被災地における心不全患者の在宅療法に関する研究

文献情報

文献番号
201325067A
報告書区分
総括
研究課題名
被災地における心不全患者の在宅療法に関する研究
課題番号
H25-医療-指定(復興)-001
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
橋本 信夫(独立行政法人国立循環器病研究センター )
研究分担者(所属機関)
  • 小川 久雄(国立循環器病研究センター・熊本大学大学院生命科学研究部循環器病態学)
  • 下川 宏明(東北大学大学院医学系研究科・循環器内科学)
  • 坂田 泰彦(東北大学大学院医学系研究科・循環器EBM開発学寄付講座)
  • 岡山 明(公益財団法人結核予防会第一健康相談所)
  • 河野 雄平(国立循環器病研究センター・高血圧、腎臓病部門)
  • 中谷 武嗣(国立循環器研究センター・移植部・臨床栄養部)
  • 宮本 恵宏(国立循環器病研究センター予防健診部)
  • 西村 邦宏(国立循環器病研究センター研究開発基盤センター予防医学疫学情報部)
  • 安斉 俊久(国立循環器病研究センター心臓血管内科部門)
  • 中村 元行(岩手医科大学医学部内科学講座心血管・腎・内分泌内科分野)
  • 桑原 健(国立循環器病研究センター薬剤部)
  • 宍戸  稔聡(国立循環器病研究センター)
  • 河原田修身(国立循環器病研究センター・心臓血管内科部門)
  • 石原 正治(国立循環器病研究センター・心臓血管内科部門)
  • 大原 貴裕(国立循環器病研究センター心臓血管内科部門)
  • 竹上 未紗(国立循環器病研究センター 予防医学・疫学情報部)
  • 竹石 恭知(福島県立医科大学医学部循環器・血液内科学講座)
  • 横山 広行(国立循環器病研究センター)
  • 安田  聡(国立循環器病研究センター心臓血管内科)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成25(2013)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
135,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究では、高齢者において「罹患率が高く」かつ「致命的」な疾患である心不全患者に着目し、同疾患をモデルとして在宅医療を推進し、早期回復と患者の負担軽減が図られる方策を提言することを目的とする。
研究方法
東北大学を中心に東北地区24基幹病院(東北心不全協議会)による慢性心不全前向きコホート:CHART-2研究(NCT00418041)を活用するとともに、既存の循環器コホート研究とのモデル解析比較を行う。『Web上での循環器病管理システム・生活習慣病管理システム(仮称)』を開発し、オンラインアクセスにて、国立循環器病研究センターに設置したWebサーバからセキュアな接続方式により、臨床研究用サーバに送信され、データベースへの情報蓄積が実行可能であることを検証する。在宅心不全患者およびそのハイリスク群に対して長期の保健指導を実施した場合、入院率、死亡率に加え生活習慣・検査成績が改善するか否か、また医療費がどのように変化するかを明らかにすることを目的とした介入試験を行う。
結果と考察
全国1298施設を対象にした循環器疾患診療実態調査では、急性心筋梗塞患者数69,219名/年、心不全入院患者数212,739名/年に及ぶことが明らかになった。平成25年度 東北地方の慢性心不全症例を対象に介護・在宅治療実態調査アンケート(有効回答数5,187)を行った。毎日体重測定や水分制限、塩分制限、定期的な運動を心がけている症例はむしろ少なく)、むくみや息切れ、疲れなどの症状が増悪しても必ずしも医師や看護師に相談しない実態が明らかとなった。仮設住宅を含む被災地において活用できる心不全患者のWeb管理システム『循環器病管理システム・生活習慣病管理システム』のプロトタイプモデルを開発した。臨床におけるシステム検証は①模擬患者データによる検証、②国立循環器病研究センターを受診した患者自身による検証、③被災地における患者データを利用した検証の三段階で進める計画とし、25年度は開発したアプリの国循内へのシステム移行、システムが有する機能の改善を行った。あわせて、ネットワークセキュリティを担保するネットワーク階層化のレベルを調査し、セキュリティが確保されたネットワーク基盤に従い、Webサーバおよび臨床研究用サーバを構築した。
結論
「被災地(=極端な少子高齢化=我が国の近未来像)」で、種々の心血管疾患の終末像「心不全管理」を、効率的な医療提供体制の維持のために今後ますますその必要性が高まる「在宅医療」で行うことは、保健・医療、介護・福祉・生活支援サービスが一体的に提供される将来ビジョン策定に役立つことが期待される。すなわち今回の被災地における取組を将来の少子高齢化社会のモデルとして位置づけ、被災地以外においても、『地域包括ケアモデル』へと転換を図るための将来的事業としての役割を果たすものと思われる。

公開日・更新日

公開日
2014-07-16
更新日
2017-05-26

研究報告書(PDF)

公開日・更新日

公開日
2014-07-16
更新日
2017-05-26

行政効果報告

文献番号
201325067C

収支報告書

文献番号
201325067Z