食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究

文献情報

文献番号
201327031A
報告書区分
総括
研究課題名
食品を介したダイオキシン類等有害物質摂取量の評価とその手法開発に関する研究
課題番号
H25-食品-一般-007
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
渡邉 敬浩(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
研究分担者(所属機関)
  • 堤 智昭(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 片岡 洋平(国立医薬品食品衛生研究所 食品部)
  • 天倉 吉章(松山大学薬学部)
  • 畝山 智香子(国立医薬品食品衛生研究所 安全情報部)
  • 松田 りえ子(国立医薬品食品衛生研究所 食品衛生管理部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
59,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
有害物質の摂取量推定値は、ヒトの健康危害リスク管理のための基礎データであり、高い信頼性と精密さが要求される。リスク管理の施策策定には、懸念される有害物質の摂取量推定値が適時に必要となる。同時に、リスクへの寄与が大きい有害物質の摂取量推定値を継続的に監視し、施策効果を検証する必要がある。本研究では、様々な有害物質の信頼できる摂取量を適時にまた必要に応じて継続的に推定する事を目的に、有害物質の摂取量推定、摂取量の信頼性向上と精密化、摂取量を推定すべき新規有害物質の選定の3つに大別できる研究を実施した。
研究方法
有害物質の摂取量推定では、全国7~10地域でマーケットバスケット方式によるトータルダイエット(TD)試料を調製し、その分析を通じて、有害なカドミウム、ヒ素、鉛、水銀を含む15元素、メチル水銀、PCBs類、ダイオキシン類の摂取量を推定した。また、魚中の難燃剤(HBCD及びDP)、燻製加工食品中の多環芳香族炭化水素類(PAHs)の濃度実態を調査した。摂取量の信頼性向上と精密化では、TD試料を模した性能評価用試料(SEMP)を開発し、多元素一斉分析法の性能を評価した。また年齢別食品摂取量を考慮したTD試料を調製した。さらに、摂取量推定を目的としたメチル水銀分析法及び、形態別ヒ素測定系を開発した。摂取量を推定すべき新規有害物質の選定では、アリル炭化水素レセプター(AhR)との結合活性を指標に新規有害物質を探索するとともに、MOEを指標とした化合物リストを作成した。
結果と考察
元素類の全国平均摂取量はB:1523.8 μg/man/day、Al:4687 μg/man/day、Ni:156.8 μg/man/day、Se:90.2 μg/man/day、Cd:17.6 μg/man/day、Sb: 2.2 μg/man/day、Ba:468.4 μg/man/day、Pb:10.4 μg/man/day、U: 1.0 μg/man/day、As:213.9 μg/man/day、Sn:228.9 μg/man/day、Cr:30.2 μg/man/day、Co:9.0 μg/man/day、Mo:225.3 μg/man/dayと推定された。またメチル水銀とPCBsの全国平均摂取量は、それぞれ6.7μg/man/day、436 ng/man/dayと推定された。ニッケルの78.4%を筆頭に、メチル水銀が50%以上、その他多くの有害物質摂取量の耐用摂取量への占有率(対TDI比)は10%を超えており、継続した摂取量推定が必要と考えられた。ダイオキシン類の全国平均摂取量は0.58(範囲:0.18~0.97)pg TEQ/kg bw/dayと推定され、対TDI比は24%程度であった。近年、ダイオキシン類摂取量は低減率が鈍くなってきており、継続した監視が必要と考えられた。SEMPを用い、多元素一斉分析法の性能を評価した結果、真度は90~110%、併行精度は15%未満と推定された。SEMPを用いた性能評価を他の分析法でも実施することが、今後の摂取量推定値の信頼性確保に有用と考える。また、食品摂取データの詳細な解析結果に基づき、幼児用TD試料を調製した。このようなTD試料の分析を通じて、リスク集団に対応した精密摂取量の推定が可能になると考える。メチル水銀分析法を開発し、摂取量推定に適用した。8種のヒ素化合物の形態別測定系を開発した。今後、試料からの抽出条件を決定し、摂取量推定に適用する。PAHs及びその誘導体、残留農薬、アミノ酸及びその代謝物とAhRの結合活性を評価した結果、PAHsの多くは、顕著なAhR活性を濃度依存的に示すことが明らかとなった。今後、AhRと化合物との結合における構造活性相関がより明確になることで、新規有害化学物質の発見が期待される。MOEを指標に化合物リストを作成し、アクリルアミド、テトラクロロエタン、エタノール、フラン等の摂取量推定の優先度が高いことを示した。
結論
カドミウム、ヒ素、鉛、水銀を含む15元素、メチル水銀、PCBs類、ダイオキシン類の摂取量が推定され、耐用摂取量との比較から、何れの有害物質も継続した摂取量推定が必要と考えられた。魚にはHBCDとDPが、燻製食品にはPAHsが高頻度に含有されていることが明らかとなった。摂取量推定値の信頼性確保に必須の分析法性能評価用試料が開発された。年齢を考慮したTD試料が調製された。摂取量推定を目的としたメチル水銀分析法が開発された。また、無機ヒ素摂取量の推定に不可欠なヒ素形態別分析法の開発が進展した。AhRと有害物質の結合に構造活性相関があることが示唆された。MOEを指標とする化合物リストが作成された。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

総括研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
分担研究報告書
研究成果の刊行に関する一覧表

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201327031Z
報告年月日

収入

(1)補助金交付額
59,000,000円
(2)補助金確定額
59,000,000円
差引額 [(1)-(2)]
0円

支出

研究費 (内訳) 直接研究費 物品費 28,993,422円
人件費・謝金 3,030,288円
旅費 1,171,868円
その他 25,807,668円
間接経費 0円
合計 59,003,246円

備考

備考
預金利息3222円、自己資金24円

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-