文献情報
文献番号
201325001A
報告書区分
総括
研究課題名
第11次都道府県へき地保健医療計画の実行支援とその評価に関する研究
課題番号
H24-医療-一般-002
研究年度
平成25(2013)年度
研究代表者(所属機関)
梶井 英治(自治医科大学 医学部)
研究分担者(所属機関)
- 前田 隆浩(長崎大学 医学部)
- 谷 憲治(徳島大学 医学部)
- 井口 清太郎(新潟大学 医学部)
- 今道 英秋(自治医科大学 医学部)
- 澤田 努(高知県高知市病院企業団立高知医療センター 地域医療科)
- 神田 健史(自治医科大学 医学部)
- 森田 喜紀(自治医科大学 医学部)
研究区分
厚生労働科学研究費補助金 健康安全確保総合研究 地域医療基盤開発推進研究
研究開始年度
平成24(2012)年度
研究終了予定年度
平成25(2013)年度
研究費
4,000,000円
研究者交替、所属機関変更
-
研究報告書(概要版)
研究目的
研究者らは、へき地保健医療を充実させる上で必要となる課題への対応、第11次へき地保健医療計画を効果的に実行するためのサポート、へき地保健医療対策における都道府県間格差の解消策の検討等を行い、最終的には都道府県のへき地保健医療対策への主体的な取組を促すことを目的とした。今年度はへき地に勤務する医師を評価するモデル「へき地医療指定医(仮称)」に関するアンケート調査、全国へき地医療支援機構等連絡会議の支援、各都道府県訪問による技術的支援、リーフレットの作成、特徴的な取組事例集の作成を行った。
研究方法
1)へき地に勤務する医師を評価するモデル「へき地医療指定医(仮称)」に関するアンケート調査:へき地での診療実績に対する評価に関する検討を目的とし、研究班が参考例として作成したモデル「へき地医療指定医(仮称)」を用いて、へき地診療所の医師を対象とした自記式アンケートを郵送して行った。調査用紙は平成25年8月2日にへき地診療所へ郵送し、締切りを同年9月2日とした。調査内容の分析、結果の取りまとめ等は全て匿名で行った。2)第5回全国へき地医療支援機構等連絡会議の支援:平成25年12月20日に開催された全国へき地医療支援機構等連絡会議において、へき地保健医療対策に関する協議会の活用や、へき地歯科医療・看護、新たな視点としての薬剤師の役割に関するグループワークのファシリテートを行った。3)都道府県個別訪問によるへき地医療の現状分析と技術的支援:へき地医療の現場に即した現状分析・技術的支援と、取組が低調な都道府県に関する解決策の模索を目的として、平成26年1月から2月末にかけて都道府県個別訪問を行った。今年度の個別訪問は都道府県庁に加えて大学・へき地医療拠点病院も訪問対象とした。技術的助言および聞き取り調査は都道府県等が用意した会議室等で約2時間、へき地保健医療計画担当者や訪問先のへき地医療関係者と直接面談して行った。4)リーフレットの作成:研究成果を広く活用するために、平成24年度に行った都道府県第11次へき地保健医療計画の進捗状況調査と都道府県個別訪問の研究成果を中心にリーフレットを作成した。5)特徴的な取組事例集の作成:各都道府県でへき地保健医療対策として行われている特徴的事例を個別訪問の際に収集し、各へき地保健医療行政担当者が活用できるように事例集を作成した。
結果と考察
1)へき地に勤務する医師を評価するモデル「へき地医療指定医(仮称)」に関するアンケート調査:集計結果から、へき地診療に関する資格・認定に対する世代間の認識の相違、資格・認定を取得した際のメリットの設定に関する課題等が明らかとなった。社会全体でへき地診療を支えるためにも、診療支援・環境整備も行いながら、へき地診療を評価する方策についても検討を重ねていく必要がある。2)第5回全国へき地医療支援機構等連絡会議の支援:都道府県が主体的に計画の評価等を行える具体的な協議会の活用方法や、へき地歯科医療や看護に関する具体的取組事例の共有ができた。また、へき地における薬剤師の役割について、具体的な事例を通じて参加者に提示することができた。3)都道府県個別訪問によるへき地医療の現状分析と技術的支援:訪問した39都道府県のうち、15都道府県では都道府県庁以外を訪問することができた。都道府県庁以外へのアプローチは、へき地の現場の理解を都道府県と共有する等、低調な都道府県においても取組を促進する方策になりうると考えられた。4)リーフレットの作成:作成したリーフレットは関係各所へ配布した他、グループワークや個別訪問時に資料として活用することができ、非常に有効であった。5)特徴的な取組事例集の作成:作成した事例集には、地域枠のキャリアデザインやへき地看護に関する取組等、具体的な方向性や施策の資料があり、同様の課題を抱える都道府県にとって参考になると思われた。
結論
第11次へき地保健医療計画の主体的な実施と評価を行うには、へき地保健医療対策に関する協議会を中央で行うだけでなく、へき地を有する地域でも開催する等、よりへき地の現場に近い関係者を巻き込んだ体制を構築することが重要と考えられた。また、へき地保健医療対策の取組に関する都道府県格差の是正には、都道府県庁以外の拠点病院や地元大学の関連講座等、多様な関係者へのアプローチや、各課題に対する特徴的な取組事例の提示が有効になりうる。そして、今後のへき地保健医療を充実させるためには、へき地医療を担う医師の育成、へき地診療所やへき地医療拠点病院の重層的な診療支援、へき地診療所を中心としたチーム医療の充実、へき地保健医療対策の意義と評価を広く社会に認知してもらうための情報発信が重要になると思われた。
公開日・更新日
公開日
2015-05-19
更新日
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