障害者ケアマネジメントに関する研究

文献情報

文献番号
199800292A
報告書区分
総括
研究課題名
障害者ケアマネジメントに関する研究
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
白澤 政和(大阪市立大学)
研究分担者(所属機関)
  • 安西 信雄(都立松沢病院)
  • 加瀬 進(京都教育大学)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 障害保健福祉総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
-
研究費
15,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
この研究では身体障害、知的障害、精神障害の3障害に対するケアマネジメントのあり方を実証的に検討するために、3障害それぞれにつき必要性の高い研究課題を設定した。身体障害では4つの課題(①障害者のケアマネジメントに関しての概念整理、②ケアマネジメント知識による身体障害者ケアマネジャー指導者養成研修の評価、③ケアマネジメント実践機関における高齢者との相違点、④高次脳障害者のニードを解明)を設定した。知的障害では滋賀、埼玉、北九州の生活支援事業を対象にしケアマネジメントシステムの実践上の問題と克服の方向性の解明を目的にした。精神障害ではアセスメント項目の開発と標準化を行い、その妥当性を検証することを目的とした。
研究方法
身体障害では以下の4点である。①障害者ケアマネジメントに関する7つの概念の文献研究、②98年8月に行われた身体障害者ケアマネジャー指導者養成研修の参加者に対し初回と終了時調査の2回の調査による研修の効果測定、③大阪府内の在宅サービス供給ステーション6カ所のケアマネジャーへの訪問面接調査、④高次脳障害者を扱っている機関9カ所の専門職への訪問面接調査。知的障害では3地区(埼玉県久喜市、滋賀県甲賀郡、北九州)のケアマネジメント実践の分析を行った。精神障害ではケアマネジメントニードをもつ精神障害者(主に精神分裂症者)約100事例の分析を行った。
結果と考察
身体障害では概念でエンパワメント、アドボカシーが重視されており、研修効果はモニタリング、再アセスメント、エンパワメント、アドボカシーの項目で高かく、障害受容、介護者の位置づけ、セルフケアマネジメント援助の方向性で特徴がみられ、高次脳障害の社会資源の乏しさやアセスメントの情報の重要性が明らかになった。知的障害では社会資源の不足、施策の硬直化、介護者の問題、当事者のケアプラン学習機会の欠乏などの問題が明らかになった。精神障害ではアセスメント票の評価尺度の妥当性、ケアマネジメントのさいに包括的な心理社会的介入プログラムの重要性が明らかになった。
結論
身体障害者のケアマネジメントではエンパワメント、アオドボカシーの視点が重視されており、この視点を包括したケアマネジメント実践が重要なことが明らかになった。知的障害者では社会資源の再資源化、開発、ケアマネジメント機構の構築、当事者の参加の重要性が解明された。精神障害者ではケアアセスメント票の妥当性、ケアマネジメントでのレディネスの重要性が解明された。

公開日・更新日

公開日
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更新日
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研究報告書(紙媒体)