畜水産食品中に含まれる動物用医薬品等の安全性確保に関する研究

文献情報

文献番号
201327029A
報告書区分
総括
研究課題名
畜水産食品中に含まれる動物用医薬品等の安全性確保に関する研究
課題番号
H25-食品-一般-005
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
渋谷 淳(国立大学法人 東京農工大学大学院)
研究分担者(所属機関)
  • 梅村 隆志(国立医薬品食品衛生研究所 病理部)
  • 鈴木 和彦(国立大学法人 東京農工大学大学院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成27(2015)年度
研究費
6,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
動物薬の発がん性に関して、発がん性全般に対応可能な短期予測指標の確立、ニトロフラン類の遺伝毒性発がん機序の解明、新たな非遺伝毒性発がん機序の解明を目指す。
研究方法
25年度は、発がん初期過程の細胞周期解析では、ラットの肝発がん物質と非発がん肝毒性物質の投与初期や肝部分切除後の細胞増殖亢進時に生じる細胞周期関連分子発現の変動を経時的に比較・検討した。次いで、肝発がん性等が指摘されている動物薬の28日間投与による反応性を検討した。ニトロフラン類の遺伝毒性評価ではNrf2欠損gpt deltaマウス等を作製し、ニトロフラントイン(NFT)の腎遺伝毒性に対する酸化性ストレスの関与を予備的に検討した。新たな非遺伝毒性発がん機序の解明研究では、非ミクロソームROS産生源であるNOXに着目して、非遺伝毒性肝発がん物質のピペロニルブトキサイド (PBO)のラット肝発がん促進時でのNOX阻害剤のアポシアニン(APO)と抗酸化剤のN-アセチルシステイン (NAC)の併用効果を検討した。
結果と考察
細胞周期変化の破綻過程の解析の結果、発がん性を問わず投与開始後3日目では肝細胞毒性に対する反応性増殖が生じ、7日目でのG1/S期チェックポイント機能による細胞周期停止と細胞死の誘発を経て、28日目には非発がん物質では全ての異常が終息するか、少なくともチェックポイント機構は破綻しないことが示された。一方、発がん物質ではG1/S期やM期チェックポイントの破綻を伴って細胞増殖が持続して発がんに至る可能性が示唆された。肝発がん性に関して動物用医薬品は28日間投与で反応を示すものがなく、最大耐量や長期投与での解析の必要性が示された。ニトロフラン類の解析では、Nrf2欠損gpt deltaマウスへのNFTの投与によりgpt変異体頻度はホモ欠損により上昇し、NFTの遺伝毒性に対するNrf2の防御機能が判明した。肝発がん促進シグナルの解析では、PBOによる発がん促進作用に対してAPOとNACは抑制をせず、NOXの関与の可能性は低いと判断された。
結論
発がん物質により誘導される細胞増殖活性の亢進や細胞周期変化の獲得過程が明らかとなった。NFTの遺伝毒性発現機序に酸化ストレスの関与が示唆された。非遺伝毒性機序による発がん促進による過程にはNOXの関与は低いと推察された。

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2015-06-26
更新日
-

収支報告書

文献番号
201327029Z