老年者服薬コンプライアンスに影響を及ぼす諸因子に関する研究-特に都市型および郊外型病院との比較研究-

文献情報

文献番号
199800277A
報告書区分
総括
研究課題名
老年者服薬コンプライアンスに影響を及ぼす諸因子に関する研究-特に都市型および郊外型病院との比較研究-
課題番号
-
研究年度
平成10(1998)年度
研究代表者(所属機関)
葛谷 雅文(名古屋大学医学部)
研究分担者(所属機関)
  • 遠藤英俊(国立療養所中部病院)
研究区分
厚生科学研究費補助金 総合的プロジェクト研究分野 長寿科学総合研究事業
研究開始年度
平成10(1998)年度
研究終了予定年度
平成11(1999)年度
研究費
2,500,000円
研究者交替、所属機関変更
-

研究報告書(概要版)

研究目的
本研究の目的は老年者の服薬コンプライアンス低下に関与する諸因子を明らかにするため、65歳以上の入院患者を対象に老年医学的総合評価(基本的日常生活動作、手段的日常生活動作、認知機能、情緒傾向、社会的状態などを含む)と服薬コンプライアンス調査表を用い、高齢者の服薬コンプライアンスに関与する諸因子を総合的に評価するとともに、都市型病院老年科病棟と、郊外型病院の高年者包括医療病棟との比較研究を行った。
研究方法
65歳以上の名古屋大学医学部附属病院老年科病棟と国療中部病院包括医療病棟入院中の患者に老年医学的総合機能の評価(基本的日常生活動作、手段的日常生活動作、認知機能、うつ状態、 身体機能、 社会生活能力)ならびに服薬コンプライアンスの評価( 服薬状況、薬剤の管理者、 用法の理解度、 薬効の理解度)を施行した。各評価項目をCochran-Mantel-Haenszel 検定、または分散分析を用いて検討し、服薬コンプライアンスとの関係を検定した。
結果と考察
中部病院では名古屋大学病院に比較し女性患者の率が高率で、高齢者が多かった。基本的日常生活動作、手段的日常生活動作、認知機能、コミュニケーション障害を持つもの、うつ状態の患者は有意に非自己管理が多かった。服薬状況(服用忘れ)はいずれの項目とも有意な関係を示さなかった。手段的日常生活動作、認知機能、コミュニケーション、集団行動に問題が無い集団ほど用法理解、薬効理解が有意によかったが、基本的日常生活行動能力とは無関係であったことより、服薬コンプライアンスは単なる身体機能障害より、むしろ高次機能障害が関与している可能性がある。
結論
服薬管理者を規定している因子は主に身体機能障害、認知機能障害、うつ状態であった。服薬コンプライアンスのもっとも重要な指標と思われた服薬状況の聞き取り調査は信頼性に乏しかった。服薬用法理解、薬効理解評価からは手段的日常生活動作障害、認知機能障害、集団行動能力の障害が服薬コンプライアンスに関与する重要な因子であると思われた。

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