医薬品品質システムにおける医薬品製造・品質管理手法の系統化及び国際調和に関する研究

文献情報

文献番号
201328008A
報告書区分
総括
研究課題名
医薬品品質システムにおける医薬品製造・品質管理手法の系統化及び国際調和に関する研究
課題番号
H23-医薬-一般-010
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
香取 典子(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 檜山 行雄(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 )
  • 坂本 知昭(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 )
  • 小出 達夫(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,370,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ICH Q8, Q9, Q10の概念と具体的な医薬品製造管理・品質管理との有機的なリンクを達成するために、製剤開発段階から製造管理・品質管理までを包括する医薬品品質特性の解析・評価技術の導入が望まれる。このため、開発段階でより多くの品質特性を解析し、またQbD(Quality bu Design:系統的な開発アプローチ)で示されるような品質頑健性の範囲を決定するための分析評価技術、また製造工程管理・品質管理における適切な評価技術及び的確なデータ解析評価手法の導入アプローチを提案することは重要である。
本研究では、高度分析技術を横断的に適用することによって、分光学的な観点から分子レベルでの製剤の品質特性を解析し、品質システムの構築及びその運用において科学的根拠を与えるためのアプローチを提案することを目的としている。
研究方法
研究班の体制としては、品質システムの評価者である都道府県および医薬品医療機器総合機構の薬事担当者、ならびに製薬企業の研究開発、生産担当、品質保証、業務計画などの専門家、製薬業界団体の協力を得る。また、研究協力者として国内外の大学及び分析機器メーカー開発研究所、並びに製薬会社に属する研究者らと共同研究チームを編成して実施する。高度分析評価装置の測定については,分担研究者が所属する機関に所有する装置の他,共同研究チームに参加する研究者らが所属する機関が所有する装置を用いて測定及び解析を行う。
結果と考察
品質システムに関する研究:
これまで(Q10)ガイドラインの実践のため、厚生労働科学研究成果、ICH教育研修会からのフィードバックなどを基に、より具体的な指針作成など通じ医薬品品質システムの国内実践に貢献し、また、国際GMP査察団体(PIC/S)への加盟申請に伴う、GMP査察への品質システム適用について、施行通知や事例集などの整備を支えるための科学的検討を行った。平成25年度は前年度に引き続きGMPの国際調和への取り込みを行う目的で、GMP施行通知の主に「安定性モニタリング」に関する参考文書を作成し、国立医薬品食品衛生研究所Webページに掲載した。また、アメリカPDA・FDA共催容器包装システム会議および同ガラス容器会議に出席することにより最新の医薬品包装の課題に関する情報を収集した。
高度品質分析・評価技術に関する研究:
平成25年度では、テラヘルツ領域の電磁波を用いて、水和医薬品の脱水及び非晶質化速度に対するセルロース誘導体の与える影響を調べた。また、中赤外及び近赤外光を用いて分子局所振動を解析し、非晶質化メカニズムに関する分子科学的考察を行った。その結果、セルロース誘導体の存在により脱水及び非晶質化が促進されることが明らかとなり、さらに分子振動を横断的に観測することで分子内の局所構造的な変化を経時的に追跡することができた。本研究により、科学的根拠に基づいた、より優れた品質管理監督システムの構築に貢献可能な分析アプローチが提案できるものと考えられた。
品質システムの実践・導入に関する研究:
製剤のイメージングシステムを医薬品品質管理に導入するための適切な手法の検討を行った。平成25年度は、市販のクラリスロマイシン錠について、近赤外イメージングシステムを用いて含有成分の分布の測定を行い製剤均一性などの品質特性解析を行った。先発品と後発品について、近赤外イメージングを用いてPCAによる含有成分の分布及びその特性解析を行い、製剤処方が異なる場合における解析への影響について検討した。本研究では2種類の多変量解析(PCA、PLS)を比較し、PCAが含有成分の分布特性解析及び製剤の品質評価を行うための有効な手法のひとつとなることが示された。
結論
これまでの厚生労働科学研究の成果に基づき、医薬品の品質に系統的に影響を与えるのは、研究開発と生産組織の有機的な協働体制に最も重要な医薬品品質システムであると結論した。本研究では、医薬品品質システムの実践のためには企業の経営陣の意識向上など多くの課題解決を念頭に置き、定期品質照査・安定性モニターなどGMPの新要件に想定される項目に重点をおいた、より具体的なGMP施行通知および事例集作成に寄与した。
また、分光学的新評価技術の品質システムへの取り込みを通じ、具体的な新評価技術の導入及びデータ評価アプローチを提案することで、企業へのイノベーションへの姿勢を向上させ、さらには、国際調和を更に進める土台つくりとなり、国際的な医薬品の安定供給及び医薬行政機関間の共同関係を推進することが期待された。そしてこの結果を活用して製品ライフサイクルを通して製造プロセスの稼働性能及び製品品質のモニタリングを継続的に行うことにより、継続的改善が進み、品質保証が高まると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2018-06-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201328008B
