対策情報のリスコミに関する諸課題については、「薬害肝炎事件の検証及び再発防止のための医薬品行政のあり方検討委員会」最終提言(平成22年4月)においても指摘され、喫緊の課題である。米国では、FDA改革法(2007年)により、患者への医薬品安全性情報の提供が強化された。FDAリスコミ諮問委員会を設置し、インターネットによる医薬品情報のアクセスを改善した。また、「患者参加」の視点も医薬品安全対策行政に導入され始めており、わが国でもリスコミを進展させる基盤の検討が必要である。また、医療関係者には、情報提供の改善(PMDAメディナビへの登録推進、マイ医薬品集等)が図られつつあるが、「エビデンスに基づくコミュニケーションデザイン」(FDA, Fischhoffら、2011年)の検討は十分でない。本研究は、わが国の患者・消費者のリスコミ課題、医療関係者のリスコミ課題と、両者に係る国際的情報及び動向調査の三本柱よりなる。個々の課題について各論的に深めたうえで、総括的に議論を深め、わが国の医薬品安全対策情報の適切なリスコミ方策のあり方(ベストプラクティス)について提言を整理することを目的とする。
研究方法
【国際的情報及び動向の検討】国際的情報及び動向の検討として、英国のMHRA(Medicines and Healthcare products Regulatory Agency)及び、患者向医薬品情報のユーザーテスト会社であるCambridge Regulatory Services Ltd. を視察した。PIL(patient information leaflet)とユーザーテストに関する事項について担当者と面談を行った。また、欧米に加え、地理的及び民族的に近く、近年、わが国の医薬品安全対策において連携の重要性が増す東アジア地域(シンガポールHSA)の分析にも取り組んだ。
【わが国の医薬品安全対策情報のリスコミにおける患者参加・関与のあり方の検討】
ユーザーテストのインタビュー調査を行った。日本製薬工業協会(以下製薬協)医薬品評価委員会PMS部会及び患者団体連携推進委員会委員、並びに製薬協と連携する患者会構成員(日本IDDMネットワーク、日本リウマチ友の会、えじそんくらぶ、アレルギーを考える母の会等)の協力のもと、24年度に本研究班作業部会により策定・整理した「患者向医薬品ガイド」改定案に対する意見聴取を行い、わが国の患者参加・関与のあり方を検討した。(ジャヌビア:糖尿病患者、及び糖尿病既往のない一般人;ストラテラ:患者と同年齢層の子どもを持つ親;製薬協患者団体連携推進委員会委員)
【エビデンスに基づくコミュニケーションデザインの検討】
2013年8~11月に関東・近県の人間ドック受診者2113名を対象に「健康情報の理解と活用に関するアンケート調査」を実施した。患者の「ヘルスリテラシーレベル」(HLS-14, NVS-J、Lipkus-J)を考慮したニーズ分析を行った。
結果と考察
【1】英国視察により、PILとユーザーテストを含む、わが国の患者・消費者への医薬品安全対策情報の効果的リスコミ方策について情報収集できた。
【2】ユーザーテストの意見聴取から、ユーザーテストは比較的簡便な情報評価方法として、わが国においても「患者向医薬品ガイド」作成に適応可能と考えられた。ただし、患者医薬品ガイドについてのユーザーの視点からの改善点や検討すべき点などが明らかになった。また、日本薬学会第134年会シンポジウム「リスク最小化に向けた患者への医薬品情報を考える ―患者向医薬品ガイドの検討― 」(座長山本、杉森)において、本テーマについて、国内研究者とディスカッションを行った。
【3】ヘルスリテラシーレベルを考慮した医薬品安全性情報のニーズ分析では、回答者の多くは情報源を複数もち、約8割がインターネットを挙げた。ヘルスリテラシーが高い者は、情報源の数が多く、知りたい情報が十分に得ている、処方薬についてもっと詳しく知りたい、自分の意見を反映したいと答えた割合が高かった。
結論
本研究班は、リスコミの実体的な取り組みにより、真の患者参加の対話型医療(shared decision making)の実現を目指すものである。欧米の医薬品レギュレーション機関では、患者・消費者を「リアルな闘病体験とネットワークをもつ、医療者とは違う視点の専門家」として評価し、ユーザーテストを活用している。患者・消費者が、医薬品の安全対策情報提供の助言者として、社会的役割を主体的に担う基盤を確立させ、継続的な対話の萌芽となることが期待される。さらには、未来に向けて、社会における医薬品への信頼性を向上させ、安全で満足度の高い医療システムの実現が望まれる。

公開日・更新日

公開日
2015-04-28
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201328010Z