文献情報
文献番号
201327017A
報告書区分
総括
研究課題名
いわゆる健康食品による健康被害情報の因果関係解析法と報告手法に関する調査研究
課題番号
H24-食品-一般-006
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
梅垣 敬三(独立行政法人国立健康・栄養研究所 情報センター)
研究分担者(所属機関)
- 山田 浩(静岡県立大学 薬学部)
- 石見 佳子(独立行政法人国立健康・栄養研究所 食品保健機能研究部 )
- 志村 二三夫(十文字学園女子大学)
- 千葉 剛(独立行政法人国立健康・栄養研究所 情報センター )
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 食品の安全確保推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成26(2014)年度
研究費
12,200,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
いわゆる健康食品(以下、健康食品)による健康被害の未然防止・拡大防止を目的に、健康被害情報の効果的な収集法、因果関係の分析法の開発、健康食品特有の健康被害に関する安全性の基礎実験ならびに調査研究を行う。
研究方法
健康食品による健康被害の因果関係評価法としてポイント付評価法と樹枝状評価法を開発し、本年はその信頼性について、また、保健所・消費者センター・企業の関係者にその実用性に関するアンケート調査を行った。健康食品素材の安全性の検討として、バターバーの薬物代謝酵素に対する影響、酵母中のセレンの分析法に関する検討を行った。病者による特定保健用食品(特保)の利用、及び妊婦による葉酸サプリメント摂取に対する認識と行動について実態調査をした。
結果と考察
医薬品の有害事象評価で使用される評価票及び樹枝状アルゴリズムに改変を加え、異なる職種による評価から、因果関係評価法が事例のスクリーニング法として実用的であることを明らかにした。また、因果関係評価票及びその適用を考慮した情報の聞き取り票を作成し、被害情報を収集している保健所・消費者センター・企業の担当者に対して、その利用に関するアンケート調査を行い、聞き取り票と因果関係評価票が消費者対応に役立ち、健康被害情報の取り扱いと報告がしやすくなるという結果を得た。実施に関する問題点の有無については、次年度の検討課題である。人気の高い健康食品素材で肝障害への注意喚起がなされているバターバーは、過剰摂取によって肝臓薬物代謝酵素の誘導を介した医薬品との相互作用を起こす可能性をラットで示した。また、天然で安全とイメージされているセレン酵母について、その製品中の存在形態に関する調査・研究を行った。病者による特保の利用実態調査では、特保が「病気の治療」目的に利用されていること、利用によって体調不良を感じた者も認められること、通院中および入院中の利用者の約9割が特保の利用を主治医に伝えず、服用医薬品と同様の保健機能を謳った製品を利用していることを明らかにした。妊婦の葉酸サプリメントの利用実態調査では、葉酸の必要性は認知されているが、推奨摂取量や推奨時期が正しく理解されていないこと、また、葉酸以外のサプリメントの常用率が妊娠前よりも増加していることを明らかにした。
結論
健康食品と健康被害の因果関係を評価する樹枝状評価法は、多様な健康食品関連の有害事象のスクリーニングに役立つ実用性の高い方法と考えられる。実際の利用における問題点については3年度目の検討課題である。ハーブやミネラルに関する安全性の実験的検討、また病者による特保の利用と妊婦による葉酸サプリメントの利用についての実態調査結果は、健康食品による有害事象の収集や分析の参考資料となる。以上の研究をさらに進めることにより、健康食品が関係した健康被害の未然防止・拡大防止が可能となる。
公開日・更新日
公開日
2015-05-20
更新日
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