報告書区分
総合
研究課題名
医薬品品質システムにおける医薬品製造・品質管理手法の系統化及び国際調和に関する研究
課題番号
H23-医薬-一般-010
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
香取 典子(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部)
研究分担者(所属機関)
  • 檜山 行雄(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 )
  • 坂本 知昭(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 )
  • 小出 達夫(国立医薬品食品衛生研究所 薬品部 )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
ICH Q8, Q9, Q10の概念と具体的な医薬品製造管理・品質管理との有機的なリンクを達成するために、製剤開発段階から製造管理・品質管理までを包括する医薬品品質特性の解析・評価技術の導入が望まれる。このため、開発段階でより多くの品質特性を解析し、またQbD(Quality bu Design:系統的な開発アプローチ)で示されるような品質頑健性の範囲を決定するための分析評価技術、また製造工程管理・品質管理における適切な評価技術及び的確なデータ解析評価手法の導入アプローチを提案することは重要である。
本研究では、高度分析技術を横断的に適用することによって、分光学的な観点から分子レベルでの製剤の品質特性を解析し、品質システムの構築及びその運用において科学的根拠を与えるためのアプローチを提案することを目的としている。
研究方法
研究班の体制としては、品質システムの評価者である都道府県および医薬品医療機器総合機構の薬事担当者、ならびに製薬企業の研究開発、生産担当、品質保証、業務計画などの専門家、製薬業界団体の協力を得る。また、研究協力者として国内外の大学及び分析機器メーカー開発研究所、並びに製薬会社に属する研究者らと共同研究チームを編成して実施する。高度分析評価装置の測定については,分担研究者が所属する機関に所有する装置の他,共同研究チームに参加する研究者らが所属する機関が所有する装置を用いて測定及び解析を行う。
結果と考察
品質システムに関する研究:
 欧州及び米国で行われたQ10研修会等で米国、欧州の規制当局関係者に品質システムの実践導入に関する情報を収集した。また、日本PDA製薬学会においては既存製品へのQbD適用事例が検討され、研究部門・薬事部門など他部門との連携が必須であることが示された。
 さらに、GMPの国際整合性に関する新たな要件と認識された6項目の品質システムへの取り込みを行う目的で、PMDAおよび日薬連の協力の下に、GMP施行通知の主に「安定性モニタリング」の項の作成を行い、合わせて事例集の改訂を行うと共に安定性に関する参考文書をWebに掲載した。
高度品質分析・評価技術に関する研究:
 テラヘルツ分光法及び近赤外分光法などを用いて医薬品の品質特性解析手法の開発ならびに工程管理分析技術としての導入研究を行った。
 テラヘルツパルスイメージング装置を用いて、フィルムコーティング工程において皮膜が形成のメカニズムが確認できた。また、近赤外分光器を用いて工程におけるIn-line透過含量測定を検討した。遠赤外/テラヘルツ領域の電磁波を用いて、製造工程における主薬成分の水和及び脱水現象を調べ、重要工程管理項目の選定及び管理幅の検討に有用な情報が得られることを示した。また、中赤外及び近赤外吸収の分子振動を横断的に観測することで分子内の局所構造的な変化を経時的に追跡することができた。
品質システムの実践・導入に関する研究:
製品品質の変動原因を特定するための新たな評価技術として、近赤外ケミカルイメージングシステムを検討した。市販のクラリスロマイシン錠を評価対象として、主成分分析(PCA)及びPLS2の2種類の多変量解析のデータ処理法を用いた混合均一性の評価について比較を行った。2種の解析法を活用することにより、より正確な分布特性評価が行えた。さらに、先発品と後発品について、製剤処方が異なる場合における解析への影響について検討した。その結果PCAが含有成分の分布特性解析及び製剤の品質評価を行うための有効な手法のひとつとなることが示された。
結論
これまでの厚生労働科学研究の成果に基づき、医薬品の品質に系統的に影響を与えるのは、研究開発と生産組織の有機的な協働体制に最も重要な医薬品品質システムであると結論した。本研究では、医薬品品質システムの実践のためには企業の経営陣の意識向上など多くの課題解決を念頭に置き、定期品質照査・安定性モニターなどGMPの新要件に想定される項目に重点をおいた、より具体的なGMP施行通知および事例集作成に寄与した。
また、分光学的新評価技術の品質システムへの取り込みを通じ、具体的な新評価技術の導入及びデータ評価アプローチを提案することで、企業へのイノベーションへの姿勢を向上させ、さらには、国際調和を更に進める土台つくりとなり、国際的な医薬品の安定供給及び医薬行政機関間の共同関係を推進することが期待された。そしてこの結果を活用して製品ライフサイクルを通して製造プロセスの稼働性能及び製品品質のモニタリングを継続的に行うことにより、継続的改善が進み、品質保証が高まると考えられた。

公開日・更新日

公開日
2018-06-08
更新日
-

研究報告書(PDF)

行政効果報告

文献番号
201328008C

収支報告書

文献番号
201328008Z