文献情報
文献番号
201325030A
報告書区分
総括
研究課題名
薬剤アレルギー情報の医療標準化への取り組み
研究課題名(英字)
-
課題番号
H24-医療-一般-031
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
中山 雅晴(東北大学 病院)
研究分担者(所属機関)
- 井上 隆輔(東北大学 病院)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
2,565,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療IT化を目指すグランドデザインで「目指すべき将来の姿」には「利用者に関わる情報(持病、アレルギー、急変時の対応等)が円滑・安全に伝達され、利用者の安全確保に役立てることができる」という記述がある。アレルギー情報が医療安全上とても重要で軽視できないことは医療関係者ならずとも認識されているところであるが、その取り扱い方、収集の仕方、共有方法は個々の医療機関さらには個々の医療従事者に任されている実状がある。そこで本研究では、アレルギー情報を標準化するために必要な現状と問題点の把握を行い、将来的に電子化情報として有効活用されるために必要な仕様を提供することを目的とする。
研究方法
昨年行った全国600床以上の病院におけるアレルギー表示の取り扱いに関してアンケート結果をもとに、研究代表者の属する東北大学病院において、異なる多職種メンバーによる議論を行い、問題点を整理した。実際に病院情報システムへの改善へと導いた。また、国内外の状況について調査した。
(倫理面への配慮)
患者や事象に関する情報が特定できないように、また本研究で取り扱われた内容により患者やその家族、医療従事者、医療機関に被害が及ばないよう厳重に対処する。
(倫理面への配慮)
患者や事象に関する情報が特定できないように、また本研究で取り扱われた内容により患者やその家族、医療従事者、医療機関に被害が及ばないよう厳重に対処する。
結果と考察
1. 電子情報としてのアレルギー
医療情報交換標準規格であるHL7には患者基本情報(ADT)配下のAL1というセグメントが準備されていて、薬剤名、コード(アレルギーの概念)、重症度(3段階)、症状(反応)、日時が記録される受け皿がある。本邦では標準保存形式であるSS-MIX2においてもアレルギー情報の格納場所が規定されており、データ種別ADT-61(メッセージはADT^60で定義)に格納する。
2.国内外での例
アレルギー情報は上記標準規格に則っている場合でも薬剤、重症度、症状、日時までの情報のみであり、薬剤のコード化や警告や投与制限などとは紐づいていない。各施設のシステムでピックアップした薬剤のチェックボックスを用いてアラートをかける機能までが限界である。ましてや情報共有のためのフォーマットは存在しないため、積極的な情報活用に至っていない。カードを用いたり、紹介状に書いて情報提供をしたりするなどして情報共有に努めているが、基本的には度重なる患者への問診が中心となる。
3.本院の取り組みと提案
① アレルギーと薬剤副作用につき、情報を細部まで記す。
② 電子情報として、薬剤名、症状、重症度、症状発現日時、記録者、記録日時までは可能なので、今後確証度やアラートレベルの設定が含まれることを望む。また、それらの情報を活用するために、これらを共有する仕組み、アラートレベルを設定に合わせられる機能が電子カルテや地域医療連携システムに搭載されることが望まれる。
③ アレルギー・副作用情報の重症度や症状のコード化の整備が望まれる。また、禁忌の種類や取り扱いに関しても今後議論によりその定義がより明確になることが望まれる。
④ アレルギー・副作用の情報は電子カルテにおける患者プロファイルの整備の議論に必要。同様に、プロファイル全体の情報の整備、またその視認性などの議論が必要と思われる。
⑤ 災害や救急現場において、電子カルテから独立した情報を取得し有効に活用するため、ミニマムデータの確立が望まれ、その中にアレルギー・副作用情報が内容の整備されたかたちで含まれることが必要である。
考察:昨年度のアンケートから得られた課題に関して検討し、実際にプログラム改修という形でアレルギーの情報の取り扱い方についての対応を検討した。今後は、電子カルテが発展している現状を踏まえ、より機能強化を行うことで誤投与を予防することが必要である。また、今回新たに検討した項目は電子情報として現在標準化されている範囲を超えるので、今後の議論が国内外で深まることを期待する。
医療情報交換標準規格であるHL7には患者基本情報(ADT)配下のAL1というセグメントが準備されていて、薬剤名、コード(アレルギーの概念)、重症度(3段階)、症状(反応)、日時が記録される受け皿がある。本邦では標準保存形式であるSS-MIX2においてもアレルギー情報の格納場所が規定されており、データ種別ADT-61(メッセージはADT^60で定義)に格納する。
2.国内外での例
アレルギー情報は上記標準規格に則っている場合でも薬剤、重症度、症状、日時までの情報のみであり、薬剤のコード化や警告や投与制限などとは紐づいていない。各施設のシステムでピックアップした薬剤のチェックボックスを用いてアラートをかける機能までが限界である。ましてや情報共有のためのフォーマットは存在しないため、積極的な情報活用に至っていない。カードを用いたり、紹介状に書いて情報提供をしたりするなどして情報共有に努めているが、基本的には度重なる患者への問診が中心となる。
3.本院の取り組みと提案
① アレルギーと薬剤副作用につき、情報を細部まで記す。
② 電子情報として、薬剤名、症状、重症度、症状発現日時、記録者、記録日時までは可能なので、今後確証度やアラートレベルの設定が含まれることを望む。また、それらの情報を活用するために、これらを共有する仕組み、アラートレベルを設定に合わせられる機能が電子カルテや地域医療連携システムに搭載されることが望まれる。
③ アレルギー・副作用情報の重症度や症状のコード化の整備が望まれる。また、禁忌の種類や取り扱いに関しても今後議論によりその定義がより明確になることが望まれる。
④ アレルギー・副作用の情報は電子カルテにおける患者プロファイルの整備の議論に必要。同様に、プロファイル全体の情報の整備、またその視認性などの議論が必要と思われる。
⑤ 災害や救急現場において、電子カルテから独立した情報を取得し有効に活用するため、ミニマムデータの確立が望まれ、その中にアレルギー・副作用情報が内容の整備されたかたちで含まれることが必要である。
考察:昨年度のアンケートから得られた課題に関して検討し、実際にプログラム改修という形でアレルギーの情報の取り扱い方についての対応を検討した。今後は、電子カルテが発展している現状を踏まえ、より機能強化を行うことで誤投与を予防することが必要である。また、今回新たに検討した項目は電子情報として現在標準化されている範囲を超えるので、今後の議論が国内外で深まることを期待する。
結論
昨年度のアンケートを参考、また様々な国内外における取組を参考に、アレルギー情報に関して議論を深め、一つの提案を本研究で行った。今後、より現場レベルでの実証を経て、国内外で議論し、アレルギー情報の標準化が実現することを望む。
公開日・更新日
公開日
2015-06-09
更新日
-