文献情報
文献番号
201328004A
報告書区分
総括
研究課題名
妊娠・授乳期における医療用医薬品の使用上の注意の在り方に関する研究
課題番号
H23-医薬-一般-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
吉川 裕之(筑波大学 医学医療系)
研究分担者(所属機関)
- 江馬 眞(独立行政法人 産業技術総合研究所 安全科学研究部門)
- 生水 真紀夫(千葉大学大学院 生殖医学)
- 北川 浩明(虎の門病院 産婦人科)
- 村島 温子(国立成育医療研究センター 母性医療診療部)
- 濱田 洋実(筑波大学医学医療系 産科婦人科学)
- 林 昌洋(虎の門病院 薬剤部)
- 佐藤 信範(千葉大学大学院薬学研究院 臨床教育学)
- 水上 尚典(北海道大学大学院医学研究科 産科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス総合研究
研究開始年度
平成23(2011)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
1,950,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
現在、医薬品の添付文書には妊娠・授乳期において、必須の薬剤が禁忌であったり、逆に真に禁忌のものが使われているものが少なくない。正しい使用方法に導くためのガイドラインを確立する。
研究方法
平成25年度中は評価委員会での修正、コンセンサス・ミーティングでの議論、機関誌公開後の意見聴取を経て産婦人科診療ガイドラインー産科編2014(平成26年4月発刊)を完成させた。平成24年度に確定した原案をもとにコンセンサスミーティングを重ね、完成させた。添付文書の改訂を急ぐものを100薬剤以上を取り上げた。ガイドラインが添付文書などの改訂に速やかに繋がると考えており、一般国民及び各科専門医に広く発信する。
結果と考察
平成25年度に完成させたガイドラインでは、次の4つのClinical Question (CQ)に対し、具体的薬剤名を挙げて説明した。
CQ-1. 医薬品の妊娠中投与による胎児への影響について質問されたら?
受精前、受精後2週間、妊娠4―7週末、妊娠8-11週末、妊娠12週以降に分けて記載。妊娠中期・後期に胎児毒性(一部形態異常伴う)として問題があるのは、アミノグルコシド系抗結核薬、ACE-I、ARB、テトラサイクリン系抗菌薬、ミソプロストール、NSAIDsなど。
CQ-2. 添付文書上いわゆる禁忌※の医薬品のうち、特定の状況下では妊娠中であっても投与が必須か、もしくは推奨される代表的医薬品は?
アザチオプリン、シクロスポリン、タクロリムス水和物などの免疫抑制剤が臓器移植後やステロイドで効果不十分な膠原病に使われる場合、ワルファリンが人工弁置換後やヘパリンで調節困難な例に使われる場合、イトラコナゾールが深在性または全身性真菌症に使われる場合、抗悪性腫瘍薬の一部などである。
CQ-3.添付文書上いわゆる禁忌※の医薬品のうち、妊娠初期に妊娠と知らずに服用・投与された場合(偶発的使用)でも、臨床的に有意な胎児リスク上昇はないと判断してよい医薬品は?
薬剤の投与後の判断に役立つガイドライン作成を行った。必要のない人工妊娠中絶や医療訴訟を防ぐ意味でもこの記載は重要である。CQ-2の薬剤に加えて、風疹ワクチンなどの特定の生ワクチン、低用量ピルなどの女性ホルモン、センナなどの緩下剤、経口血糖降下薬、ニコチン置換療法薬(禁煙補助薬)などがある。
CQ-4.添付文書上いわゆる有益性投与※※の医薬品のうち、妊娠中の投与に際して特に胎児・新生児に対して注意が必要な医薬品は?
有益性投与の医薬品の一部には催奇形性・胎児毒性に関して留意すべき医薬品がある。チアマゾール、パロキセチン、一部の抗てんかん薬、アテノロール、アミオダロン、ジソピラミドなど。
CQ-1. 医薬品の妊娠中投与による胎児への影響について質問されたら?
受精前、受精後2週間、妊娠4―7週末、妊娠8-11週末、妊娠12週以降に分けて記載。妊娠中期・後期に胎児毒性(一部形態異常伴う)として問題があるのは、アミノグルコシド系抗結核薬、ACE-I、ARB、テトラサイクリン系抗菌薬、ミソプロストール、NSAIDsなど。
CQ-2. 添付文書上いわゆる禁忌※の医薬品のうち、特定の状況下では妊娠中であっても投与が必須か、もしくは推奨される代表的医薬品は?
アザチオプリン、シクロスポリン、タクロリムス水和物などの免疫抑制剤が臓器移植後やステロイドで効果不十分な膠原病に使われる場合、ワルファリンが人工弁置換後やヘパリンで調節困難な例に使われる場合、イトラコナゾールが深在性または全身性真菌症に使われる場合、抗悪性腫瘍薬の一部などである。
CQ-3.添付文書上いわゆる禁忌※の医薬品のうち、妊娠初期に妊娠と知らずに服用・投与された場合(偶発的使用)でも、臨床的に有意な胎児リスク上昇はないと判断してよい医薬品は?
薬剤の投与後の判断に役立つガイドライン作成を行った。必要のない人工妊娠中絶や医療訴訟を防ぐ意味でもこの記載は重要である。CQ-2の薬剤に加えて、風疹ワクチンなどの特定の生ワクチン、低用量ピルなどの女性ホルモン、センナなどの緩下剤、経口血糖降下薬、ニコチン置換療法薬(禁煙補助薬)などがある。
CQ-4.添付文書上いわゆる有益性投与※※の医薬品のうち、妊娠中の投与に際して特に胎児・新生児に対して注意が必要な医薬品は?
有益性投与の医薬品の一部には催奇形性・胎児毒性に関して留意すべき医薬品がある。チアマゾール、パロキセチン、一部の抗てんかん薬、アテノロール、アミオダロン、ジソピラミドなど。
結論
CQ-1において、妊娠と薬の原則を説明した。CQ-2は使用上の注意の第一の問題点(医薬品投与が必須にもかかわらず、妊娠女性禁忌とされている薬剤の存在)を解決するものである。典型例は臓器移植後の妊娠女性への免役抑制剤の投与である。必須の薬剤を禁忌としている現状を是正し、そうした女性が安心して妊娠・出産できるようにすべきである。CQ-3は第二の問題点(妊娠と気づかずに禁忌薬が投与された場合への投与後の対応)を解決するものである。こうした医薬品のうち、少なくとも妊娠初期の催奇形性とは別の理由での禁忌やヒトでは催奇形性は否定的であるのに禁忌とされている医薬品について明確にすることがきわめて重要と考える。安易な妊娠中絶が激減することが期待できる。CQ-4は特に第三の問題点(有益性投与の薬剤にもリスクを説明すべき薬剤が存在すること)の解決を目指して作成した。
公開日・更新日
公開日
2015-04-28
更新日
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