被災地における地域医療情報連携体制のあり方に関する研究

文献情報

文献番号
201325052A
報告書区分
総括
研究課題名
被災地における地域医療情報連携体制のあり方に関する研究
課題番号
H24-医療-指定-050
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
田中 博(東京医科歯科大学 難治疾患研究所 生命情報学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
6,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
被災地の医療を復興するために構築すべき地域医療情報連携体制(地域医療情報ネットワーク)はどうあるべきか。本研究では、「災害に強い地域医療情報システム」について、その必要な条件やあるべき形態を現実の東日本大震災被災地で進行する「地域医療の情報連携基盤」構築事業への指導・支援を行い、各種指標による評価を通して、その規範となるあり方を究明する。
研究方法
厚生労働省の3次補正で地域医療再生基金に盛り込まれた「医療機関相互の情報連携基盤構築」事業として実施する被災地宮城県の各医療圏の情報連携基盤の構築に関して、基本方針を議論し、これと連携して実施する総務省の復興医療IT事業とも合わせて、その進行状況を評価し、あるべき被災地復興医療情報連携体制を追求し、開発過程を指導する。
また、構築システムの客観的アウトカム評価項目を作成するとともに、地域医療関係者への実感アンケート調査を行い、あるべき被災地復興地域医療システムに対する規範を提示する。
結果と考察
前年度(平成24年度)は、厚生労働省の「情報連携基盤構築」事業として(総務省の「東北地域医療情報連携基盤構築」事業と連携して)構築する石巻・気仙沼医療圏の情報連携基盤システムについて、基本方針の検討、進捗状況評価を行った。また、システム構築前の地域医療関係者の実感アンケート調査を実施し、システム構築後の客観的アウトカム評価項目の基礎資料とした。
平成25年度は、石巻・気仙沼地区で、構築システムの本稼働を実現するとともに、仙台地区を始めとする宮城全県へシステム拡大を進めた。また、石巻・気仙沼地区で、システム導入後の実感アンケート調査を実施し、システムの有効性評価を行った。さらに、この経験に基づいて地域医療情報連携を評価するための客観指標や標準経済コストに関する項目を策定した。
結論
石巻・気仙沼・仙台圏域で、「災害に対する強靭性」を兼ね備えたシステムを実現することができた。システムの利用促進については、積極的な普及・啓蒙活動により利用施設が着実に増加している。今後は、石巻・気仙沼・仙台圏域の利用促進をはかるとともに、平成26年度末までに宮城県の全圏域へシステム整備を拡張し、その後は「みやぎモデル」として全国展開を目指す計画である。
さらに石巻・気仙沼で稼働した「圏域階層的な医療ケア情報連携体制」を普遍化して、地域医療福祉情報連携システムに関する客観評価指標の構築、さらには標準経済コストの策定を行った。
本年度は2年間の研究期間の最後の研究期間であるが、平成25年7月に構築が完了した宮城県の石巻・気仙沼医療圏は、順調に稼働を開始してシステムを拡張しつつあり、事後の評価も高く、本研究で提案した、「圏域階層的な地域医療ケア情報連携体制」は、災害に強靭な医療体制として有効であると同時に、昨年に政府が公表した「世界最先端 IT 国家創造宣言」に提示されているように、今後2018年を目処に地域医療情報ネットワークの全国普及を目指して、地域医療連携の範型すなわち「地域医療連携のあるべき達成目標モデル」となるものとして提案する。

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-

研究報告書(PDF)

文献情報

文献番号
201325052B
報告書区分
総合
研究課題名
被災地における地域医療情報連携体制のあり方に関する研究
課題番号
H24-医療-指定-050
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
田中 博(東京医科歯科大学 難治疾患研究所 生命情報学)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究事業の目的は、東日本大震災によって甚大な被害を受けた東北3県を中心とする被災地での、医療体制復興における「医療情報連携」の「最も適切なあり方」を究明し、被災地における構築すべき医療情報システムについて、その実現を支援しその進捗過程を評価することにある。さらに、その経験をもとに今後全国へ普及すべき地域医療福祉情報システムの「あるべき姿」やその客観的評価指標や標準経済コストを策定することも目的としている。
研究方法
本研究における達成すべき課題としては2つある。すなわち、①第1は、被災地の医療復興のための「情報連携基盤」構築事業の評価と助言的支援である。具体的には、厚生労働省の3次補正で地域医療再生基金に盛り込まれた「医療機関相互の情報連携基盤」事業を始めとし、諸省庁の被災地における情報連携基盤事業を連携させ「横櫛を通し」、客観的な評価のもとにその有効な執行に寄与する。
②第2は、このような被災地の医療情報体制の構築を通して「災害に強い地域医療情報連携」の標準モデルを提示、波及させる役割である。
昨年に政府が公表した「世界最先端 IT 国家創造宣言」に提示されているように、今後2018年を目処に、地域医療情報ネットワークの全国普及が目指される。このような全国普及すべき地域医療連携の範型(達成目標モデル)となるものはどのようなものでなければならないか、その客観的指標を策定すること、そして現在ではどれほどの経済コストがかかるものであるかを評価することである。これらを被災地での地域医療情報システムの構築の経験を普遍化して提言する役割も本研究班での課題である。
結果と考察
平成24年度は「みやぎ医療福祉情報ネットワーク協議会MMWIN(Miyagi Medical and Welfare Information Network)」と本厚生労働科研班で討議を重ねて到達した「圏域階層的な地域医療ケアIT体制(TRHIO(トリオ):Three-layered Total Regional Healthcare Information Organization)」、すなわち、(1)全県域的医療情報連携、(2)2次医療圏でのSS-MIX2による診療情報の地域医療連携(共有)、(3)診療所(とくに沿岸部)の電子カルテのASP/SaaS化、(4) 日常生活圏域包括ケアITの基本理念よりなる「災害に強靭な地域医療情報システム」を、石巻・気仙沼各2次医療圏で、システム開発を協議会と協働して進め、平成25年10月に構築を完了し稼働させた。
さらに、平成25年度は、この「圏域階層的な地域医療ケアIT体制(TRHIO)」の妥当性を検討して稼動地域の医療関係者の実感調査を行い、また仙台地区を始めとする宮城全県へTRHIOの拡大を進めた。また、この経験に基づいて地域医療情報連携を評価するための客観指標や標準経済コストに関する項目を策定した。
結論
石巻・気仙沼・仙台圏域で、「災害に対する強靭性」を兼ね備えたシステムを実現することができた。
システムの利用促進については、積極的な普及・啓蒙活動により利用施設が着実に増加している。
利用促進に取り組み上で、重要なファクターとなるのが、地域医療情報連携に対する住民および医療介護関係者の認知度、リテラシー向上である。よって、継続的に啓蒙活動を実施することと、PDCAサイクルにより実施内容の改善を行い、より効率的かつ効果的な取り組みを実施していく。また、石巻・気仙沼・仙台圏域の利用促進をはかるとともに、平成26年度末までに宮城県の全圏域へシステム整備を拡張し、その後は「みやぎモデル」として全国展開を目指す計画である。
本研究で提案した「圏域階層的な地域医療ケア情報連携体制」は、災害に強靭な医療体制として有効であると同時に、昨年政府が公表した「世界最先端IT国家創造宣言」に提示されているように、今後2018年をも度に地域医療情報ネットワークの全国普及を目指して、地域医療連携の範型すなわち「地域医療連携のあるべき達成目標モデル」となるものとして提案する。

公開日・更新日

公開日
2015-06-09
更新日
-

行政効果報告

文献番号
201325052C

収支報告書

文献番号
201325052Z