食品中の食中毒菌等の遺伝特性及び制御に関する研究

文献情報

文献番号
201327038A
報告書区分
総括
研究課題名
食品中の食中毒菌等の遺伝特性及び制御に関する研究
課題番号
H25-食品-一般-014
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
大西 貴弘(国立医薬品食品衛生研究所 衛生微生物部 第4室)
研究分担者(所属機関)
  • 泉谷 秀昌(国立感染症研究所 細菌第一部)
  • 小西 良子(麻布大学 生命・環境科学部)
  • 堀川 和美(福岡県保健環境研究所 病理細菌課)
  • 黒木 俊郎(神奈川県衛生研究所 企画情報部)
  • 斉藤 志保子(秋田県健康環境センター 保健衛生部)
  • 久米田 裕子(大阪府立公衆衛生研究所 細菌課)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
12,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
食中毒事例の早期原因食品究明のためには、1)平常時における各自治体が行う食品中の食中毒菌のサーベイランスを充実しその情報を効率的、有効的に活用すること、2)食品由来の食中毒菌の、患者由来株と共通する疫学解析マーカー等を確立し、タイピング手法に役立てること が必要である。さらに食中毒の制御の観点から、輸入品等の病原微生物検査(食品衛生法第6条)に適用されるサンプリングプランについて国際的慣行との調和を考える必要がある。本研究事業の目的は、各自治体が行う食品中の食中毒菌のサーベイランスに活用できる主要な病原体の疫学解析マーカーおよび迅速なタイピング手法の開発および輸入品等の病原微生物検査に適したサンプリングプランを検討することである。
研究方法
サルモネラ属菌に関しては鉄獲得因子の合成経路にかかわるirp2遺伝子の分布に差が見られることが我々の研究から示唆されている。irp2遺伝子の分布をサルモネラ属菌のタイピングに応用できるか、基礎的な検討を行った。黄色ブドウ球菌に関しては新型毒素遺伝子の保有状況を検討した。カンピロバクターに関してはCGF法によりタイピングを行うことができるか検討した。ウエルシュ菌の高感度の分離方法について情報収集をおこなった。
食品衛生法第6条に係る病原性微生物のモニタリングおよび検査に使用するサンプリングプランを対象に検討モデルの作成及び情報収集を行った。
結果と考察
サルモネラ病原因子パネルの作成において、血清型Infantis内におけるirp2遺伝子の分布差異が見出された。サルモネラ属菌のirp2遺伝子が約280kbのプラスミド状に存在することが示唆された。
鶏肉由来黄色ブドウ球菌107株について新型エンテロトキシン遺伝子を検索したところ70%がseh あるいはseg&sei保有株であった。94株についてPOT型別を実施したところ18種に型別された。MLVA法による型別は今後実施する予定である。
Campylobacter jejuni標準株(ATCC 33560)および鶏肉由来株13株を、Clarkら(2012)の方法(CGF法)に従って型別を行った。CGF法により14株は12タイプに分けられた。
ウエルシュ菌の高感度分離法を確立するために文献などから情報収集を行った。その結果、パーコール濃縮法、フィルター濾過法、コロニーハイブリダイゼーション法が分離・検出感度に優れた方法であることを見出した。
また、蛍光ラテックスビーズを病原菌のモデルとして用いる方法をサンプリングプランのばらつきを検証するモデリング実験になることを見いだした。
結論
今年度は自治体で行うことのできる食品中の食中毒菌サーベイランスに活用できるタイピング手法確立のための情報収集、基本的実験条件の検討を行った。来年度は今年度の研究成果をさらに発展させ、タイピング手法を確立させていきたい。
食中毒微生物検査のサンプリングプランに関しては、本年度は蛍光ラテックスビーズを用いたモデルの作成を行った。来年度以降はこのモデルを用い、わが国の実情に即したサンプリングプランの検討を行っていきたい。

公開日・更新日

公開日
2015-05-20
更新日
-

研究報告書(PDF)

収支報告書

文献番号
201327038Z