文献情報
文献番号
201325014A
報告書区分
総括
研究課題名
医療安全支援センターにおける効果的なサービス提供のための研究
課題番号
H24-医療-一般-015
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
児玉 安司(東京大学大学院医学系研究科 医療安全管理学講座)
研究分担者(所属機関)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
3,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
医療安全支援センター(以下センター)は2002(平成14)年の医療法施行規則により各自治体が設置運営を進めてきた。法制度としての基本骨格は、①医療に関連する苦情相談窓口の設置、②患者側と医療機関側との双方への助言機能、②患者側と医療機関側双方の関係者を集めた医療安全推進協議会の設置、の3つからなる。
センターが効果的にそのサービスを提供するために以下の2つを目的として研究を実施する。①センターに必要な支援としてグループワーク研修をとりあげ「グループワークプログラムの開発」を行う②各センターの相談苦情の集計分類方法が課題であり、相談・苦情の集計を全国的に統一する方法について検証する。
センターが効果的にそのサービスを提供するために以下の2つを目的として研究を実施する。①センターに必要な支援としてグループワーク研修をとりあげ「グループワークプログラムの開発」を行う②各センターの相談苦情の集計分類方法が課題であり、相談・苦情の集計を全国的に統一する方法について検証する。
研究方法
①「グループワークプログラムの開発」では心理学、システム工学の観点を盛り込んだグループワーク研修を試行し、評価を行なった。具体的には、支援センター職員へのロールプレイと事例検討、また、センターと医療機関の相談支援者の合同での事例検討、根本原因分析を実施した。
②相談苦情集計を全国的に統一する方法について、「医療安全支援センターの運営の現状に関する調査」の調査票改定をセンター職員と検討し、新たな調査票案を作成した。
その他、研究協力者らが各地のセンターを訪問し、実際の相談対応の在り方やセンターの業務の在り方等を聞き取り現状把握を行った。
②相談苦情集計を全国的に統一する方法について、「医療安全支援センターの運営の現状に関する調査」の調査票改定をセンター職員と検討し、新たな調査票案を作成した。
その他、研究協力者らが各地のセンターを訪問し、実際の相談対応の在り方やセンターの業務の在り方等を聞き取り現状把握を行った。
結果と考察
①グループワークはセンターの研修にとって有用である。特に、医療機関との合同事例検討会では、医療機関との情報連携に必要な情報が明確になり、情報のフィードバックの観点から有効であった。事例検討や分析の枠組みについては、より有効なフレームや方法を開発していくことが課題として残った。本研究成果をもとに、センターが企画・実施する研修において、グループワークを活用することが期待される。特に、医療機関や地域にある他の相談支援担当者との合同の事例検討会は支援センターが積極的に行っていく価値がある。また、それらの延長線上には、住民に対する啓発活動がある。今後は、支援センターが地域住民への意味ある情報提供、啓発活動を行っていけるよう更なる工夫が必要である。
②相談苦情の集計を全国的に統一する方法について、新しい調査票案を作成した。新しい調査票案導入にはまだ課題があるが、より現状を把握しうる調査票の策定を目指して現場の協力を得て取り組んでいく。今後、本調査は医療に関する相談苦情の全国的な傾向をとらえ政策形成の基礎資料になりうるものと考えている。
また、センターへの聞き取り調査等により、相談への対応の仕方が地域の状況にあわせてさまざまであることが明らかとなった。このことは、行政指導的機能、紛争解決的機能、対話促進機能、地域連携機能、精神保健機能など、センターの機能の多様化を視野に入れた、人材養成、相談支援の組織づくり、他の相談機関と連携した地域づくりが求められていることを示している。
②相談苦情の集計を全国的に統一する方法について、新しい調査票案を作成した。新しい調査票案導入にはまだ課題があるが、より現状を把握しうる調査票の策定を目指して現場の協力を得て取り組んでいく。今後、本調査は医療に関する相談苦情の全国的な傾向をとらえ政策形成の基礎資料になりうるものと考えている。
また、センターへの聞き取り調査等により、相談への対応の仕方が地域の状況にあわせてさまざまであることが明らかとなった。このことは、行政指導的機能、紛争解決的機能、対話促進機能、地域連携機能、精神保健機能など、センターの機能の多様化を視野に入れた、人材養成、相談支援の組織づくり、他の相談機関と連携した地域づくりが求められていることを示している。
結論
12年間にわたる取組みの中で、各地のセンターの機能は多様化し、①行政指導的機能、②紛争解決的機能、③対話促進機能、④地域連携機能、⑤精神保健機能などの一部または全部がそれぞれの組織の目的設定とマンパワーの実情に応じて発展してきた。今後の地域包括ケアと医介連携による状況の変化を先取りしながら、現状把握と継続的な定点観測、人材養成と総合支援事業の展開、組織・運営に関する指針の見直しを通じて、時代のニーズに応える社会システムの形成に努めていく必要がある。
公開日・更新日
公開日
2015-05-19
更新日
-