被災地の再生を考慮した在宅医療の構築に関する研究

文献情報

文献番号
201325069A
報告書区分
総括
研究課題名
被災地の再生を考慮した在宅医療の構築に関する研究
課題番号
H25-医療-指定(復興)-003
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
大島 伸一(独立行政法人国立長寿医療研究センター )
研究分担者(所属機関)
  • 鳥羽 研二(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 鈴木 隆雄(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 楽木 宏実(大阪大学大学院医学系研究科)
  • 荒井 秀典(京都大学大学院医学研究科)
  • 横手 幸太郎(千葉大学大学院医学研究院)
  • 葛谷 雅文(名古屋大学大学院医学系研究科)
  • 秋下 雅弘(東京大学医学部附属病院)
  • 神崎 恒一(杏林大学医学部)
  • 堀江 重郎(順天堂大学医学部)
  • 橋本 正良(神戸大学大学院医学研究科)
  • 服部 文子(広島大学大学院)
  • 園原 和樹(桔梗在宅往診クリニック)
  • 杉浦 彩子(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 福岡 秀記(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 金子 康彦(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 三浦 久幸(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 冲永 壯治(東北大学病院)
  • 菊地 和則(東京都健康長寿医療センター)
  • 三澤 仁平(立教大学)
  • 大川 弥生(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 近藤 尚己(東京大学大学院医学系研究科)
  • 山崎 幸子(文京学院大学)
  • 大石 善也(東京都健康長寿医療センター)
  • 粟田 主一(東京都健康長寿医療センター)
  • 寺田 尚弘(釜石ファミリークリニック)
  • 川島 孝一郎(仙台往診クリニック)
  • 武藤 真祐(医療法人社団鉄祐会祐ホームクリニック)
  • 洪 英在(ホン ヨンヂェ)(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 大島 浩子(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 太田 秀樹(医療法人アスムス)
  • 和田 忠志(医療法人社団実幸会いらはら診療所)
  • 黒岩 卓夫(医療法人社団萌気会)
  • 片山 壽(片山医院)
  • 辻 哲夫(東京大学高齢社会総合研究機構)
  • 遠藤 英俊(独立行政法人国立長寿医療研究センター)
  • 百瀬 由美子(愛知県立大学看護学部)
  • 大河内 二郎(介護老人保健施設竜間之郷)
  • 飯島 勝矢(東京大学高齢社会総合研究機構)
  • 三上 裕司(日本医師会)
  • 高杉 敬久(日本医師会)
  • 武久 洋三(日本慢性期医療協会)
  • 川越 正平(医療法人財団千葉健愛会あおぞら診療所)
  • 後藤 百万(名古屋大学大学院医学系研究科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
95,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
被災地全体の在宅医療・ケアのニーズを探り、災害医療と在宅医療の関連構築に資する情報を収集し、提言するため、在宅医療の阻害要因を包括的に抽出し、被災地の課題と合わせ、解決への論点整理を行い、系統的知識、実技、連携など統合的在宅医療推進のノウハウの集大成を行う。
研究方法
被災地の地域の地域在宅医療の改題と、在宅医療そのものの課題を多面的に検討
1)在宅医療はQOLを改善するかという命題に対して、文献のシステマティックレビュー、在宅QOL指標の開発を行う
2)各地域、各老年症候群ごとに在宅阻害要因を検討する
3)在宅医療システムの課題を内外において比較検討する
4)被災地全体の在宅医療・ケアのニーズを探る
5)被災地からの要望に基づき,調査およびデータ分析による支援を行う
6)「在宅療養支援MAP」と「災害時医療介護MAP」を作成し使用法を検討する
結果と考察
被災地全体の在宅医療・ケアのニーズでは、医療機関との連携が取れている事業所の方が、連携が取れていない事業所より、要介護高齢者等の病状悪化・機能低下時にも在宅生活の継続が出来ていることが明らかとなった。また、地域包括支援センターとの連携が取れている居宅介護支援事業所は、連携が取れていない事業所より、要介護高齢者等の病状悪化・機能低下時に在宅生活の継続が出来ていることが明らかとなった。 被災地では、交通など生活に関する建造環境というハード面と社会的支援や社会的役割の欠如、地域のソーシャル・キャピタルといったソフト面の役割が浮きぼりになった。 今後起こりうる大規模複合災害における在宅医療・介護のあり方等について、これまで示されてきた災害医療の基本理念を補完する分類(被災地域分類:一次被災地域、二次被災地域、安全地域)を提案し、その分類に沿って「在宅療養支援MAP」と「災害時医療介護MAP」の使用法を検討した。これらの結果を総合すると、被災地における在宅療養継続のためには、見守りや虚弱高齢者の早期発見、閉じこもりに対するソーシャルネットワークの構築等、フォーマル、インフォーマルサポートによる地域包括ケアの充実が必要であると考えられた。
 一方、在宅医療そのものの課題では、システムとして、地域医療や高齢者医療において、客観的研究業績のある研究者によって、現在の「在宅医療における課題」をあまねく定量的に抽出し、地域医療計画上の課題、大学の果たす役割、病診連携の課題、阻害要因の検討、特に認知症、地域包括の課題、在宅リハビリテーションの伸び悩みなどが抽出された。 
 在宅阻害要因として、認知症、低栄養、褥瘡、排泄障害、感覚器障害など、多くの要因が抽出され、システマティックレビューにて553文献が抽出され、これらのフィールド調査との整合性を検討可能となった。
結論
在宅医療のQOLは、高齢者総合的機能評価に加え、阻害要因である老年症候群のケアの程度や、地域包括ケアを規定する、病診連携、医療福祉連携、多職種意識の統合と恊働など多くの要因が関与している。これらの結果より、日常の地域包括ケアの構築が、震災時の対応に最も有力であることが示された。 

公開日・更新日

公開日
2014-07-17
更新日
2016-05-26

研究報告書(PDF)

研究報告書(紙媒体)

公開日・更新日

公開日
2015-03-02
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201325069C

収支報告書

文献番号
201325069Z